望月新一教授（京都大学数理学研究所）

2023年5月25日 21:58

2023年5月24日　宍戸健

クレイグ博士の凄さやビットコインの機能がかなり間違って理解されている状況について、今後なるべくわかりやすく大衆に伝えるために他の人（歴史上の偉人、現代の超天才）や比較できる他の事象について今までいろいろ調べたり、考えを巡らせてきた。（例：写楽（江戸時代の浮世絵画家。現在まで誰かわからない。）、ニコラ・テスラ（交流電源を発明。直流での電力事業を進めていたエジソンと対立し、騙されたりした。誘導モーター、無線トランスミッター、点火プラグの発明など多くの功績を残したが晩年は無一文となり、ニューヨークのホテルで86歳で亡くなった。）

今回は日本の天才の一人で2013年にはSatoshi Nakamotoではないかと噂されたこともある、数学者の望月新一京都大学教授（ご存命です）について調べたことを書く。

会うとお茶目な人らしい。https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/

まずは略歴。

1969年東京都世田谷区生まれ。現在54歳。国際関係論の学者であり経済人であった父 Kiichi Mochizukiとユダヤ系アメリカ人Anne Rauchの長男。
5歳まで東京で過ごすが父の仕事の関係で5歳で日本を離れ、中学生時代に1年間日本へ戻った以外は、アメリカで育つ。
16歳（飛び級）でプリンストン大学へ進学、19歳で学士課程を卒業（次席）。23歳で博士課程を修了しPh.D.を取得。
23歳で京都大学の助手となり、32歳で教授となる。（この若さは超異例）

ようは物凄い天才ですね。ちなみに妹さん(Dr. Mia Mochizuki)も米国の超有名大学数々で研究、指導されてるそうです。

望月博士の研究内容・業績

「代数曲線におけるグロタンディーク予想（遠アーベル幾何予想）を予想を超えた形で証明。p 進タイヒミュラー理論の構築、楕円曲線のホッジ・アラケロフ理論の構築、曲線のモジュライ空間の既約性の別証明、数論的小平・スペンサーの変形理論（英語版）、Hurwitz スキームのコンパクト化、crys-stable bundle の構成、数論的 log Scheme 圏論的表示の構成、宇宙際幾何 (うちゅうさいきか、inter-universal geometry) の構築。1998年の ICM では招待講演をしている。」(wikipediaより)

数学者でない限りなんだかわからないと思いますが、このICM(International Congress of Mathematicians、国際数学者会議）ってとこに29歳の時に出席するのではなく、講演をするのが凄いらしいです。

「ABC予想」の証明

さて、発見されて約30年間数学的課題であった「ABC予想」を望月新一教授が証明したということと、それを取り巻く環境についてが、今回私がこれを書く理由です。「ABC予想」そのもの解説はむずかし過ぎるので下に参照する解説動画を見ていただきたいわけですが、以下に私がハイライトしたい項目です。

2012年に「ABC予想」を証明したという論文を発表。合計600ページ。しかし発表後に世界の数学界関係者が読んでも誰も理解できる人がいなかった。このため査読に非常に長い時間がかかるだろうと考えられていた。
2018年になって、世界的に著名な数学者Peter Sholze博士、Jacob Stix博士が望月博士を訪ねて京都大学に来た。（内容を教えて欲しいなら京都に来いよと言われたそうです。）望月博士、同じく京都大学の星教授と一週間に渡って議論をした。Sholze博士、Jacob Stixは帰国後しばらくして、"Why ABC is still a conjesture."（ABC予想はまだ「予想」のままです。）という論文を発表し、望月博士の論文はABC予想を証明していないと批判した。（私の意見：YouTubeの「謎の数学者」さんの解説を聞くと、これひょっとしてSholze-Stix博士のジェラシーか、経済的理由か、それとも本当に理解できずに批判したんじゃないかとの印象を持った。ビットコインのこと十分勉強せずに「ダメだ、ビットコインは使えない」とか言い切るなんちゃってブロックチェーン専門家の雰囲気がします。）
2018年7月、望月博士は"Comments on manuscript by Sholze-Stix Concerning Inter-Universal Teichmüller Theory"を発表し、Sholze博士、Stix博士はそもそも望月博士の論文を理解しておらず、指摘された論点について反論した。（私の意見：望月博士の論調を見ると"Completely False!"とか書いてあって、博士の論文が理解されないことにキレてる様子です。アレ、誰かに似てますネ。ただ、指摘された各論点については全て解答されています。尚、「謎の数学者」さんの説明では、望月博士の言い方が「荒い」のでそれで数学界に嫌われてるそうです。論文精査に人柄、気分とか雰囲気は関係なと思うんですけどね。望月博士は淡々と直接的に回答してるだけだと思うのですが、クレイグ博士と同じでASD（アスペルガー症候群）なんでしょう。）
この反論の反論について、Sholze-Stix博士はその後意見をしていない。（私の意見：なぜ再度反論しないんでしょう。反論できないのか。）
この間、査読は（他の専門家が間違ってないか精査する）継続されており、合計８年という異例な時間がかかった。
査読終了後、2020年4月にPRIMS（論文出版サイト）に掲載を発表。