『君の名は。』感想ツイートまとめ

『君の名は。』観てきた。泣いた。途中、三、四回はボロボロと。ただ、僕は涙腺が弱く、泣く映画ではお約束通りに泣く。(デートで映画観に行く場合、この涙腺の弱さは有利です)

でも、観終わった後も好きな映画だったかというと、それには足りなかった。好きな映画と言える条件は、そこに「世界」があって、戻りたければいつでも戻れる、そういう作品であることなので。ちょっと「世界」が弱かったです、僕には。(以下、盛大にネタバレします)

ひとつには、映像的には大変に魅力的な世界だったのに、懸念した通り、音楽で入り込めなかったということもある。ただ、僕は音楽に関しては審美眼が厳しい、というか、どんなジャンルでも5%くらいしか好きになれない人間なので、これは作品の欠点というほどでもないと思う。

それよりも「世界」が強くないと思った大きな理由は、彼女と彼が「好き」になる理由が、超常現象のパートナーであること以外に、今ひとつ浮かび上がって来ないことかな。それぞれの人生、境遇と結びついた「この人なら」という運命性みたいな。

あるいは、なぜ、彼女と彼は超常現象のパートナーになってしまったのか? 巫女の家系である彼女が未来の誰かの中に入ってしまう理由は、1000年の宿命を背負っているのだけれど、なぜ、彼だったのか?はよく分からない(彼も救世主の半身であるにもかかわらず)。

飛騨の山奥と東京、祖母と暮らす姉妹とどうやら父子家庭っぽい彼、という対照は描かれるにしても。彼は東京で暮らす別の誰かでも良かったのではないか?

そこの部分の根源的な運命性、デスティニー感が弱いので、彗星の落下した後のエピローグで、どうしても再会せねばならない理由が二人の中に残っていない。あるいは、二人を再会させる磁力がこの世界では失われている、と感じられてしまった。だから最後は泣けなかった。

ひょっとすると、僕が見落としている運命の糸(あるいは結び)がさらにあって、それで「世界」は完成しているのかもしれないけれど。もしそうならば、誰か教えて下さい。

追記

『君の名は。』観たら『イルマーレ』(00年の韓国映画)がまた観たくなっちゃった。『君の名は。』を観て、『イルマーレ』を観てない人は、この予告編観ると良いと思います。 https://www.youtube.com/watch?v=FfOy4LAXx-I

近未来/近過去にいる男女がコミニュケーションする〜会えない〜死んじゃう〜助けるには〜となる展開は同じだよね。『イルマーレ』はまだ携帯じゃなくて、手紙でのコミニュケーションだけれど。

ちなみに、少し近未来の誰かの中に入ってしまうという点では、僕が2015年に発表した小説『ヘッドフォン・ガール』も似たところがある話です(男の子が過去、女の子が未来にいるので、男女が逆ですが)。良かったら、チェックしてみて下さい。

『ヘッドフォン・ガール』https://amzn.to/2QUi1Pp



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