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喫茶山雅はブレントフォード

先日、飯田市に喫茶山雅2号店が進出することが信濃毎日新聞から報道されました。

これについてJ3に降格したこともあり、「今、そんなことにお金出している場合か」「俺たちのチケット代が」「南信住みだからありがたい」「絶対通う」など賛否両論ありました。

この意見の分かれ方についてマンチェスターユナイテッドが好きか、ブレントフォードが好きかみたいなことを思いました。
どういう事かといえば、マンチェスターユナイテッドはプレミアリーグで数々の栄光を掴み、デヴィッド・ベッカム、ウェイン・ルーニーなどスター選手達が在籍。また朴智星や香川真司が在籍したこともあってアジア圏でも抜群の人気があります。
その確固たるブランド力を活かし、ワールドワイドに広告や事業を展開。
多くの資金を選手獲得に投下し、資金の回収は勝利優勝に賭けるというハイリスクハイリターンな投資のようなもので、絶対的な黄金期を築く確率が上がる一方で勝利優勝から遠ざかる程、クラブ全体の歯車が狂いだします。

対してブレントフォードは20-21シーズンにチャンピオンシップからプレミアリーグ昇格を決め、昇格初年度の今期はアーセナルに勝利するなど旋風を巻き起こしています。
その経営方法はピッチへの投資を程々に、スタジアムや文化的なところに当てています。スタジアム名は「ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム」で「コミュニティ」と入っているのが肝です。
最近の海外クラブの主流は、オーナーがいて経営権などを握っています。
逆にブレントフォードは、サポーター会員がクラブを保有していたという稀有なクラブです。そのため、プレミアリーグに上がるためのスタジアム改修では地域にどの様な人がいて、何を求められているかを徹底的にリサーチしたそうです。
改修されたスタジアムにはセンサリールームと言われる子供専用のスペースやファミリーシート。障がい者の方も来場しやすいようにスロープを多く設けるなど徹底して市民に寄り添った「コミュニティ」が中心にあるスタジアム・クラブ作りがされています。
少しずつだけど地域に根付いて、地域の中で永く愛され続けるクラブ作りを目指すのは、毎月少しずつ積み上げていくiDecoや積立NISAのような投資方法とも言えて、目前に大きな利益こそないが時間を掛けて確かなものは残っていきます。

長くなりましたが
喫茶より現場に投資して欲しい派=マンチェスターユナイテッド派・ハイリスクハイリターン派
喫茶も現場も投資して欲しい派=ブレントフォード派・ローリスクローリターン派
だと思いました。
資源が限られる国内や県内で何を大切にして、何処に進んでいくのか向き合っていかなければいけません。

喫茶山雅を営業するうえで地域密着と共に少なからず「自力で収益を生み出すこと」、つまり「自立」が目的としてあると思います。
Jリーグクラブの収入は試合チケットで安定して支えられている面はありますが、それ以上にスポンサー収入によって支えられています。松本山雅では毎年チケット収入の約2倍のスポンサー収入があります。
これは非常にありがたいことですが、言い換えればスポンサー収入に頼っていることでもあります。
スポンサー収入に頼り過ぎる悪い例がテレビ局です。
スポンサー収入の比重が大きいが故にがんじがらめになっているのが最近のテレビ局で、ドリフターズや全盛期のめちゃイケが放送していた頃とは明らかに内容が違います。
インターネットが普及し、社会全体でホワイト化したことにより刺激的な放送をすれば直ぐに視聴者から連絡が入ります。番組制作陣は何かしらの処分を受けるようになっていて、テレビ局内の問題で済めばいいですが、その番組をスポンサードしていた企業も嫌われる対象になります。

あの番組は危ないからスポンサードを辞めよう

資金が集まらないから清廉潔白な番組作りをしよう

同質の番組ばかりに

というサイクルで日本のテレビはつまらなくなっています。
サッカー界でも同じことが言えて、スポンサーに依存し過ぎるが故に企画や事業推進が控えめの内容になったりするなど、スポンサーから背中にナイフを突きつけられながら活動しなければいけません。
自力で稼ぐ方法を模索していかないとテレビ局のようにTHE 普通と言われる番組しか残らず、同質化し、資金力の弱い番組から倒れていきます。

加えて、全国の中でも年齢層高めな信州ですから、勝とうと優勝しようとそもそも人が住んでいないのでスタジアムに集客できないという壁に早めにぶち当たる日がくると思います。
そうなるとフットボールクラブがフットボールだけで食べていくのは中々厳しい。だから週末だけではなく、平日も安定して稼げるコンテンツを持っておく必要がある。
そういう意味では喫茶店というのは山雅のルーツを辿れば意味があるものだし、コメダ珈琲がいい例で高齢者にとっても憩いの場になりやすい。
フットボールをするのにフットボールだけで稼ぐのは、この先ちょっと厳しそうだから結果的にフットボールにも還元できるような繋がりあるビジネスを探します的なものかと感じます。

まとめると、クラブがやりたいことをやりたいようにできるように自立し、権利をしっかり手元に残しておくことが大切だなぁと喫茶山雅のニュースから思いました。

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