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お金と山雅

松本山雅はGW頃に行われる株主総会にて損益計算書や貸借対照表などの財務諸表と言われる1年のお金の流れや現在の状況が記載された資料を発表します。

「クラブ内部の見える化」とは最近多く言われるようになりましたが、見たい側も見る努力をしなければ見えるものも見えてきません。日本では「お金=悪」と解釈され、お金について深く知ろうとする人は「がめつい」「守銭奴」と言われがちですが、僕らサポーターは一種の投資をしている訳ですから投資が正しいのか知っておくべきだと僕は思います。

そこで今回は、僕らのチケット代やスポンサー様方から集めたお金を株式会社松本山雅がどのように使っているのか資料から分かる範囲で解説していこうと思います。

まずは松本山雅が何処から収入を得ているか。

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単位は百万円です。(3→300万円、30→3000万円、300→3億円、3000→30億です)
近年ではクラブ収入の半分に近い額をスポンサー企業から得ています。特に2020年はコロナ禍で自社が厳しいであろう中でも9億以上のスポンサードを頂いています。サポーターの声はもちろん大事だけど、一番最初にクラブが耳を傾けなければならないのはスポンサー企業だということが分かります。

今季はJ3降格でのチケット代の値下げ+観客の減少があり、入場料からの収入が大きく減少すると予想されます。なので降格助成金が適用される2年以内にJ2復帰が実現しなければ、戦力や予算規模がJ2ベースからJ3ベースへと徐々に縮小することにも繋がります。
「J3に降格したからチケット代を安く」と言いますが安くしただけ来年以降の予算に影響があることを忘れずに、今年は安い分お友達を誘ってサンアルに行くようにしたいですね。

そして、降格しても安定して収入を確保できているのが物販です。
2015年までは物販での収入と移籍金やテレビ出演などで得られる収入が合算されていましたが2016年以降は別々で表示されています。

その17

安定して2億円ほどの収入を得られてはいます。
2017年は喫茶山雅の開業、2018年は首位昇格での記念グッズの販売などがあり大きく数字を伸ばしたと思われます。
2020年は新型コロナウイルスの影響による過密日程で、新グッズを出すスパンが短かったこともあり、1.8億円ほどまで落ち込みました。
2021年は年末にペール缶など怒涛のグッズ販売があったのでどこまで持ち直せているか注目です。
そして今期は「信州ダービー」「TOP OF 北アルプス」などの企画試合がありそうなのでグッズと絡めて伸ばしていきたいですね。

こんな感じの収入で2020年までやってきました。
今度はそれらのお金がどう使われていたか見ていきましょう。

こちらは1年のあらゆる活動のなかで、どれだけの金額が掛かったというものです。

その18

2014年→2015年と2018年→2019年でのJ1昇格したシーズンは一気に約5億円も費用が増加しています。
次にこの費用の内訳を見ていきます。

その24

フットボールクラブを運営する上で必要になる費用はチーム人件費、試合運営費、物販関連費、一般管理費などです。
とりわけ一番大きなウェイトを占めるのがトップチーム人件費です。選手と指導者の報酬だったり、移籍金などが含まれています。
松本山雅のこれまでの人件費はこの様になります。

その20

2014年→2015年で2倍に跳ね上がって以降、着々と上昇し続けました。
この中でも特筆すべきは2014年。自動昇格をかけて磐田と終盤まで争いを繰り広げていたシーズン。山雅は当時4億円ほどの予算。対して磐田は13億円と3倍近い予算の差を跳ね除けた1年でした。(当時の磐田はシーズン途中より名波監督が指揮)
2021年はチーム大変革が行われ、多くの選手の移籍加入がありました。多額の移籍金をかけたのか、フリーや契約期限の少ない選手を安く買ってきたのか分かりそうです。

こちらは費用の内、どれくらいトップチーム人件費にあてられているか示したものです。

その21

大体、費用の半分をチーム人件費にあてるのがJクラブのセオリーであり、山雅も踏襲している形です。
この金額が桁違いなのが2019年のヴィッセル神戸で費用が110億円、人件費が69億円とJクラブの中で規格外の数字。そこに14億円のチームがホームで勝てたのは誇らしいですね。

人件費の次に僕らに関係ありそうな支出として試合関連費があげられます。
スタジアム使用料、警備費、運営設営費などが含まれます。

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J昇格以降は、ナイター試合の増加、各所への警備スタッフの配置など急速に費用がかさんでいきました。
これを入場者数と比較してみましょう。

その23

当たり前ですが入場者が増えれば、試合関連費もかさんでいきます。違法駐車の根絶やVamos加入促進などで出来るだけ抑えていきたい数字です。
2020年シーズンは入場者こそ多くないものの、新型コロナウイルス対策として費用がかさんだものと思われます。

トップチーム運営費には、移動関連費、施設関連費、寮関連費、代理人手数料などが含まれます。

その25

2017年以降、急増しています。
単純に移動の負担を軽減するための飛行機や新幹線。選手寮の設備強化などに使用されているのであればいいのですが、2017年といえばセルジーニョ、ジエゴ、ダヴィなどの外国籍選手が多く加入した年でもありました。その際の代理人に上手くコントロールされていないことを祈りたい数字です。

最後に僕らに一番関わりある観客による収入について触れて終わろうと思います。

その26

客単価は入場料収入 ÷ 年間入場者数したものです。
高い席種が売れるほど高くなり、無料券などを配布すると安くなります。
客単価1700円台以上をJ2で3年以上続けられたクラブは仙台と山雅のみ。
またコロナ禍であった2020年シーズンは無料チケットが例年通り配られなかったことから、多くのクラブで客単価は上昇したものの横浜FM、新潟、清水に次ぐ数字。コロナ禍であってもお金を払って見る価値のあるコンテンツであったことの証明かと思います。

なんとなく山雅の立ち位置を理解して頂けたでしょうか。
2021年の決算公告は4月に行われると思うので、その際はまた比較していこうと思います。

引用

決算一覧
2011年度(平成23年度)
2012年度(平成24年度)
2013年度(平成25年度)
2014年度(平成26年度)
2015年度(平成27年度)
2016年度(平成28年度)
2017年度(平成29年度)
2018年度(平成30年度)
2019年度(平成31年度)
2020年度(令和2年度)


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