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AI活用に必要なキャリアはエンジニアだけじゃない!ビズサイド・Bizdevの仕事内容とは?

私が経験したAI開発におけるビジネスサイド・Bizdevの役割をまとめました。AI開発に興味を持っている方や、将来的にAI開発に携わりたいと考えている方は参考にしていただけると嬉しいです。

なお、ここでのAIは、機械学習やディープラーニングなどの学習プロセスがある技術に加え、ルールベースや最適化などのアルゴリズムも含まれます。

AI開発におけるビジネスサイド・Bizdevとは

AI開発のビジネスサイド・Bizdevとは、技術的な知識に加えてビジネス的な視点を持つメンバーのことを指します。PMを中心としたロールが一般的ですが、上位職になるとビジネス企画や事業グロース、提案営業などが含まれるため、Bizdevのイメージに近づきます。ビジネスサイドは、ビジネスの戦略や目的を考慮しながらAI開発プロジェクトを進め、最終的な成果物がビジネス価値を提供することに重要な役割を果たします。技術をほとんど理解しておらず、AI未経験の企画やコンサルと大差がないケースは、AIのビジネスサイドに該当しません。

求められる技術理解は、AI活用の対象によって深さが異なります。

  1. コア技術の研究開発:テクノロジーイノベータータイプ
    このタイプは、技術内容を深く理解する必要があります。論文などから活用可能な要素の選別や活用先の検討力が求められます。ビジネスサイドとしては、非常に希少性が高いです。

  2. サービスや事業開発:応用タイプ
    技術の特徴や難易度を理解しているが、テクニカルな活用力やデータの分析力をより求められます。

  3. 業務効率化:サービス利用タイプ
    SaaS型などのAI製品を活用し導入を推進します。技術内容は、ブラックボックスで入出力やパラメータのみの理解で十分です。

ビジネスサイドが果たす役割

ビジネスサイドが果たす役割は、多岐にわたりますが、非AIのケースと大きく変わりません。具体的には、Bizdev機能としてAI開発プロジェクトの立ち上げや企画、利益率の最大化、AI技術を活用した新規ビジネスの創出。PM機能として、プロジェクトの進行管理、ビジネス目標に合わせた成果物の提供、などです。AIベンチャーでは、コンサルティングや提案営業、マーケティングを行うケースもあります。

AIに強いビジネスサイドの必要性

非AIと大きく変わらないのであれば、なぜAIに強いビジネスサイドのメンバーが必要なのでしょうか。個人的には、大まかには以下の2つの理由があると考えます。

・経験と専門性が必要
・ビジネスサイドに近い人材が少なく、つなぐ役割が必要

【経験と専門性】
経験が必要な例は、どの程度のデータ量でビジネス目的をどこまで実現可能なのかの感覚理解です。PoCを実施せずとも、判断ができるのは大きな強みです。この感覚は、実際にやってみないとわからない知見です。また、技術を理解していないと過去に直面した限界を前提として今後も出来ないと判断してしまう可能性があります(以前はこのやり方でダメだったので不可能と諦める)。専門性を持ってビジネスの企画ができると非常に強みになります。AIは、実現までの期間や到達度合いが分かりにくいため、理解できることが大きな強みになります。
【つなぐ役割】
つなぐ役割は、翻訳のような機能と言われます。翻訳とは、業界全体がアカデミックな領域であるため、IT知識よりもさらに経営や営業等の非テック人材への共有が難しいため必要と言われます。具体的な事故例は、「機械学習エンジニアの出来る」と「経営の出来る」は期待値が違うことが多く、こんな筈では、、となりやすいです。他にも重要なことは、開発したAIの運用の観点です。特定のプロダクト運用をしているケースを除き、ビジネス現場の経験が豊富なエンジニアが少ないため、ユーザーの動きによって変化するデータやカメラの設置先など、現場都合で変わる要素の理解が不足しがちです。そんな運用は聞いていないとか想定していないは、ビジネスで全く通じません。また、稼働するサーバ費用がどの程度かなど、費用感に関する知識や収益感覚が必要です。運用感覚が抜け落ちた結果、ビジネス的に使い物にならないAIになってしまうことがよくあります。ビジネスサイドの重要な役割は、要件やニーズを明確にすることだという当たり前過ぎる話ではないのです。

実際のタスク

ビジネスサイドのタスクは、一般的に大きく以下の4つに分けられます。4つ全てできる方は、かなりの高レベルといえますが、コンサルやPMが多いのが実態です。表面的なタスクとしては、非AIプロジェクトと大きく変わりません。基本的にコンサルタント、プロジェクトマネージャー、またはプロダクトマネージャーの役割を担うことが一般的です。企業の事業内容や組織によって異なるため、一概に同様に言えないですが、AIベンチャーやメーカーなどの技術ベース組織の例と思ってください。

  1. Bizdev:ビジネスの企画・組成

  2. Bizdev・PM:ニーズの把握と要件定義

  3. PM:AI開発のマネジメント

  4. Bizdev・PM:ビジネス成果の追求と評価

プロジェクトフェーズ別のAIビジネスサイドの役割イメージ

経験することによる価値

ここまでの紹介をまとめると、AIのビズサイドは、AIに特化した企画やPMといったロールです。これだと非AIプロジェクトと何が違うの?特化した人は必要なのか?機械学習エンジニアと通常の少し経験したPMだけでよいのでは?と思われるでしょう。それは間違いです。個人的には、データの存在や実現性が不透明なため、AIプロジェクトはやることが非常に多いと考えています。例えば典型的なAIモデル開発プロジェクトでは、下記をアジャイルに実行する必要があります。

・ビジネスメリットの検討
・データの確認
・前処理、学習と推論のスクリプト実装
・ハイパラチューニング
・予測結果の分析
・課題整理

これらのタスクを1人で実行するのは非常に困難であり、全てのスキルを持っている人もほとんどいません。そのため、ビジネス側と機械学習エンジニアの2つに分けて、プロジェクトを効率的に進めることが最小限のチームとして必要です。
※単にAIモデルを開発するだけであれば、機械学習エンジニアのみでも可能

機械学習のように専門性が高い領域は、人数が増えるほど効率が悪くなるため、少数精鋭で取り組むことがスピード感を持って進めるために重要です。ただでさえ、早期の精度改善の圧迫を受けやすいので、スピード感は重要と考えます。少数精鋭にするためには、幅広い知識と経験を持った人材を集め、AIに特化したビジネス人材がいると非常にやりやすいです。シンプルに考えると機械学習エンジニアを実装や実験に専念出来るようにすることが素早いローンチへの近道と考えています。ぐだぐだ書きましたが、作業が多いので隙間が多く、幅が広い人がほど嬉しいという当たり前の理論ですね。

例えば、エンジニアからするとやって欲しい事はいっぱいあります。
・SQLくらい投げてデータ分析、追加データがやってきたら何が変わったか確認もして欲しい
・自然言語の辞書や類語などの整備
・AIの予測結果の定性評価(最適化や画像、自然言語は定量だけで測れないことが多い)
・PostmanでAPIの検証
・ドキュメントを分担して残すこともして欲しい
・できれば論文やTechブログを一緒に調べて調査もして欲しい

最後に

AI開発は、技術側だけでなく、ビジネス側にも多くのお仕事があります。様々なバックグラウンドによって考え方や景色が異なり、プロジェクトのパターンによっても異なるため、多くの方のお考えをお聞きしたいと思っています。興味がある方は、お気軽にご連絡いただければと思います。
AIのビズサイドはどんな人がしているのか?などをまた別途お伝えしていきます。

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