万引き犯の彼女と僕の関係

ケンです。コンビニでバイトをする『僕』が見た万引きの現行犯。彼女を助けるつもりで、代わりに支払ったものの……。

万引き犯の彼女と僕の関係

桜が咲き始める頃、バイト先のコンビニで、女性が万引きするところを見た。彼女は中学校の同級生だったが、僕に気が付く様子はなかった。10年も会っていないのだから仕方ない。

捕まえる気にもなれず、かといって無視すれば売上でバレる。彼女が盗ったのは100円のパン。ぼくが代わりに支払った。

彼女は数日おきに何かを買い、何かを盗んだ。そのたびに僕は彼女の代わりに支払った。僕がいないときに彼女が現れたら困る、と出勤日も増やした。

桜が緑色に染まり、陽射しが夏のそれに変わっても、ぼくらの関係は続いた。

彼女に対する気持ちを整理できなかったが、別のバイトの女性に告白され、それを断るとき、なんとなくわかった。

彼女は夏を終えても万引きを続けてくれた。万引きをするときも、必ず何かを買う。その会計をするとき、ぼくは喜びを感じた。

ある日から、彼女が男を連れて来るようになった。そういう日は何も盗らない。でも、あとでちゃんとひとりで来て、盗ってくれる。僕が買ったお菓子やパンを、彼女が食べてくれている。

夏の終わり、彼女がレジに持ってきた雑誌を見たとき、息を飲んだ。結婚情報誌だった。

——たぶんぼくは払い続けるんだろうな。

釣り銭を返しながら、そう考えた。


あとがき

最近、ぼくがよく考えるのが「投資」です。

もっと言えば「自分の投資感覚の弱さ」です。

たとえば趣味のために1万円の何かを買うことは厭わないくせに、なにかちょっとしたビジネスで1万円を使う事は躊躇する。そういう投資こそ重要なのに。

性格なんでしょうね。性格を変えるのは難しいから、仕組みを変えるべきだと考え、「投資予算」を決めることにしました。年10万くらいかな。この金額は臨機応変に考えますが、生活費や趣味のお金とは切り分けて、「使うことを義務化する」ことにします。

普通お金って「使わないこと=節約が美徳」であって、「使う事が美徳」とは言われないと思うんです。ビジネス的感覚が優れている人は「使う美徳」を知っている気がします。

かといって際限なく使うわけにもいかないから、予算を決める。いかにもロジカルで、気持ちが良い。

こうすると自分的にも気持ちよく使える。

というわけで、自分の性格的に苦手なことは仕組みで変えるのが吉です。


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ケン

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コメント2件

朗読させていただきました。今回もありがとうございます。
https://note.mu/yutakahattori/n/n479cd333bb9a
ユタカさん! ありがとうございます!
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