歌舞伎にフラメンコが融合。今井翼が見事だった

 今まで避けていたが、行ってみると(味わうと)実はよかった、そんなことが往々にしてあります。伝統を重んじる歌舞伎に、スペイン発祥のフラメンコは合うんかいな、と二の足を踏んでいましたが、ひょんなことから、チケットを手に入れることができたため、大阪松竹座で開催されている「十月花形歌舞伎 GOEMON」へ行って参りました。

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 主な出演者は、片岡愛之助さんと今井翼さん。かの有名な大盗賊、石川五右衛門が実はスペイン人の父親を持っているという奇想天外なストーリーで、純粋な歌舞伎ファンからすれば、眉をひそめたくなる人もいるかもしれません。それでも今年、初演から10年を迎えるという記念の年になりました。
 開幕は、生のバイオリンの演奏から始まり、翼さんが演じるスペイン人の牧師が十字架の前で祈るというシーンから始まりました。途中なんどもフラメンコを踊るシーンがあったり、空中につり上げられながら愛之助さんが見得を切るシーンなど、見どころはたくさんありました。翼さんのセリフは歌舞伎特有の節回しなどはなく、現代演劇のような語り口でした。

 意外な発見だったのは、歌舞伎の舞台にフラメンコが合うということです。フラメンコの特徴は、手拍子と華麗な「足踏み」です。歌舞伎の舞台は、役者が見得を切るときに大きな音を鳴り響かせる「足拍子」が引き立つようなつくりをしています。なので、フラメンコの足踏みが歌舞伎に融合するのは当然なのでしょう。

 翼さんの情熱的なフラメンコも舞台にマッチしていました。高身長でスタイルがよく、長年フラメンコのトレーニングをしていただけあって、歌舞伎の舞台になんの違和感もなく、没頭できました。
 本公演は、4時間近くの長丁場でしたが、今回は花道に近く、臨場感たっぷりの良い席であり、ストーリーも役者のセリフもすんなり頭に入ってくるし、アクロバティックな演出も楽しめました。

 帰りは松竹座の近くにあるかに道楽で、寿司を土産に買いました。カニみそが抜群にうまかったです。

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