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The Creators2021を中から眺めて

非常に分かりやすく、雷に打たれたように、また、胸を打たれ、心臓を抉られ…というほどではないが衝撃を受けたという話をつらつらと書き溜める。

ただ、この日(2021年10月23日)に改めて核心を突かれてとても不快で残念な気持ちにもなったのは確かで、自己へのカウンターとして一抹の顛末と筆者の気持ちを書き連ね、どうにかこうにかカタルシスを得ようとした惨めな自称Creator(32歳・福岡市在住)の言い訳でもあるので、これを読む方には終始我慢を強いることは予めご了承をいただきたい。

ずっと駆け出しの、永遠のアマチュアクリエイターの皆々様(朋友)には少々耳が痛いどころか、すでに虫唾として這い回っているであろう共感性羞恥を是非とも幾許かの時間くらいは満喫してもらいたい。

思えばこの自身の気取りきれてもいない珍妙ともとれない文体についても、mixi時代から続く歪みみたいなものなので、極力、文字情報として正確に受け止めてもらいたい。
すべて本物のクリエイターズに入ることを諦めた自分が、「何者」かになろうとしている段階の試行錯誤と見栄、あるいは過程の話だということは繰り返し記しておきたい。

The Creaters2021について

新たな文化やテクノロジーに触れ最先端エンターテイメントを体験できる2日間

https://the-creator.jp/about.html 参照

文字通り、音楽や映像、文化、伝統、技術といったクリエイティブをエンターテインメントとして体験できるイベントで、コロナ禍で人々が失いつつあるフィジカルな体験を実現した、次世代に意義を持たせる意味も大きいように感じた。
演目の全てではないもののYouTube配信もされており、そのハイブリッドな形も相まって今後のベンチマークとなり得るのだろう。

ステージ前には柵などで制限があるものの、間近で見ることができるようになっており、その後ろのスペースでは座っても見ることができるようになっている。
飲食やアルコールの制限等、会場全体には感染対策のルールが徹底されていて、ニュースタンダードに適応した新人類にとってはこれはこれで居心地がよく、あえて悪く言えならば、物足りなさや息苦しさを感じる人もいるのだろうとは思う。
が、これこそ平等を超えた多様性とも言えるのかもしれない。新しく芽吹いた個々の未成熟なイデオロギーが不揃いなパーソナルスペースを確保しているようでもあった。

僕は意地が悪いので、これは単なる催事、単なるライブ、単なる食事、連続性は同会場の地続きであること以外ないのかもしれないと思いたかったのだが、大小あれど産む苦しみを知っていて、アウトプットする試練を乗り越え、それが対価を生み出し誰かの心を動かし、賛美の声も批評の矢が飛んでくる中やり続ける、そしてその場所をこの時代に、墓標になりつつある市役所前の天神のど真ん中におっ立てたということに改めて凄みを感じつつ、ああ来場してよかった、関係者並びにガガーリンの気持ちも少し分かるなあと月並みに思った。

来場のきっかけ

今回このイベント自体は、僕が通うぬのまき歯科の医院長であり、GLaSSY MUSICの主催である布やんことDr.シンゴヌノマキa.k.a.どんぶりから聞いて知った。

歯のトラブル、とくに歯周病にお困りの方、歯医者が苦手な方は是非とも御用命頂きたい。
親身になってくれるし、これからの治療の方針や今日は何するか、今は治療のどの段階にあるか、きちんと説明をしてくれる。
(人気なのですぐに予約が取れないことくらいは目をつぶって欲しい)

ぬのまき歯科


今回、クリエイターズに出演するカンサノ他出演者のアテンドをするらしい。
僕がクリエイターになるきっかけをくれた人でもあって、最大級の感謝をしている人物だ。

とりあえずHPでも見てみるかと、日々情報が更新されていく中、ステージに出るアーティストを眺めていると、見慣れた名前を見つけた。

BOAT

BOATは福岡は天神、那の津の競艇場の横、元質屋の金庫となっていたビルの一室のスタジオを拠点に、それぞれ仕事を持ちながら楽曲制作やアートワーク、映像制作を行う2018年にはじまったクリエイティブ・ユニットだ。
YOHLU(ヨール)、MADE IN HEPBURN(メイドインヘップバーン)、New oil deals(ニューオイルディールズ)などが所属していて、ボスのYaungTa oを中心に、福岡のみならず東京、台湾など、福岡のエリアのみならず、ラジオや各種メディアをまたぎ、福岡にあって独自のコレクティブな存在感を放っている。

以前から親交のあったbokehが所属しているため、何度かBOATのスタジオに遊びに行ったことがあるのだが、ぼくのかんがえたさいきょうのひみつきち感よろしく、コンクリ打ちっぱなし、冷蔵庫完備、屋上ありのナイスなかっこいい空間ではあるけれど、プロフェッショナルな雰囲気は隠しきれず、出入りするクルーを時折り眺めていたが、等身大でルーズな社会人であると同時にストイックなクリエイターの矜持をビンビンにさせられる。
その刺激は今もなお続く苦悩と解放の快感の狭間にある一丁前のCreatorとしての在り方を改めさせるのに十分であった。
それは決してプロとアマという対比ではなく、やるかやらないかという以前の別れ道にあって、楽しいか楽しくないかというもっとリビドーの部分、はじまりの衝動の差なんだろうと今は考えている。
この人たちにはそれぞれ才能があっていいなあ、ステージに立つ快感とはさぞ良いものなんでしょうねえ、と物臭な感情に苛まれることはあったが、何度も彼らのライブを見るうち、そしてbokehとの何気ない会話から聞く話の中で見つけた感情を今はどうにかこうにかカタチにしたいと思っている。

クリエイトするのは超簡単

今この瞬間、人は何かを産み出す準備をしている。
それはインプットだったり、思考であったり、今日の予定を思い描いて、過去の出来事を振り返ることもまたクリエイティブに必要な助走だ。
あとはTwitterを開いて「うんこ」とでもつぶやけば立派なアウトプットと言える。
写真なんて撮っちゃった時なんて大変だ、その時間、その構図、その光量はその瞬間完全にオリジナルで、なぜ撮ったのか、今どんな気持ちでいるのか、ストーリーまであれば完璧だ。

そういった意味でキュレーションなんかもクリエイターなんだろうが、そこは各々の矜持に任せる。

あくまでオリジナルの、唯一無二の、オンリーワンのあなたが何かをする時、そして何かを思い、誰かに届けようと行動するすべてはクリエイターと呼んで差し使えない。

クリエイトは超ムズイ

なのにこうである。

クリエイトは超簡単。

なのに、なぜか、こうなのだ。

理由はいっぱいある。これに関しては理由というよりもはや言い訳というニュアンスが近い。

・自身の発信内容についてさえ、類似する例をよく調べてないから
・発信したものに急に恥ずかしく思えたり、アラが見つかった経験があるから
・結局誰かを真似ているから
・他の人よりもダサい気がするから
・説明するのが恥ずかしい
・きっとわかってもらえないから
・仕事で忙しくて時間が取れないから
・家族と過ごす時間を増やしたいから
・そんな年齢じゃないから
・もっとしないといけないことがあるから
・アイディア段階のものだからまだ寝かしておきたい

口下手な人間でもつらつらとやらない言い訳は出るわ出るわ。
要するに、発信が怖いのだ。
完璧主義などとは程遠い、肥大した自我がパンパンで、もうお部屋の入り口から出られない状態。
これまでに細々とクリエイトしたものは腐り果て、異臭を放ち、自身にへばりつき色素沈着をして醜い自分は扉を閉めるでもなくマジックミラー越しに暗い部屋から明るい外を眺めているのだ。見られたくはないけど、外を見ておかないと不安でたまらない。

お、お、おお俺はいつでもクリエイトはできるぞ!!!
別に今はやらないだけで…
牙を研いでいるんだぞ!!!!!!
と言わんばかりに、でかでかとSNSの門扉に掲げたクリエイターの看板は決して下げずに、せわしなく暗い部屋の模様替えはしつつ、ひたすらに自分がいない外の世界を傷つきたくないからマジックミラー越しに息をひそめチラチラと眺めているのだ。

暗い部屋からThe Creaters2021を眺めて

脳内をかけめぐったクリエイターとしての自問自答に着地点を見つけられないまま、暗く閉ざした空間をふわふわと漂いながらも、目の前のステージにはヒートアップしたパフォーマンスが行われている。まさに今自分はクリエイター共の渦中にいる。
果たして、BOATの一団を見つめる自分は、その瞬間一体何者であったのか。

答えはただの来場者だ。
そしてクリエイターだ。

とにかく何者かになりたくて、それでも何者にもなれなくて、いつの間にか何者かにはなっている自分を許してあげたい。認めて褒めてあげたい。そしてもう一度自分に期待をしたい。

暗く閉ざしていた部屋にはステージからの光が差し込み、照らされた壁には過去のイラストが見える。BOATの背後にあるデカいスクリーンにはスタジオ前に並んだクルーのイラストがこれでもかと映し出されていた。奥さんがそれを見てちょっと笑ってくれていて、1歳のミニチュアダックスの愛犬はバッグの中で丸くなって休んでいて、別にまあまあ最高なやつじゃんって思えてよかった。(これを言いたかった)

※一部再編集:2021年11月20日

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