《原稿用紙1枚の物語》ライトニングケーブルに縛られて……

謙です。妻がライトニングケーブルを持って、眉間に皺を寄せています。なにごと?

ライトニングケーブルに縛られて……

妻が手に何やらコードをぶら下げて眉間に皺を寄せている。

「このコード、iPhoneのやつでしょ?」
「ああ、ライトニングケーブルってやつだ」
「あなたも私もAndroidユーザなのに、これが車にあったの。おかしいと思わない?」

(あ!)と思わず口に出そうになる。浮気相手とドライブに行ったとき、彼女がiPhoneを車の中で充電していたのだ。

「なんか知ってる?」

妻の口調は追求する検事のようである。

「知らないけどなぁ」
「ということは、誰かが、このケーブルを車の中に投げ入れたとでも?」

とぼけ続け、結局、機嫌を取るために、妻を高級フレンチに連れて行き、ブランド物のバッグを買わされた。もちろんお金はぼくの小遣いから出た。そして例のケーブルは妻の引き出しにしまわれている。

「持ち主が現れたら、返してあげないと、ねェ?」

あとになって、浮気相手に訊いてみるが、ケーブルはちゃんと家にあるという。

「妻に感付かれているから別れよう」と話すと「別れるなら、ライトニングケーブルの女です、って奥さんに言うわ」と断固拒否。しかたなく続いている。

あのライトニングケーブルを車に置いたのが誰だったのか? もう知る由もないが、そのケーブル1本でぼくが縛られているのは確かだ。


あとがき

今回のお題は「ライトニングケーブル」で、かみいち@クリエイター宣伝部さんからのリクエストでした。

お気に召しましたでしょうか?

正直に言えば、今まで書いてきた中で最難関でした。なんか、おもしろい話のとっかかりまではできても、どうしてもオチがつかなかったり、長々としてまとまらなかったり、苦戦しまくりましたね。

先日書いた『釘』もかなり苦戦しましたが、『ライトニングケーブル』は恐ろしい難敵でした。

でもその分、おもしろくもありましたね。何度でもお待ちしておりますので、またリクエストお願いします。


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ケン

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コメント5件

ありがとうございます。ライトニングケーブルはすごい難しかったですけど、おもしろかったです。コラボ、いつでも歓迎です。
文章力が足りてないのでコラボ内容が限られますけど、朗読とかで組めましたら……!
ユタカさん 朗読、ってわたしの作品を読んで頂けるってことですか? それは嬉しすぎます。
もちろん、作品をです! 本当は文章でどうにかできたらいいんですが、ここ最近離れすぎててたぶんなんも書けないので、声だけでも、と。
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