ビル・フリゼール・インタヴュー・アウトテイク

6月16日 ブルーノート東京の楽屋で

——一昨日は楽器店でのトーク・ショーを聞きに行きました。貴方が最初に「シェナンドー」を弾くのを見ていたら、トップのメロディーをほとんどセカンド・ストリングだけで、演奏しているのに気づきました。そういうスタイルもオーケストラでの演奏経験と関係しているのかもしれませんね。
 「そうだった? 自分では気づいていなかったけれど、「シェナンドー」のコードもそれに適していたんだろうね」
——メロディーを同じ弦で弾くことによって、ベースやハーモニーをいつでも足すことができる。そういう可能性を残して、演奏しているのがよく分かりました。
 「それはジム・ホールのスタイルと強く関連しているよね。彼からは多くのことを学んだ。弦を移動して、スケールを弾く方が自然なんだろうけれど、それも上手く演奏できるまでには物凄く時間を要する。何とかして自分なりの良い演奏法を見出さなきゃいけないんだよ」
——貴方がバークリー音楽院で師事したジョン・ダミアンの本にもサード・ストリングだけでフレーズを弾くレッスンがありました。
 「弦が一本しかないと考えると演奏法が限定されるから、良い訓練になるよね」
——クラリネットのように?
 「そうだね。各弦を異なる楽器のように考えて、演奏することができる。ジョン・ダミアンは演奏のルールなどよりも、息の吸い方や例えば自分の手のひらを注意して自由に使うことなどを教えてくれた。偉大な人だよね」

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