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ブータン、その多様な自然王国

写真:標高7314mの名峰ジョモラリと高山動物ブルーシープの群

ヒマラヤの麓にある九州くらいの大きさ、国土のほとんどが山間部で森に囲まれた国、それがブータン。GNH(国民総幸福)という心の豊かさを基準にした国づくりを政府は推し進めている。幸福量を増やす国づくりに必要な4つの柱があり、それが持続可能な社会経済開発、環境保護、伝統文化の振興、よい統治なんだそうだ。そのユニークな国づくりが話題となりブータンはいつしか「幸せの国」と呼ばれるようになった。

写真:村で遊ぶブータンの子ども

ぼくがこの国を知ったのは学生時代に見たテレビ番組がきっかけだった。山々に囲まれた学校で、民族衣装の子どもたちに囲まれながら、体育を教える日本人の姿を見たとき、雷に打たれたような衝撃を受けた。世の中にはこんな仕事が、そしてこんな面白い国があるんだ!と。ぼくは一瞬にして「ブータン」の虜になってしまった。ほんの数分の映像でしたが心にずっと残り、まるで初恋の人を追い求めるように、独立行政法人JICAの青年海外協力隊のブータン派遣員の募集に手を挙げた。そして大学卒業してすぐにブータンに体育教師として赴任することになったのだ。

 3年間のブータン体育教師は、ずっと夢に描いていただけあって、それは刺激的な毎日となった。ブータンという異文化に飛び込んではじめてわかった日本や自分自身のこと、ブータン流の考え方への誤解や摩擦・・・。そのどれもが貴重で一瞬一瞬が学びのときだったように思う。もっとブータンと関わりたいと思い、帰国したあとも毎年足を運ぶようになった。毎回新しい発見があること、社会の変化を見ること、教え子たちの成長を見ることが楽しい。ブータンを行き来して今年(2019年)で12年目になる。

 このnoteではブータンでの実体験やエピソードを交えて、ブータンという国を詳しく伝えていけたらと思う。今回は、ぼくがブータンに着いてまず驚かされたことのひとつ、バリエーション豊かな大自然について紹介する。

写真:パロ県とハ県の間にある峠、チェレラ峠からの眺め

ヒマラヤ山脈の万年雪を望む険しい山々。その山々に刻み込まれる急峻な川。山肌にへばりつくように走るくねくねの道。ぼくが体育教師をしていたタシヤンツェというブータンのもっとも東に位置する村に着くまでには、大小含めて6つの峠を越さなければならず、移動に3日もかかった。そして峠ごとにがらりと変化していく植物や動物を見ることができた。峠の頂上付近では雪が積もっていたのに、峠を下りきった先の村にはバナナが実っていたりした。3日間の移動はまるでいくつものアジア諸国を旅しているようで、本当にワクワクしたものだ。

写真:東西を結ぶ幹線道路とその下を流れる巨大なナムリンの滝

南はインドに近い亜熱帯の林、北はヒマラヤ山脈の白銀の峰。九州ほどの小さな国土にこんなに多様で豊かな自然環境がぎゅっと詰まっている。この多様さこそが、ブータンを彩るひとつのキーワードなのだ。

写真:ブータンへ向かう飛行機から見える名峰カンチェンジュンガ


ブータンの旅を開催します↓

お盆の里帰りのような、そんなツアーにしたいと思っています。
ポプジカ谷でホームスティ、里山でのお散歩あり。
子供たちや村人たちと触れ合うディープな旅です。
参加者募集中です。

第7回 写真家・関健作と行くブータンの旅
2019年8月18日(日)~8月24日(土)
タイ・バンコク発着 7日間
詳しくはこちらから:
https://gnhtravel.com/photographer/kensakuseki_bhutan2019/



この記事は昨年株式会社ぎょうせいから発行された雑誌「リーダーズライブラリ」の連載を修正、写真を加えたものです。
雑誌「リーダーズライブラリ」についてはこちら↓
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9699
現在、同じく株式会社ぎょうせいから発行されている雑誌「学校教育・実践ライブラリ」で「Hands 手から始まる物語」という新連載を書いています。こちらもご注目ください。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9948

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