《原稿用紙1枚の物語》第2の人生を謳歌せよ

武重です。引退し、第2の人生を楽しみたい。だけどうまくいかない。そんな父を持つ子どもは心配しちゃいますよね。でも……。

第2の人生を謳歌せよ

駅に迎えに来てくれた母の口から、さっそく父へのグチが出た。

「第2の人生を謳歌する、なんて言ってたのに今じゃTVの前で寝るばかりよ。埃まみれのウクレレやら釣り竿やら、枯れた盆栽に、魚のいない水槽だけが残ったわ」

反比例するように母の外出は増え、まさに人生を謳歌していた。

父は会社員時代に重役だったからか、趣味のサークルで下っ端扱いされることに耐えられないらしく「連中が偉そうなのが気にくわない」と言ってすぐにやめてしまうらしい。

実家に着くと父はパジャマで相撲の中継を見ていた。

「退屈してるみたいだね」
「そんなことないぞ、暇を謳歌してるんだ」
「それは暇を持て余すって言うんだよ。盆栽サークルも辞めたんだって?」
「俺には合わない」
「あら、あなたは部下とか後輩とか、目下の人間としか会話ができなくなっちゃったのよ」

母がなじるのを父が睨み返した。

「それじゃ、ちょうどいいニュースがあるんだ」
「なァに?」と両親が声を揃えた。
「半年後に、2人に孫ができるよ。ゼロ歳児だから目下だろ?」

母は高笑い、父は「参ったな」と頭を掻いていた。

あとがき

今回のお話はエソラコトナリさんからのリクエストで『謳歌』をキーワードに書きました。エソラコトナリさん、リクエストありがとうございました。お気に召しましたでしょうか?

何度でもリクエストしてくれていいので、また気が向いたらお願いします。m(_ _)m

こうやって、お題をもらって書くというのは、この《原稿用紙1枚の物語》の連載では初めてですが、かつて自分たちで主催していた小説の勉強会ではやっていました。

そのときは3つのキーワードをランダムに出して、その3つをすべて含む小説を書くという訓練をしていました。たとえば『盆栽・老人・安全ピン』なんてやりましたね。懐かしい。

難しいのですが、いつもなら書かない小説を書くいい練習なんですよ。

もしこれから小説を書こうと思っている人にオススメします。


【募集】あなたの言葉を小説にします!

この「原稿用紙1枚の物語」はキーワードを決めて、そこから広げて書いています(例えば今日は “謳歌” がキーワード)。

みなさまからも、小説にして欲しい言葉を募集します。
“あなたが好きな言葉” を送ってください。わたしが小説にします。

条件はとくにありませんが、困らせないでください m(_ _)m

コメント欄に書いて頂ければ、後ほど小説になって返ってきますよ

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ケン

原稿用紙1枚の物語

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