《原稿用紙1枚の物語 コラボ企画No7 by響由布子》下駄

響由布子さんの作品です。『母は泣いた。三郎は頑張って泣かなかった』

下駄

金時村では豊作を祈って毎年天狗様に新しい高下駄を奉納しているが、それは良く育った桐の木一本を犠牲にし、柾目に作るのが習わしだった。

 今年は三郎の家にある桐が選ばれてしまった。姉が生まれた時、嫁入り道具の箪笥を作るつもりで母親が植えた桐だ。

 木の成長を楽しみにしていた姉は、つい先日病で死んだのが残念だった。

「他の家の桐にしてくんろ」

三郎の願い虚しく亡き姉の木が切り倒され、一本脚の高下駄が作られた。若くして病で散ったあの子が不憫でならないとは母は泣いた。三郎は頑張って泣かなかった。

高下駄を奉納した日の夕方、三郎は小高い丘の上から夕陽を眺めた。

黒い影が東から西に飛んでゆくのが見え、三郎は思わず手をかざした。

はじめて見る鴉天狗だった。その烏天狗は身体の小さな鴉天狗の手を握って飛んでいるように見えた。

小さい鴉天狗がこちらを向いた。真新しい高下駄を足に引っ掛けている。

「あっ 姉ちゃん!」

 姉は鴉天狗の嫁になったのだ。二つの姿はやがて夕空に消えて行った。


あとがき

響由布子・武重謙 コラボ企画 第7弾」です。

お題は『下駄』でした。いかがでしたでしょうか?

《コラボ企画の詳細はこちらをご覧ください》

とうとうコラボ企画も最後です。みなさまいかがでしたでしょうか? 短期間で7つも作品を書いてくれた響由布子さんに拍手をお願いします。

最後ですので、ご本人からのあとがきです。

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どうも、響由布子と申します。お読みいただき有難うございました。

武重さんとは長い付き合いです。私が長編デビューする前の時からのいわゆるネッ友です。

最近は長編官能小説ばかりを手掛けていましたので、400字小説には思ったより苦労しました。

ですが、詩はもっと文字数少ないのに世界が出来てるだろ! と自分の尻を叩いて書きあげました。

くだらない話の数々、少し笑って少しハッピーになっていただけましたら幸いです。

最新作を紹介させて下さい。
「ゆうわく透明人間」(Amazon楽天
2016年6月に続編が出ます。
もし良かったら買ってみてくださいね。

エゴサーチをしてみると、時々女性の愛読者が見つかります。

とても嬉しいです。どうもありがとうございます。

老若男女の皆さま、店頭で見かけたらお手に取って買ってみてください。

よろしくお願い致します。

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ケン

原稿用紙1枚の物語

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