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「恵まれた環境」が当たり前になるほど、感謝しづらいというジレンマ

『小さな政府』と『大きな政府』みたいな議論がありますよね。

小さな政府の代表例としてはアメリカ、大きな政府の例としては、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンといった北欧諸国が挙げられることが多いんですが、、、

ということで帝王学の感想第3回、テーマは『政府(≒経営)の適切な介入度合い』についてです。

第1回 「草創」と「守文」と孰れが難き
第2回 「信頼できる部下」の条件とは


まず本中で口酸っぱく言われているのは、『(本当は)政府や経営陣のおかげで成り立っている状況も、その恩恵を受けている人たちはそれを自覚せずに感謝しないことが多い』という、ちょっと悲しい現実です。

日が出ればラッシュアワーにもまれて会社に行き、日が暮れれば帰宅して休む。月給をもらって食べ、ボーナスで一杯飲んだツケを払う。「政治、何ぞその間に力あらん」。その間に営々と築きあげたマイホームを「晴雨が賜う所」などと言われれば、「とんでもない。冗談を言うな」ということになろう。同じことは経営者と社員にも言えるであろう。会社が経営の基本を誤らなかったから、隆々と栄えて多額の給与や賞与を払うことができる。だが基本を誤ればこうはいかず、ついに倒産ということになる。では社員の財物は、「即ち社長が賜う場所なり」と社員は考えるであろうか。そんなことは考えないのが、あたりまえなのである。

要は、恩恵を受けていることが当たり前になってしまって、その環境を作ってくれた人への感謝をつい忘れがちになってしまうということですね。

ただ、じゃああえて環境を悪くすればいいのかとか、『おれさまのおかげででお前らは飯が食えてるんだから、ちゃんと感謝しろー!』って自分から言のかとか、そういうことではなくて、大前提として、ついその感謝を忘れてしまうくらいその恵まれた現況が当たり前になっていること自体は、とても良いことなのです。

そういう状態は決して悪いことでなく、「帝何ぞその間に力あらん」と思われる状態を招来すること、いわば「統治されている」という意識さえ持ち得ない前提を作り出すことを、政治の理想としている点である。

ただ、やっぱり感謝されて別に悪い気はしないですよね........

そして、もっと実利的な面に目を向けると、人々の利益になる環境を作っている有能な政治家や経営者が、ちゃんと評価されるようにすることで、より人々は利益を受けることができるはずです。

なので、『つい感謝を忘れてしまうくらい当たり前になっててすごい!』なんて呑気なことを言ってないで、その手柄をちゃんと可視化する必要があります、『おれのおかげだー!』って自ら叫ばせるナンセンスな方法以外で。


ここでやっときょうの冒頭の『小さな政府』と『大きな政府』の話が出てくるのですが、結論から言うと、本中では

歴史的に見て、未来への健全な永続性を考えれば、「政治、何ぞその間に力あらん」の方が、まさっているように思われる。

とのこと。

つまり、アメリカ的なやり方ということですね。

北欧みたいにめっちゃ税金を取って、そのおかげで教育機関や医療機関の充実を進めるやり方は、ついつい『政府が整備してくれている』という意識が希薄になって、『自分たちは税金をたくさん取られて、すごく自由に使えるお金が少ない』みたいな考えになってしまうということでしょう。

逆にアメリカみたいに、全然税金は取らないけど、その代わり保険や社会保障は全部自己責任にしてしまったほうが、その恩恵(=治療や教育を受けること)への感謝がしやすくなるのではないかと。

ちなみに現代の日本はというと、『税金を全然取らない(消費税率が低い)くせに、社会保障や教育環境を北欧並にしようとしていて(国民から求められていて)、そりゃ財政赤字にもなるわ』と揶揄されることが多い印象です。

あとまあ、いまの風潮的にはけっこう北欧の政治システムって、ポジティブに(日本では)報道されることが多いですよね。

どの制度にしても一長一短なので、外から見えてるポジティブな側面しか報道してないところも大きいでしょうが。

アメリカも、オバマさんのときにみんなが保険に加入しやすいような法案を通そうとしてましたよね。詳しくは分からないですけど。

たしかトランプさんになって、また宙ぶらりんになっちゃったのかな?

ということで、世界全体で見るとなんとなく、本中の意見とは違って『大きな政府』がトレンドなのかな?という気がしないでもないですが、究極的にはやっぱり、つい忘れてしまうくらい当たり前に恵まれた環境を用意したいって思いと、その価値をちゃんと可視化させたいって思い、なんとかうまいこと両立させていきたいですね!細かい方法はまだ分からないですが。


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