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アイドンノー展あとがき

おっす!ケンタソーヤング だよ!

2020年も無事にスタートしてみんな元気にしてるかな?オイラは早速男写凛っていう写真展も終えたり、相変わらず動き回っているけども、なぜか順調に太っていく一方だよ!

さて、ここで昨年末に行われた「#アイドンノー展」について書きたいと思います。主に、この展示をどう作っていったのか、どんなことがあったのか、などなど。書いたのは昨年末なんだけど、整理するのに時間かかっちゃった。

暇だったら参考まで読んでみてね。これから展示やる人のヒントになったら良いな〜!

目次
・アイドンノー展とは?
1.実は最初はアイドンノー展ではなかった?!
2.テーマ=骨組みができた時点で肉付けをする
3.出展者へのオーダーへのキッツいオーダー。
4.SNS運用を頑張ったアイドンノー展。
5.ワンフォーオールオールフォーワン。
6.秘訣はお汁粉に塩。
7.毎日変化する写真展。
8.お客様との距離感。
9.神は細部に宿る
10.カンパ制という体験(収支について)


1.実は最初はアイドンノー展ではなかった?!

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初期案が『parallel universe』展。
パラレルユニヴァース展と読みます。
異次元、別次元の、的な意味合い。
夜の写真中心の艶っぽい展示にしたい。

でもこれだとわかりにくいし、タイトルとしては在り来たりでオッさんくさいテーマとネーミングな気がする、、、

そこで変更!
候補をたくさん作り下の三つに絞りました。
『I don't know』展
『I don't care』展
『so what?!』展
のいずれかにしようかなぁと検討。

この時点でテーマがだんだん見えてくる。
お前のことなど知るか!
俺がこれが好きだから撮るんじゃ!
って展示にしたい。

ここまで見えたのでテーマを煮詰める。

テーマを若者の持つエネルギー、衝動みたいなところを表に出すもの。SNSにある何処かで見た写真はNG未発表作品でも既発表作品でも可だが、とにかく衝動的なものが欲しい。

お前など知ったこっちゃない
お前のことなど知らない
君のことなど知らん!
有名な写真家?そんなん知るか
お前の作品の良さは俺が見て決める
そんな展示にしたい。

骨肉のぶつかり合いみたいな表現
どんな表現でも、その写真が尖っているものであればオッケー

イメージは、ナンバーガールの「sapporo omoide in my head状態」のアルバムに入ってる曲、「I don't know」その曲のタイトルでよくない?

アルファベット表記だとダサい気がする。
カタカナの方がエモいかな?

「アイドンノー展」

こんなイメージで作り上げました。




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2.テーマ=骨組みができた時点で肉付けをする

「SNSなど何処かに落とし込めた写真ではない=自分の好きなことやりなさい!」ってことを骨として、
そこに精査を繰り返しながらサブテーマを肉付けしていきました。

サブテーマ①
・若者の育成を兼ねるもの

要は「バズっている」子達に向けて展示の面白さを知らせていきたい!というと思いはあった。まずはツイッターなどで声をかけていく。マネクリ、yuriaちゃん、ヒサノなどなるべくまだ絡みの少ない子を誘って行きました。メンバーの候補にはsaraちゃんや杉本くんもいましたがスケジュールの関係で断れました。6月から探し始めて、確定は10月頭でした。

サブテーマ②
・SNS系写真家と展示クラスタの写真家の交流の場であること(お互いに良い影響を残せるようにする)

SNSでは目立ってないけど展示が素晴らしい人を呼びたい!そこでお互いに影響しあい、生まれる「なにか」を僕が楽しみたい。

サブテーマ③
・写真展として「敷居」をとことん下げ、足を運びやすい雰囲気づくりをする

体験型の写真展にすることで、拡散を狙う。「写真展はおじさんたちがやるもの」というイメージを払拭しつつ、「写真を体験することで」よりこの写真展が来てくれた人たちの記憶に残るようにする。

サブテーマ④
・パーティ感を出し「フェス」のような雰囲気を作り、交流を促す。

年末だし、忙しい中でも人は集まりやすく、「誰かに会いたい」という心理があるもの。なので夜遅くまで空いてる場所がベスト。故にコンシールで場所を確定させたい。

サブテーマ⑤
・見に来てくれた人たちが何かを感じて持って帰っていけるものであること

キャプションを全員必須とする。そして、強制ではないが、なるべく1人一冊ブックを作ること。そして、トークショーなどのイベントを毎日設定する。

3.一番こだわったのは「敷居を下げること」

実は骨組みであるテーマよりもこだわった部分がこれです。
写真展とは、おじさんたちのやるものから、「写真上級者がやるもの」へとイメージが変わってきてはいますが、「写真展」と聞くとまだまだ足を運びにくいもの。

アイドンノー展の会場であるギャラリーコンシールは、渋谷駅から近い、カフェがある、遅くまでやっているなどの利点はあれど、ビルの外観の古さなどで割と入りにくい雰囲気はある。(知るひとぞ知ってる場所のイメージはまだある)

とにかく足を運びやすい、「行ってみたくなるような展示の作りを追求すること」が命題である

これは筆者が同年に参加した写真展に参加してみての個人的な反省と感想が大きい。コンシール自由度の高さは良いが、同場所の分かりにくさはかなりの課題になることが分かった。

写真展の敷居の高さより低くし、足を運んでくれた来場者に、この写真展について広く宣伝してもらえるような作りにするためにはどうしたらいいか?

その答えの一つとして、体験型の写真展がある。

会場は撮影可能、SNSの投稿は可能(ただし作品の接写は不可)とした上で、何を体験してもらうか?

では体験とは何か??

ワンアクションでいい。
展示でしか体感できない「工夫」を施すこと。
例えば、書く、閉じ込められる、透かす、見渡す、座る、話す、など。
一つの単純動作でいい。これを何種類か組み込むことで、会場全体を作品とし、「見に来たお客様が一緒に参加することで、あたかも写真展の当事者であるように感じられる空間」を演出する。

これにより、見にきたお客様が写真を撮ってSNSでオススメしたくなるような展示にしていく。

口コミで広がっていくはず。口コミが広がれば人は来てくれる。

などなどの効果を狙って、会場のレイアウトを出展者たちと一緒に考えていきました。



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3.出展者へのオーダーへのキッツいオーダー

前述で出展者は6月から誘って行ったと書きましたが、誘い方は至極かるーーーーいもので、
「展示やろ!」のラインを入れただけでした。なんというか「飲みにいこうぜ!」のノリ。

んで、「やるやる!」と帰ってきた子達に対して、僕からのキッツいオーダーが以下なんですが、
・舐めた展示やったらブッ殺す
・なるべくブックを作ること
・小さい展示やるなら工夫が必要(=でかくプリントしろよ
・写真を貼るだけならバカでもできる。空間演出しろ

、、、、はっきり言いますね、俺、鬼ですね👹

今回の半数が、初めて写真展をするというメンバーだったのですが、これだけのプレッシャーと要求を施す主催者なんて自分でも見たことはありません。

キツい要求をする代わりに、希望者には毎週1回以上、コンシールで打ち合わせをしました。そして、大きく展示する以上、印刷代がかかります。そこは普段からお世話になってる印刷会社様に依頼して、特別料金でそれぞれ受けてもらいました。もちろん希望者全員のレイアウト相談も受けましたし、写真展初めてのメンバーの半数は僕が展示のレイアウトに関わっています。

これが個展なら、こんなまどろっこしいことはやりません。しかしこれはあくまで一つの合同展なのです。
合同展である以上、みんなで協力しあっていい展示にする!という思いの統一は絶対必要なのです。
そんな僕の思いに、出展者が全員応えてくれました。このことに関しては感謝の一言しかありません。


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4.SNS運用を頑張ったアイドンノー展。

先に書いたように、アイドンノー展はSNSでの拡散を狙って行ったところはあります。(もちろん展示のクオリティが高くないとお客様は拡散してくれませんので、あくまで二の次という観点ですが)

「人は体験を伝えたくなるもの」というのが僕の持論です。SNSで見たものをSNSで広げるのはRTボタン一つで簡単に出来てしまうものですが、そこには「実際に体験した」という事実が抜けてしまいますし、そういう行為には「体温は籠らない」とも感じます。

もちろん、「体験型の写真展」も、「人と人との繋がりを大切にすること」や「写真をじっくりみてもらうこと」が抜けてしまうと、ただの体験重視型の施設で終わってしまいます。あくまで「写真展であることを大事にしながら、その感動を伝えてもらうようにしなくてはならない」と考えました。

来場された皆様には、一人一人にキチンと対応して、この写真の面白さを伝え合うようにすることを旨に対応を徹底。
受付の子にも来場される方には特に丁寧に対応する。
そして「よかったらSNSで宣伝してもらえると嬉しいです」と一言添えてもらうようにする。
こうした「おもてなしの姿勢」を徹底することでも、SNS上で反応を見ていき、
書き込みがあった方にはできるだけ反応して、SNS上でもなるべくお礼を言うようにする(余裕のない時はRTかLIKEになってしまってましたが)

(漏れもあったんですが)こうした小さなアクションを丁寧にやっていくことで、SNSでアイドンノー展の反響が広がっていくはず。
そんな思いでやっていきました。結果は皆さんも感じているところでしょうけども、とても良いもので、平日には各メーカーの広報の方々がたくさんいらっしゃいましたし、最終日には噂を聞きつけたぜ!的にヒーコさんなどメディアの方々も続々と登場。それぞれの皆さんが口を揃えて「楽しかった!」と言ってくれたことは何よりの宝です。


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5.ワンフォーオールオールフォーワン

展示の準備は半年以上前からスタートしたわけですが、いよいよ搬入の当日に東京の出展者であるメンバーが急遽仕事で搬入に来れないことがあり、搬入はギリギリのメンバーでした。SNSで搬入のメンバーを募集したところ、出展者以外の6名のメンバーが集結!一人はなんと関西からこのためにきた!(あほか!ありがとう!)

出展者の半数が展示を初めてやる!というメンバーだったので、不安もありましたが、印刷物はそれぞれ最高に仕上がりで持ってきてくれたし、代理搬入の方も図面はLINE上で管理していたので、共有はスムーズに行われていました。それでも!搬入はギリギリ時間オーバー!でも安全に最後まで仕上げることができたのはみんなのおかげで。

結局搬入はオープン時間に30分ほど食い込んでしまったがパーティまでの流れはスムーズ。初日のイベントとして、マネクリとひさのくんに「合コン」を主催してもらった。出展者と来場者が「合コンごっこ」を通してより深く交流してもらう狙いだ。出展者も来場者も参加者全員めちゃくちゃな笑顔で、とても楽しい時間になった。僕はこんな時間が作りたかった。幸せを感じる瞬間だった。

これの様子をツイッターに流しところ非常に不評でSNSでたくさんクレームが書き込まれているのを発見した。主に展示界隈の友人達からだ。(まぁそりゃそうだ。僕も軽率だったし、流し方も悪かった)

でも、そのクレームがあったおかげで、僕も気を引き締めたし、出展者でこれを共有できたのは大きかったと思う。思ったことを言ってくれた友人達に今は感謝してる。この時、僕の武器は、こうして忌憚のない意見を言ってくれる友人が多いことだと思った。そして出展者の中にも、「展示は楽しい。でも自分たちだけが楽しいだけじゃダメなんだ」という気持ちが芽生えたことが、何よりの有り難かった。この展示を通して、みんなに改めて感謝する気持ちだ。まさに全員野球の雰囲気。2日目で全員でこのトラブルを乗り切れたことが、この展示の良い空気を作ったきっかけになったと言っても過言じゃないね!



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6.秘訣はお汁粉に塩。

この展示で目立ったのはマネークリッパー吉沢こと、あきほと、
数々の展示を主催してきた個性派モデル兼作家のポンさん
この2人の存在だ。

マネクリに関しては、自ら「コミュ力オバケ」と名乗るぐらいコミュニケーション能力が高い。ただでさえ写真も上手いし、(黙ってりゃ美人だし)、来場するお客様全員に話しかけるかける。

そして何より素晴らしいのは「来場者に対して、自分の写真だけでなく、他の出展者の写真の良いところも勧める」ところだ。こいつが色んな人に好かれる理由がわかる。

マネクリの立ち振る舞いを見て、在廊していた他の出展者も彼女の様に接客をするのだ。ここに一体感が生まれた。SNSで見かけて会うまでマネクリは男だろって思ってたら人も多くてビックリだったろう。もうなんつーか、この女バズる要素しかないよね!

そしてポンさん。僕は彼が主催していた【ポンさん展】を見た時から、アイドンノー展には彼を入れたかった。「ポンさんの展示&ブックの面白さを全国に伝えたい!」と思ってた。

ポンさんの立ち振る舞いは本当に柔らかく、飄々としてるように見せて、痒いところ手が届く。DMやらキャプションやらを作ってくれただけでなく、在廊時のピリリと辛みの効いたサポートも素晴らしい。

ポンさんがいないとアイドンノー展は成立しなかったろう。展示も最高で、彼の展示をみた出展者、来場者がポンさんワールドに誘われたこと請け合いだろう。

ポンさんないし、三橋くんに関して言うと、彼らは言わば【展示の超絶上級者】。僕がSNS界隈の人たちに見せたかった「展示とはこうやるのだ」というのを見に来てくれた人たちに感じて欲しかったのだ。

例えばA室はSNSで「バズってる芸人」を集めた中に、三橋くんという存在をブチ込む。三橋くんの作った「電車の中の写真展」。そして付随する「駅と彼女」のポートフォリオ。これがどんな作用を起こしたかは来場者には感じ取れただろう。思った以上の化学反応を起こした。

この効果を僕は密かに「お汁粉に塩」と呼んでいる。

甘いスイカに塩をかけると引き立つそれだ。

例えば音楽がドコドコ流れてる空間を敢えて間仕切り、ひっそり奥まっている空間を作る。そして、そこにクウガちゃんの静かな展示を入れる。お互いに引き立って、とても良い空間に仕上がる。展示にリズムがつき、飽きない作りになる。

艶っぽいポートレート空間になったB室にdkさんというロハスで爽やかなグラビアをブチ込む。そうすることでより他の艶が増す。嵐田さんの展示も良い箸休めになる。

レイアウトに関しては希望制を取ったが、半数以上はこちら任せだった。なので、色々考えてあのレイアウトに至ったわけだが、全てごちゃまぜの様でいて、割と計算したんですよ笑



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7.毎日変化する写真展

展示をやるにあたって「好きにしていいよ!」ということに一番目を輝かせていたのはヒサノモトヒロだ。彼の展示はテーマに則り、毎日入れ替えられて、最終日に完成するという奇抜なスタイルを取っていた。(初日見た瞬間、こいつは本物の天才だと改めて確信した)この自由度の高い展示を見事に使い切っていたと思う。

実はすごい大変だよね、このスタンス。展示を変えるために、毎日朝一に会場にいなくちゃならない。それだけでも大変なのに。搬入中に作品を作るスタンスには笑ったが、出来上がった作品は彼にしか作れないもの。この天才にももっと世界を羽ばたいてほしいなって本気で思う。

実は他にも展示を変えていった、いっしんとひさめくん。彼らも色々反省があるのかもしれない。でも、毎日ほぼいてくれたし、何よりも展示を楽しんでくれてた。「自由度の高い展示方法ができる」設定を何より使いこなしてくれたことに感謝が止まらない。

日々のオペレーションも変えて行った。お客様の対応なんて毎日変えてるし、装飾物も毎日付け足した。なので、気づきにくいけど、毎日来る人もそんな変化を楽しんでもらえたのではないでしょうか!



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8.お客様との距離感。

これは多分マネクリの影響だろうな。今回の展示はそれぞれの距離感が近くて、それが楽しかった。そんな風に書かれたツイートもチラホラあって、みんな同じことを思ってくれてた。
展示は写真をただ飾るだけでも出来るものだけども、今回の展示は「イベントの体を成している」面もあるから、展示の質だけじゃなくて、出展者の「おもてなしの仕方」も重要になってくる。

先にも書いたけど、反省はすぐに共有して、声をかけあえる仲にまで関係性が深まったメンバーだ。最高のホスピタリティで、というより全員で和気藹々した雰囲気を作れたと思う。

アイドンノー展のお客様の中には、ほぼ毎日来てくれたリピーターさんもいたのだけども「出展者の連携がとても良かった」という声があって、「見ている人は細かいところまでちゃんとみてくれている」と改めて感謝。


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9.神は細部に宿る

色々細かいところまで書いたけど、ここまで細部まで僕の思いが行き渡った展示は自分でもなかなかできないなって感じてます。

イタリアの家具職人が「神は細部に宿る」なんて名言を残してて、僕はこの言葉が大好きなんだけど、「細かいところまで気を使いあえる」姿は、お客さんだけでなく、出展者同士でも「ネ申」の存在を感じあえたのではないかな?って。何言ってんだコイツって思われるかもだけどね。

細かな配慮を神経尖らせず楽しみながらできた。
こう書くとすげえことだなって思うよ。

すごい長くなっちゃった。
こんなところまで読んでくれてる人なんていないとは思うけど、読んでくれていたらありがとう(反語)

兎にも角にもソーヤング的にはやりたいことできたし、目標としたものはほぼ達成できたという実感!これも全ては出展者とお客様のチカラです。本当にありがとうございました!!!!

多謝!





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と、ここからはちょっとお金の話。

10.カンパ制という体験
写真展とは多分初になるだろう、カンパ制をという形を導入しました。その理由や収支について書いてあるのでこの先は有料100円で。


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ありがとう御座います!!これからの励みになります!ハゲ散らかすほどに感謝してます!!!