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本当の「価値」とは

キングコングの西野さんが、新しい本を出します。

タイトルは『新・魔法のコンパス』で、3年前に出した『魔法のコンパス』が文庫化されるタイミングで、全編を書き直したそうです。

それで『新・魔法のコンパス』が発売されるにあたり、わざわざ全編を書き直しした理由をブログにて書いていました。

今日はそのなかで書かれてた内容について、まだぼく自身の考えがまとまってないんですが、メモ代わりに残しておきます。


詳しいことは上のブログに書いてあるんですが、西野さんがわざわざ本の内容を全部書き直した理由は(一般的に文庫化というと、単行本の内容はそのままで、サイズを小さくして安く販売することを指す)、『読者の時間を乱暴に奪わないため』と言っていました。

要点を絞って、内容は薄くせず、1時間半で読み切れるように書き直したそうです。

エンタメの選択肢が増えた現代は『時間』の価値が高騰していて、『30分で読み終える本→薄っぺらい→損』から『読むのに2日かかる本→時間を奪われる→損』と価値観が変わってきているからです。


この価値観の変遷自体は、その通りだと思います。

ぼくはたまに20年前とか30年前とかに出版された本を読むんですが、いまいわゆるベストセラーと呼ばれている本たちと比べると、明らかに昔のほうが文字のサイズが小さいです。

本自体のサイズやページ数は、いまも昔もそんなに変わらないんですが、中を開けてみたら文字量(=情報量)は絶対に昔のほうが多いです。

でも、本自体のサイズやページ数(=外からの見かけ上)は同じなので、値段はいまも昔もだいたい1冊1,500~1,800円くらい。

人によっては『昔のほうがたくさんの情報がつまってるんだから、そっちのほうがお得じゃないか!』と思うかもしれませんが、現代の多数派の価値観は『200ページの本の内容をたった30分で摂取できるなんて、とってもお得だ!』なんですね、西野さんの理論に則ると。

『時間』の価値が爆上がりしているので。


なにが言いたいかっていうと、あえて極端な言い方をすれば、いまの人たちは『情報』に対してお金を払ってるんじゃなくて、『情報を摂取した気分』にお金を払ってるってことです。

『情報』そのものに価値を感じているのであれば、いくら要点が抑えられていたとしても、昔に比べて本1冊の絶対的な文字量(=情報量)は減っているので、その分値段も下がるはずです。

でも本の価格が据え置きなのは、いまの消費者がその本に感じている価値は『情報を摂取した気分』、言ってしまえば『本1冊を読んだ自分ってエライでしょという錯覚』なのかもしれません。


そして、そういった錯覚を欲する背景について、先日のけんすうさんの記事がヒントになるなと思いました。

この記事のなかで面白かったのが、いまオンラインサロンが盛り上がっている理由の1つに、けんすうさんが『入ってるだけで生産性のあることをしていると思えるから』ということを言っていて。

さっきの『本1冊を読んだ自分ってエライでしょ』と根底にある価値観は同じなんですが、要は『どれだけ手軽に役に立つと思えることをするか』が、いまの時代はとても大事なのかなということを、最近は思ってます。

どうして役に立つことをしようとするのかについては、まだ考え中です。


ただ、このとき重要なのは『本当に役に立つこと』と『役に立っていると思うこと』の間には、ときに大きな乖離があるということ。

本当に役に立つことなら、昔のたくさん文字がつまってる本のほうが、実際にはたくさんの情報を得られるので、役に立つわけです。

でもいまの時代のひとたちは価値を感じてるのは、『役に立ってると思うこと』なわけで.................

『どっちのほうが本質的に価値があるのだろうか』ということを、ずっと考えてます。

いままでのぼくだったら、完全に前者(=情報量がたくさんあるほうがいいだろ!)だったんですけど、役に立つ!とその人の満足度に貢献していることも、もしかしたら1つの価値、というか、場合によっては本来の価値は後者にこそあるのかもしれません。

どれだけたくさんの価値を持ってたとしても、それが誰かに届かなければ、意味がないわけで。


これまた極端な二項対立に置き換えてるので、一番いいのは(あくまでも例ですが)びっちり文字のつまった情報量たっぷりの本を、消費者に手にとってもらって、最後まで読んでもらって、その人がその本で得た情報を通して人生が幸せになること(=幸せだと感じれる人生を送ってもらうこと)(=あれはいい本だったなと思ってもらうこと)です。

とりあえず、時代の価値観のトレンドだけに惑わされることなく、『本当に価値あること』については、ずっと向き合い続けていきたいです。

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