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絵本 「 NOSE FANCY 」

心地よくゆれる
電車の中
誰かが鼻唄をうたいはじめた
それはそれは
うっとりする
すばらしい鼻唄だ。

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みんなは目をつむって
鼻唄にうっとり。
「はぁ~いいなぁ。なんだろうこの気持ち」

鼻唄をうたうおじさんは
うれしくなって
何でも、できそうな気になって
このままみんなを歌にのせて
遠くにつれていきたいと
思った。

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(みんな、電車の中でうっとりする)

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おじさんは途中降りていく
みんなは感動の涙でおじさんを
見送った
「おじさーん、おじさーん」
だけど
運命のいたずらで
すばらしい鼻唄だけは
電車の中に残り続けた。

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何という居心地のよい
音なんだろう。

「もうイヤだ。
聴くだけじゃ満足できないよ。
何と言っていいかわかんないけど、
この鼻唄にぶつかって
一緒に溶け合ったら
もうそれ以上の
幸せはないんじゃないだろうか?」

電車の中の人は全員
その期待に
うっとりとした。
絶対にそうならないとイヤだ。
そうじゃない未来がイヤだ。

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「こっちの世界へきませんか?」

おじさんが歌の中でささやいた
みんなは子供のように喜んだ。
そしてそのまま空港へ向かう
きっとおじさんがやってくる。

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空港はもうおおぜいの人で
いっぱいだ。
みんな行きたいんだ。
あの鼻唄の中で
うっとりとしたいんだ。

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見た事ないぐらい
大きなまるい飛行機がやってきた。
きっとおじさんが
飛ばしてくれたんだ。

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だけど、こんなに大きいのに
全員が乗ることはできない。
だってこうしてる今も
世界中から人が集まってくるんだから。

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「もう、空港ごと飛ぼう、結局その方がいいよ」
パイロットが空港ごと発車した。
どうしてこんな事ができるんだろう。
そうしたいからさ。
だからできるのさ。

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やがて、
空の中で
鼻唄はもっともっと優しくなって
もう愛は溢れ続けた。
その一番優しい部分に
空港は着地した。

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「さぁみんな、ここで唄い踊りましょう。
世界が生まれてしまったんですから。」

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(みんな唄い、踊る)

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(どんどん、いろんなものやってくる)

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(みんな唄い、踊る)

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