見出し画像

なぜ「メディアの持続可能なビジネスモデル」をつくりたいのか?

ぼく、Twitterやnoteのプロフィール欄に『メディアの持続可能なビジネスモデルを作りたい!』って書いてます。

この前、それについて友だちに『あれってどういう意味?』と聞かれて、一瞬『どこから話せばいいだろ』『どの順序で話したら簡潔に伝わるかな』というのが分からなくて、口ごもってしまいました。

それで『あっ、そういえば自分のやりたいことを言語化するまでの過程を体系化してなかったな』と気づいたので、この機会に整理しておこうかなと思います。


これからの時代、いろんな産業が「メディア化」していく

まず時代背景としてあるのは、これからの時代、いろんな産業が『メディア化』していきます。

メディアというのは、いままでは一産業に過ぎませんでしたが、これからはアイドルもアパレルブランドも人材派遣会社も、みんなメディア化していきます。

ここでの『メディア化』というのは、ぼくたちがいま思い描くメディアがやっているような、記者が取材して記事を書いてっていう狭義のメディアではなくて、『自分たちの考えていることをなんらかの媒介物に込めて発信する』という、広義でのメディアを指します。

なぜそうなるかというと、理由は大きく2つあって、1つ目は『テクノロジーの発達』です。

テクノロジーの発達によって、商品ごとの単純な機能ではお互いに差別化が図りづらくなりました。

仮に一瞬だけ他社を抜きん出たとしても、いまはインターネット上に情報も出回っているし、そしてそれをすぐに模倣できる技術もあるので、すぐに横並びになります。

そうなったとき、ぼくたちが何によって各商品を比べるかというと、その商品(=媒介物)に込められた情報であり、それは言い換えると『思想』であり『哲学』であり『物語』です。

例えば、スーパーで味と値段がまったく同じの牛肉が2つ売られていたとして、1つは誰が育ててどうやって運ばれてきたのかわからない(=なんの情報もない)牛肉、もう1つが知り合いのおじいちゃんが毎日早起きして、腰を痛めながらも世話してなんとか出荷したと知っている牛肉だったら、後者を買うひとのほうが多いと思います。

そして、いろんな産業がメディア化していく2つ目の理由は、こういった情報(=おじいちゃんが毎日早起きして育てたこと)を、自主的に発信できるようになったことです。

いままでは、仮にそういった『物語』があっても、テレビや新聞に取り上げもらえない限り、ぼくたち消費者が知る機会はありませんでした。

しかし、インターネット、特にSNSの発達でメディアが民主化されたことによって、誰でも情報を発信できるようになりました。

この2つの主な要因によって、『いろんな産業がメディア化』していきます。


『一億総表現社会』を作りたい

それで、いろんな産業がメディア化した先でぼくが思い描いている理想の世界っていうのは、雑に言うと『みんなが好きなように生きて(=好きなように発信して)社会が回る世界』です。

ぼくが『藤本健太郎』じゃなくて『社員A』としてやるような仕事は、早晩、機械がやってくれるようになります。

機械がやってくれるようになることで、生活コストはどんどんと下がっていき、ぼくたちの幸福度に占める『お金』の割合はどんどん小さくなっていきます。

そうなると、相対的に『人間関係』、もっと言うと『信頼できる人たちと一緒にいられる時間』の価値が、グンと向上します。

なので、『社員A』ではなく『藤本健太郎』として生きる世界というのは、『全員がセルフブランディングして何者かにならなきゃ食べていけない世界』というよりは、例え少数でも身の回りに『”藤本健太郎”を信頼する!』と思ってくれる人たちがいれば、それで幸せに暮らしていけるという世界です。

『お金』よりも『信頼できる人たちとの時間の価値』がいま以上に大きくなったとき、お互いが信頼できるかどうかを判断するには、お互いがなにを考えているかを知る必要があります。

これが、さっきの『いろんな産業がメディア化する』というところともつながってきます。(企業で働いてるのは人だから!)

『哲学』や『思想』というと、『世界をどうしたい!』とか『世の中をこう変えたい!』みたいな高邁なものをついついイメージしてしまいますが、『ぼくはカレーが好きだ!』とか『靴はNIKEよりadidasのほうが好き!』というのも、立派なその人の発信する『情報』です。

そして、自分の好きや嫌い、こんなことを考えている、こんなことをしたいという情報を発信して共感者を募るというのは、それはもう立派な『表現』です。

なので、少し前まで『メディアの持続可能なビジネスモデルを作りたい!』を実は『表現者の持続可能なビジネスモデルを作りたい!』と書いていました。

ただ、そうするとどうしても『クリエイター支援』みたいなニュアンスになってぼくの意図する対象より範囲が狭まってしまうので、いまは『メディア』にしています。

別にクリエイターのように、自分の考えていることを絵や歌として発信するだけじゃなくて、ぼくは『カレーが好き!』と友だちに話すことも、ひとつの立派な『表現』だと思ってます。

ということで、一旦ここまでまとめると、以前の『”表現者”の持続可能性なビジネスモデルを作りたい!』というのは、とは言え、いくら機械によって生活コストが下がると言っても、実際にはそれはグラデーションでの変化です。

30年後にどうなるかは分かりませんが、いまはまだまだお金が必要だし、『カレーが好きだ!』『adidasが好きだ!』と単に言っているだけでは、実際のところは暮らしていけません。

なので、自分の情報を発信しながら(=表現をしながら)、どうにかその情報を価値化してマネタイズと結びつけて、みんながみんな、一緒に過ごしてて居心地のいい人たちと暮らしていけるような社会になったらいいなという意味で、『表現者の持続可能性なビジネスモデルを作りたい!』と言っていました。


ぼくには「好き」がない

ただこんなことを言っておきながら、ぼく自身は、あんまり自分のなかに特定の『これが好きだー!』『これが嫌いだー!』ていうのがないんですね。

食べ物はつぶグミばっかりだし(手と歯と口の周りを汚さずに、歩きながら3分で食べられるから)、服もほぼ消去法のユニクロです。

音楽もカラオケで他の人が歌ってて『いいな』と思った曲を帰ってから調べたり、インスタのストーリーズにみんなが上げてるお気に入り曲で気になったものを、聞いてみるくらい。

強いて言うなら『みんなが好き勝手やって楽しく過ごしてる世界』が、ぼくの好きな世界です。

ぼく自身の『思想』や『哲学』があんまりないので、それを持っててぼくが『いいな』と思った人や企業を、まずは『狭義』のメディアという形で応援していきたいなと思ってます。

そうやって、その人の共感者探しの一助になれればいいなと。

そういう意味で、これからどんどん『一億総表現社会』が進んでみんなが自分で自分のことを発信するようになっても、『狭義』のメディアも必要であり続けると思ってます。

情報を『発信すること』と『届くこと』はまったくの別物で、みんながメディアになればその分埋もれる情報も増えていくし、情報が増えすぎて、受け手も混乱するかもしれません。

そうなったとき、『メディアのメディア』というか、情報を編集して届くべき人に届くべき情報を届けたり、埋もれている情報を拾い上げて信用付けするような、狭義のメディアの必要性がむしろ増してくるかもしれません。

ただ、ぼくだけが狭義のメディアをやっても絶対に追いつかないので、他にもたくさんメディアは必要なんですが、なんせいまメディアは稼げません。

特にウェブメディア。

広告は単価落ちてるしクリックされないし、メディアが多すぎてPVもなかなか伸びません。

参入するのが簡単な分、どんどん閉じてしまうメディアもあるんですが、まずはそれをなんとかしたいなと。

『いかにメディアを続けられるか』。

そういう意味で、いまは『メディアの持続可能なビジネスモデルを作りたい!』と書いています。

なのでここでのメディアというのは、いまはどちからかと言えば『狭義』のメディアの意味合いが強いです。

自分自身がまず持続可能なビジネスモデルの、ひとつの事例を示さないと説得力がないので、今年から『海外メディア動向』というマガジンも始めました。

(海外、特にアメリカのメディア事情は、日本の5年くらい先をいってると言われてます)


ただ、自分自身で狭義のメディアを確立することはひとつの通過点で、その次に他の『狭義の』メディアへの横展開、狭義のメディアを基盤とした『広義の』メディア(=表現者)の持続可能なビジネスモデルの確立、そしてみんなが好きなように生きて楽しく暮らせる社会、という道を思い描いてます。

いまでほぼ4000字あって全然簡潔じゃないんですけど、これで一旦現時点での自分のやりたいことの過程を言語化できたので、これからは内容をもっともっと明瞭化していくことと、それを簡潔に伝える力というのを磨いていきます。

これはあれですね、誰かに話して壁打ちしてもらわないと伝わりづらいところや、ぼく自身の解像度が低いところも分からなくてブラッシュアップできないので、聞かれたら恥ずかしがらずにどんどん話してくのが大事ですね...!


▼『共感してます!』と言ってるのに読んでもらえないのはメディアとしてめちゃくちゃ機会損失なので、その導線をスムーズに設計するのは、ひとつとても大事なことです、っていうことを書いたnoteです!



最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!