不動産業者の駆け引き

【毎日更新36日目】

久しぶりに仕事の話をしよう。
不動産業者は星の数ほどあるわけだが、ほとんどが弱小の中小企業だ。ブランド力はほとんどない。私も20人程度の会社に在籍しているので、弱小だ。

いつ大企業に仕事をさらわれるかわからない。
競争にさらされている。

今回は弱小が販売を始めた物件を大手が取りに来た話。

先日、弁護士が管理している不動産売却の依頼をもらった。2億円程度で売却できるであろう土地。
不動産業者であれば誰もが取引したいと思う規模だ。

成約できれば、売主からMAX約3%の仲介手数料が支払われる。600万円だ。
私が勤めている会社で買主を見つけることができたら、買主からもMAX約3%の仲介手数料を受け取れる。
1件の取引で、約1200万円。

MAX約3%と書いたのは、宅建業法で定めれている売買による仲介手数料は、本体価格の3%+6万円+消費税という金額になるからだ。

手数料が高額過ぎるという議論は長年されているので、他の機会で書くことにする。

今回の案件での販売戦略は、数多くの不動産買取業者に当たり、高い買取価格を出してもらうということ。さらに高い金額を出してくれた業者の上位には、再度、買取価格を出してもらい、売主に満足いく価格で売却してもらうという戦略。

ちょっと売主側に寄った戦略ではあるのだが、売る側は弁護士で不動産業でない。買う側は不動産業で利益を上げることを生業としているので、問題ないと思われる。

この戦略で販売を始めて1週間ほど経過したとき、大手不動産仲介業者が弁護士に営業をかけてきた。

この物件を私と同じように査定をした大手不動産業者。当然と言えば当然だ。目の前にいい物件が転がってて、見て見ぬフリなんてする業者がいたら、生きてはいけない。

弁護士から連絡をもらい、「大手不動産業者にも協力してもらってもいいか?」という確認の連絡だった。

大手は客付けだけでもやらせてほしいという意向だった。(客付け=お客さんを探すこと。客付け業者は買主さんからのみ手数料をもらうことになる。)

この話を私が承諾すれば、私は販売営業しなくても、大手が探してきた買主さんと売買契約をすることができて、売主さんから手数料をいただけることになる。大手が探してきた買主より高い買主を私が見つけてきた場合は、私は買主からも手数料はもらえる。

大手も最大限の私に敬意を払ってくれて譲歩してくれた形での提案なのだが、私は断っていただくように話しをした。

表面的にはいい話を装ってるが、私にとっては全てを失う可能性を秘めた話にしか聞こえなかった。

弁護士が私に不動産取引を依頼していただいたのは、今回が初めてで、これまでは地方の売却できないような不動産の査定をたくさんいただき、丁寧に査定書や資料をお作りした。細かい仕事の積み重ねがやっと実になろうとしているところだ。

私の最大の目標は、売主さんである弁護士からこの初めての取引でさらなる信用を勝ち取ることだ。

信用は依頼する方もされる方もお互い話がブレないことが大切だと思っている。依頼された時、私にだけ依頼すると言ってくれたので、そこは通していただいた。私の意向を汲んでくれた。嬉しかった。これで上手くいけばさらに絆は深まるだろう。

あとは私が弁護士の期待に沿えるように行動するのみ。

売主買主両方から手数料をもらいたいだけじゃないかと思われるかもしれないが、そこは問題ではない。手数料の金額なんか関係ない。

私は将来のことを考えている。目先の金に目がくらむのではなく、信用を構築していれば、信用がある限り半永久的に依頼がもらえると考える。だからある意味、目先の金を求める人よりもがめついのかもしれないが、金ではない。依頼者の笑顔を見続けたい。これだけだ。不動産業者にいる私が言ったところで説得力ないか・・・。

私の信頼構築が最優先。
大手不動産業者が弁護士と接触する回数を少しでも減らしたい。私が接触することでより信頼を勝ち取る。
弁護士と私の絆が深まれば深まるほど、私は弁護士に信頼を与えられる。

依頼をくれた弁護士は今まで不動産の取引をしたことがないか、ほとんど初めてだと想定している。

だから、ベストセラーの本「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」でいう1番手の法則を実行して、「不動産」といえば「けんたろう」というイメージを植えつけたい。不動産という言葉から、けんたろうという名前が1番手にでてくるように印象付けたい。不動産売却は、会社名ではない。
「不動産といえば?」で私の名前が出るために、今はひたすら走り続ける。

私がとった今回の行動にもリスクは伴っている。
もし、大手がそれでも弁護士に購入申込書を出してきて、私がつけた買主よりも高い価格だった場合には私の信用はガタ落ちだ。弁護士との縁は切れる。
かといって、大手を交えて販売をして、私が価格争いに負けたら信用はない。これは先程の「全てを失うかもしれない話」につながっているのだが、高い価格で買ってくれる先を探し出せなければどちらにしろ信用を落とすことになる。

今回の大手の営業戦略はさすがだ。見込みがないと思われるところから、キッカケを作り食らいついてきた。

今回学んだことは、ここは崩せないと思ってるところにもチャンスはあるってことだ。

これが不動産業者の戦いだ。
この戦いに勝ち抜かないと生きていけない。

この案件はまだ継続している。

結果が出たらお伝えしよう。

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けんたろう

毎日更新してます。考えたこと、感じたことを書いています。不動産屋に勤めているので、出勤前にチェックしている不動産ニュースもまとめて配信してます。https://twitter.com/kensaikey

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