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ビースト覚醒まとめ

ついにロードショー公開されました、実写版「トランスフォーマー・ビースト覚醒」
ビーストウォーズの世界が実写に! つってCGからCGへ、なんだけど!
この日本吹替版公開に際しては今回、私も宣伝協力として、様々なコンテンツに関わりましたが、まあ、ここでは置いといて〜

映画そのものについて、Xにもつぶやいた内容をまとめ直し、も少し考察を深めたいと思います。
公開が始まったので、ネタバレもOKということで。

「バンブルビー」の素晴らしさ

私、今回は「とにかく前作の「バンブルビー」が最高に大好きだったので「ビースト覚醒」はそこまで感動しないだろうなあ〜」という、問題発言wもしてしまったんですが、そのくらいバンブルビーはよかった。

いまだ地上波テレビ放送なし

2018年の作品ですが、話の舞台となってるのは1987年。
主役の少女(自動車改造マニア)がスミスのファン、という設定。
ロボット、バンブルビーと少女の交流を描く。
これはもうTFどうこう言うより、甘酸っぱい80sアメリカンガール学園青春ムービーとして良く出来てる傑作でした。中高生が見ても、中高年が見ても泣けると思う。
80年代後半ロック満載でボン・ジョヴィやデュランデュランの初期曲などが効果的に使われてるMTV感覚。
ティアーズ・フォー・フィアーズ「ルール・ザ・ワールド」の使い方も、泣ける!
軍隊の将校役のジョン・シナ(WWE)も名演だったね。

時代の気分と音楽と

しかし「ビースト覚醒」も同じくらい感動できたよ!
あくまで人間ドラマ部分の話ね。
そりゃCGアクションでは「ビースト」のほうが厚みが数段上ですよ。
動物たちの質感、生物感とかな〜。ジャングル、スピード、破壊。

しかし「ビースト覚醒」の本質は、兄弟愛がテーマなんじゃよね〜。
ぼく自身、兄貴がいるし、自分の子供も男兄弟だし。
強い兄が弟を守り、世界を守るため戦うっていうの「お兄ちゃんは強いんだ!」ていうセリフだけで、泣いてしまうんよ〜。

そして音楽ですが、今度は設定が7年後、1994年のニューヨーク・ブルックリンで、当時のHIPHOPカルチャーと時代背景が描かれ、主人公の部屋にウータン・クランのポスターや、デ・ラ・ソウルのカセットがあったり。クライマックスの最高のタイミングでは、LLクールJでブチ上がる。
そのへん好きな世代は見るべきなやつ! ぼくはHIPHOP詳しくないんだけど!

思えば、今年公開の映画では、1986年のナイキを描いた「AIR」ではRUN DMCが使われ、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」も、1980年代のNYブルックリンの設定で、ビースティ・ボーイズが使われてた。 これはもう、2023年がDefJamリバイバル元年てことなんか? 機運が高まってんだな。

プロデューサーはリック・ルービン

DefJamとは1980年代なかばに立ち上げられたHIPHOPレーベルで、当時、黒人音楽と白人ロックの融合によって大ヒットラップナンバー連発でシーンを牽引してたんですけど、その再評価が映画によって行われてるムーブメントに「ビースト覚醒」も役割を果たしている感じ?

そいえば「ビースト覚醒」の主人公もエア・ジョーダン6を履いてた! ぼくも91年ごろ履いてたやつ。時代考証ができてるね。

時代の気分と物語性

30年前くらいの設定、ニューヨーク・ブルックリン(下町)で暮らす、貧しい移民の兄弟、弟を守るため、世界を救うため、兄はバトル空間に飛んで、巨大な悪と戦う!

て書くと、「ビースト覚醒」のプロットは、ほんと「スーパーマリオ」と同じなんだよな。
まさにこれが2023年の気分なのだ。
マリオはイタリア系、ビーストの主人公はスペイン系、という設定だよね。
この同じヨーロッパ系でも、またイギリスやドイツと、イタリアやスペインでは微妙な格差があるとこも、日本人にはわかりづらいけど、あるんだろな〜。

そいえばビーストの冒頭、主人公の弟が「またクッパにやられちゃったよ〜」てセリフがあって、マリオやってたんだな、と想像させるシーンある。
でも弟はパワーレンジャーのシャツ着てたり、後で兄弟が「ソニック、テイルズ」と無線で呼びあったりするので、ごたまぜですが。

あと、ミラージュが最初にプライマル(コンボイ)と出会うシーンで「おい、ドンキーコング!」て言うシーンもあったねw

まあ前半、主人公の日常が描かれて、後半、異世界バトルになる、という展開もハリウッド映画にありがち、な構成なんでしょうけど。
でも、この、続けて公開された、特に関係ない2作品のリンクの仕方が、現在の象徴的な気がする。

その本筋バトルに入る前の、登場人物の複雑な家庭環境とか、冴えない日常生活を丁寧にリアルに描いておいて、徐々にファンタジー世界につながって、バトルの中で若者たちが成長していく。

娯楽要素だけじゃない深い人物造形は、80年代以前の映画の要素に回帰しているようにも思うね。2010年代以降、この昨今のハリウッド映画の作劇法の深化は、もっと評価されてええとこじゃろうね。

あと、こう言うとなんだけど、ヒロインが美女でも強くもなく、かといって守ってあげたいタイプでもない。見た目は勝ち気そうで、実はそうでもない普通〜な女の子設定で、ボーイ・ミーツ・ガールな展開だけど、主人公と特に恋愛感情にもならずに終わる、ていうのも2020年代的気分なのかな〜、て思った。

吹替版の安定

まあ洋画吹替でアテレコ初めての芸能人の方が起用されるとき、懸念を示す声優ファンはまだ多いと思いますが、今回「ビースト覚醒」主演の中島健人さんは健闘してますね!(しゃれ)

元からビーストウォーズのファンで、今作へのモチベーションが高い、だけでなく、普通に演技が安定してますので。オーバーアクトも、セリフ棒読みもなし。安心してください入ってます(気合が)

その中島健人さん演じる主人公のカーチェイスやアクションでの「うっ、くっ」「ハァ、ハァ」という、いわゆるブレスも、さすがに激しいダンスのステージを普段からこなしてる人ならではのナチュラルさに感心しました。

とにかく、公開前のインタビューや宣伝、舞台挨拶までビーストウォーズへの思い入れをたっぷりに語ってくれてて、本物だな。信用できる漢や!

まあ藤森慎吾も達者だし、仲里依紗さんも落ち着きのある座りの良い芝居だし。
もし、このビーストシリーズが同じキャストで制作され、日本語版も同じキャスト・スタッフで引き継ぐなら、今後も安心できます、と言えますよ。

ま「ビースト覚醒」は、原語・字幕版ではまだ見てないので、そちらを見たら、また追記したいと思います。考えたら、逆に、今までの実写版トランスフォーマーは、字幕ばっかりで見てたわ。いずれ吹替もまたチェックしとこう〜。



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