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「わざわざ平田の思索日記」を3分で紹介します

cakesで連載中の『わざわざ平田の思索日記』。担当編集者として、この連載の内容やコンセプトを3分で紹介したいと思います。連載の購読を検討している方の判断材料になればと思って書きます。

わざわざの平田さんって、どんな人?

長野県東御市で「パンと日用品の店 わざわざ」を経営していて、noteの記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」も話題になり、SNS上での発信や考え方が注目を集めています。

私から見た平田さんは「考える人」という印象が強いです。はじめてお会いした時から、情報のインプットと考えている量がすごいな、と。物事の根本から考えていらっしゃるので、時には常識とは異なった考えをされるのがまたおもしろいところです。

たとえば教科書的には「物を作り売る際にペルソナを設定すべき」のようにいわれますが、平田さんは次のように書いています。

人口は減り続け、趣味嗜好はますます多様化してきているし、ものはもう過剰というほどに溢れている。これからは売りたいものを買いたいと思っていない人に売る時代に突入するのである。即ち、ペルソナを仮想で持つこと自体が時代に合わなくなるのだ。(「これからの売り方で重要になるのはペルソナよりミッション」より)

これを読んで、私自身、硬直した頭をほぐされた感じがしました。もちろん平田さんの仮説がかならずしも正しいわけではないでしょうが、妥協なく「なぜ?」を繰り返す方なので、論理的で説得力があります。そして、ご自身で考えたことを日々「わざわざ」の経営で検証しておられる。たくさん考えたくさん行動していて、決して机上の空論ではないのです。

なぜ「わざわざ平田の思索日記」という連載名に?

元々の連載名は「わざわざ平田の移住日記」だったのですが(当初は移住コンテンツを続けていく予定だった)、「思索日記」というタイトルに変更したのは、個人的には上記のような平田さんの思考そのものに価値があると思ったからでした。自分で考えようとしたらたくさんの時間がかかってしまうか、たどり着けないところまで思考を進めてくれるのです。

なぜそれほどまでに考える人になったのか疑問に思っていたのですが、それは、この記事を読んで頷けました。

この記事に次のような一節があります。

常に私は父に問い立てられていた。「なぜそう思った?」「どうしてそう感じた?」方程式を暗記して問題を解くとひどく怒られた。「なぜその方程式が生まれたかが理解できれば、全ての応用問題が解ける」と言われ、参考書を見ることを許されなかった。

平田さんはいまもこの時の癖が抜けないそうで、自分にも他人にも問い詰めてしまうのだといいます。平田さんの「ゼロから思考」の原点はこんなところにあったのかな、と思った記事でした。

どんな内容の連載?

さて、編集者の力不足により「わざわざ平田の思索日記」という漠然とした連載名になっていますが、この連載は現在、おもに平田さんが「仕事」「家族」「人生」などについて考えたことを数記事単位でお届けしています。ここで代表的なシリーズをご紹介します。

◼️「センスとは何か?」シリーズ

全3回で「あの人ってセンスがよいよね」というときの「センスとは何か?」についての思索をします。結論を言うと、センスとは「多くの情報や経験を積み上げながら、<培った経験から得た独自基準のものさし>で沢山の情報から一つを抽出して何かを選ぶ行為」で、どうやってこの「ものさし」がつくられていくかまで解説しています。クリエイティブな仕事に携わる人はとくに考えさせられる内容だと思います。

◼️最小限の荷物で旅に出るコツ シリーズ

出張や旅行で、つい荷物が多くなりがちな私にとって、このシリーズは超実用的でした。少しの服でも同じ服を着ているように見えるテクニックなど実践的な方法論が満載です。全3回。

◼️評価しない人事制度シリーズ

「人が人を正当に評価できるわけがない」という考えのもと、「採用されてから2年が経過すると、新卒もベテランも全員給料が一緒になってしまう」いう制度をつくっています。そのようにしている理由からはじまって、人材を適材適所に配置する仕組み、この制度の軸である自分自身を知り仕事に活かす方法まで、非常に濃い「わざわざ」の組織論が展開されます。全5回。

◼️小売の話

トークイベントで「わざわざではペルソナは立てていますか?」という質問を受けたことから、平田さんが物を売るうえで考えてことについて語ります。これからの時代、「ものやサービスにミッションがあることが何よりも重要だ」と語る平田さん。この記事の次に公開した「ミッションを核に利益を出すための「時間」と「投資」という考え方」の話もあわせてご覧いただけたらと思います。

◼️平田さんの履歴がわかる記事

平田さんを知った人で「どうしてパン屋なのか」という疑問をもった方は多いと思います。小学生時代から高校卒業後、東京に出てきてDJをやり、DJイベントのWEBサイトを作って集客するなど、いまの「わざわざ」に通じる活動を知ることができます。「わざわざ」でいきなり挑戦したわけじゃないんですね。全2回。

◼️平田さんの育児論・家族論

二人の娘の母でもある平田はる香さん。育児や家族についても独自の考えをもっておられます。「私たちがやれることは選択肢をできるだけ沢山あげること。好きなことをできる環境を整えることは親としてやってあげたい。」と語る平田さんに学ぶところも多いと感じた記事でした。

◼️移住の話

もともの「移住日記」としてはじまったこの連載。初回から「田舎に住むと旅が身近になること」の記事までは、移住にまつわるエッセイでした。でも、移住にともなう住む場所選び、家づくりでも際立つのは、やっぱり平田さんのリサーチ力と考える力。庭の話など、みずみずしい文章も素敵です。

「仕事」や「家族」などさまざまなテーマで縦横無尽に思索を展開する「わざわざ平田の思索日記」。ぜひ、お楽しみください。

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