【プレビュー】Vファーレン長崎vsブラウブリッツ秋田 〜"配置"ではない戦術論〜
どうも倭寇(わこう)です。
ブラウブリッツ秋田(B秋田)とV・ファーレン長崎(V長崎)、4位と5位が更なる上位進出を目指して激突する試合。
縦に早い"尖った"サッカーを展開することで知られるB秋田を注目している方は多いでしょう。J2内でも異彩を放つB秋田との対戦はサッカーの戦術論が好物な私としても楽しみな一戦となっております。
しかし、戦術を語る上で”配置”について語られることは多いですが、この試合においては”配置”よりも"ある視点"がキーポイントになるように感じてます。
アクチュアルプレーイングタイム(APT)
サッカーを語る際に見落とされがちな視点とは"時間"です。
アクチュアルプレーイングタイム(APT)という言葉を聞いたことはないでしょうか?
おそらく初めて聞いたという方は少ないのかなと思うので、詳細な説明は省かせていただきますが定義としては以下になります。
サッカーの試合時間90分のうちAPTは平均55分程度だといわれています。つまり、1/3はスローインやコーナーキック・セットプレーなどの止まった状態、2/3が実際にプレーされるAPTでサッカーの試合は構成されています。
B秋田の戦術 ~時間の圧縮~
APTを理解したうえでB秋田に話しを戻しましょう。
資金力においてJ2内では決して潤沢とは言えないB秋田がその不利を跳ね除け好成績を残している理由はハッキリとしたコンセプトを持った戦術にあると考えられます。
B秋田が戦術上注力しているのはアクチュアルプレーイングタイムの圧縮です
つまり、実プレー時間を可能な限り減らし試合を細切れにすることで生まれる試合の断面に勝機を求める戦い方です。
他のチームが2/3のオンプレーの質を高めて戦うなら、そもそもその質を発揮する時間を奪ってやろう。そして、自分たちは1/3のアウトオブプレーの質でひっくり返してやろうという選択。
創意工夫の賜物です。(余談ですが高木長崎はこの戦術的時間圧縮がストロングでしたね)
両チームの直近5試合におけるAPTを比較してみましょう。
平均の比較で12分の差が生じておりB秋田が時間を圧縮した戦いを展開しているか明らかになったかとおもいます。
通常、1人の選手がボールを触れる時間は90分フルタイムの試合で1分届くか届かないかと言われています。そんな競技で12分の差が生まれるのはもはや別の競技をしている感覚に近いかもしれません。
そしてAPTが減ることは、スローインやコーナーキック・フリーキックといったセットプレーが増えることと同義となります。
B秋田はこのセットプレーを重大な得点源として設定しており、その割合は今季10節時点で5割を誇っています。
練習の多くをこのセットプレーに費やし細部を詰めることで武器にしていることは想像に難しくないでしょう。
V長崎はどう戦うか。サポーターとしてどう支えるか。
質的な不利を試合時間を圧縮しセットプレーに勝負所を設定することで解決するB秋田。
それに対しV長崎はどう戦うべきでしょうか。
B秋田がボール保持を放棄するなら、V長崎はボールを保持しプレスを回避・空転させながら足を消耗させる戦い方が定石でしょう。
開幕当初目指していたスタイルでありこの試合で採用しても不思議はないと考えます。
しかし、そのスタイルを一度脇に置いて勝ち点を伸ばしてきた事実が頭をよぎります。また、B秋田としても想定している戦い方でありカモにすべく準備していて、昨シーズンから継続して積み上げた自信もあるはず。
さらに長崎はカード累積で不在の鍬先や前節に短い時間で結果を残した聖といった難しい選手起用を求められる一戦でもあります。
理想と現実。未来と今。
鋭い問いをむけられる戦いになるでしょう。
どちらにせよサポーターは声を上げ選手を鼓舞するほかないかと。
B秋田が試合を分断するなら選手がサポーターの声を聴く瞬間も自然と増えるだろうと考えています。
パッの思い付きで書き始めたので結びを考えていなかったですが、
V長崎 VS B秋田はぜひ”時間”に注目して観戦してみてはいかがでしょう。
それではまた。どこかのスタジアムで!
追伸
秋田さんとは夏に当たりたかったなぁ。
我らが長崎、秋田さんとは対照的に時間の使い方が苦手なんだもの。
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