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声野球選手

少年の声が猫になる
トリミングしてあげたら
後日紳士になって
現れてダンスを披露してくれた


窓をあけっぱなしに
したせいで
よーく
聞こえる
少年野球の練習の声

-

カキーン
カキーン

ファイトー

-

ある少年が発した
「 ファイトー 」は
部屋の中に
入ってくると
ボクの部屋の中に
鳴り響き

-

部屋の生活感を
吸い取ってしまい、

そして声は物質的になって
毛の
塊になった。

-

その
ボサボサの毛は
あまりに
みっともなかった。

だから、
ボクは毛をを
トリミング
トリミング

かっこよくカット。

-

毛をどんどん
どんどん
カットしていくと

人間の形になってきた。
正体は人間か?

-

毛をどんどん
どんどん
カットしていくと

仕上げに
バリバリ剃ると
おじさんが現れた。
しかも
礼儀正して
ペコリと
お礼をして去っていった。

-

後日
おじさんになった
声が
フォーマルな服装と
ステッキを片手に
ボクの部屋に現れて
ダンスを披露してくれた。

お礼の
ダンスを披露してくれた。

-

タタタタん
タタタタん

タタタタん
タタタタん

-

おじさんに
なった声は

立派な仕事についた。

それは
野球選手だ。

スタンドには
いつもお客さんで
満員だ。

-

あるとき
そのスタンドには
ある少年が応援に来ていた。
その少年の声が

今まさに野球選手になったおじさんで、
少年は野球選手になった
自分の声を応援していた。

「ファイトー」


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