《原稿用紙1枚で考える》新聞を配る少年のこと

小さな町に新聞配達の少年がいました。

町に家族も友達もいない少年は孤独に新聞を配ります。

いつも家の前に立って「遅い!」とか「折り方が雑!」と怒鳴るお婆さんがいました。ジッと睨み付けてくるお婆さんが嫌いで仕方ありません。

ある日、我慢できなくなって「うるさい!」と言い返すと、お婆さんは「ふん」と漏らして家に入ってしまいます。それからというものの「遅い!」「うるさい!」と言い合うのが日課となりました。

半年ほどしたある日から、お婆さんは睨むのをやめ、そっぽを向いて怒鳴るようになりました。それでも怒鳴り合いは続きました。

何年も経ち、少年は成長期を迎えます。ずっと続いた怒鳴り合いは、お婆さんが亡くなって終わりました。

教会の葬儀で町の人が話すのが聞こえました。

「あの婆さん、いもしない孫の話ばかりしていたよなァ。目が見えなくなっただけじゃなくて、頭までおかしくなっていたんじゃないか? 孫が声変わりとか、ちゃんちゃらおかしいや」

少年はひとり泣きました。

新聞を取り続けてくれた友だちのために泣きました。

〜 あとがき 〜

今日はやり方を変えて、物語にしてみました。いかがでしたでしょうか? 今後はこういう物語調のものも織り込んでいきたいと考えています。

普段小説を書くときは原稿用紙で30〜60枚くらいで書くことが多いので、約1枚という縛りはなかなかに難しいと同時に、おもしろくもありました。

というのは作り手のひとり言ですが……。


高校生の頃、新聞配達をやっていました。いるんですよね〜怒鳴る人。郵便受けの前で待ち伏せして「いつもより遅いぞ!」とか言うやつ。

なかなかうるさい、とは言い返せませんでしたが……。

でも、朝刊配りの最後に朝日が昇るのを見るのが大好きでした。

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《原稿用紙1枚で考える》


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ケン

原稿用紙1枚の物語

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