子どもは親を支えているということ

謙です。親が子どもを育てるなんて思ったら大間違い。子どもが親を育ててるんですよ。

子どもは親を支えているということ

妻は散々怒鳴ったあとで、今は寝室にいる。

起こった理由は簡単で、息子の運動会と、Jリーグの観戦を天秤に掛けたことだ。

わたしはJリーグが始まって以来、ひとつのチームを応援し続け、今じゃ応援団の中でも中心的立場になっている。耳鳴りがするほどの歓声の中で、大太鼓を叩くことが生きがいだった。

「運動会を途中で抜けて、試合に行っちゃマズいよね?」

ダメ元で言ってみた言葉に妻がキレた。

「バカじゃないの? 自分の子どもを応援しないでどうすんの?」
「まぁ、そうだけど……ほら、俺がいないと大太鼓が抜けちゃうし」
「あんたねぇ、わかってる? 頭おかしいんじゃないの?」

妻が正しいのは分かってて、謝ってみたけどケンカは収まらず、その晩は口をきいてくれなかった。

少しでも子どもとサッカーを比べてしまったことが申し訳なくて、寝る前に息子の部屋を覗こうと思ったけど、寝てしまったのか、物音ひとつしなかったからやめた。

翌朝、息子は、真っ赤な靴下を穿いていた。私が応援するチームのユニフォームカラーだった。

「これで両方の応援ができるよ」

家を出るとき、息子は笑いながらそう言った。申し訳なくて、トイレでひとり泣いた。


あとがき

この年になって「アマチュアの強みやおもしろさ」が分かるようになった。

昔は「やるならプロじゃなきゃ!」と信じていた節があって、プロを目指さないなら、なんのためにやっているんだ? とさえ思っていた。

「趣味で良いんです」

と言い切れちゃう人が嫌いだった。どんな分野でも、やるならプロを目指すことが礼儀というか、「本気の証明」みたいに思っていて、たとえばバンドをやるなら当然プロを目指すものだと信じて疑わないところがあった。

でも今は、アマチュアだからこそのおもしろさがあると確信している。

プロにはできないことを、アマチュアはやれる。採算度外視で、儲からないものをつくることもできるし、ほとんどだれも欲しがらないものを生み出すことだって厭わない。

そういうものが、時としてめちゃくちゃおもしろいものになる。

ネットが発達して「プロとアマの中間」みたいな人が増えていることが、私はすごくおもしろいことだと思っている。

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