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陣屋に泊まった話

はじめに

藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』が発売されたので、陣屋に泊まってきました。

これまで大盤解説会等で陣屋には訪れたことはありましたが、宿泊は初めて。「対局室にいる」ことが目的だったので陣屋全体の詳細な紹介とはいきませんが、初めて気付いたことを主に、撮りためた写真を並べていきたいと思います。

陣屋全体

今まで「将棋!」「大盤解説!」という頭で陣屋に行っていたので気付かなかったのですが、陣屋かなり広いです。なんと1万坪。

ということで散歩してきました。

入口の陣太鼓。「ドン、ドン、ドン」と3回鳴らしてお迎えいただきました。
入口通ってすぐ右手にトトロの木があります。陣屋は宮崎駿監督に縁のある場所です。
トトロいたもん。
陣屋館内の山門から上に上がれば伏見稲荷の分身である「湯之上稲荷」があります。
手前には厚揚げが供えられていました。
さらに上に登る散策路が。
頂上にあるあずま屋。意外と開けた場所で、ちょっと寂しいです。ここも陣屋。タイトル戦を見ているだけでは知らない世界がありました。
右手の枯葉の中には蕗の薹が顔を覗かせていました。

山をぐるっと回って散歩は終了。お部屋をじっくり味わう時間がやってきました。

松風

陣屋の貴賓室である「松風の間」。ここでいくつものタイトル戦が行われました。『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』(愛蔵版)の表紙に使われた写真は第13期竜王戦七番勝負第7局、藤井猛竜王 対 羽生善治五冠。対局室はここ陣屋「松風」です。

扉を開けるとこの廊下。廊下や窓ガラス等、明治時代のものをまだそのまま使っているそうです。写真では分かりにくいですが、窓ガラスは手延べガラスであり、波打っています。当時のガラス製法によるもので、今ガラスが割れてしまうと同じ味のガラスはもう作れないのだそう。廊下は回廊となっており、次の謁見の間までぐるっと回れます。
松風には3間あり、まず通りかかるのが三の間~謁見の間。松風はもともと明治天皇をお迎えするために作ったもので、ここは明治天皇に謁見するためのお部屋だそう。手前の照明は雲、奥の照明は月を表しているそうです。
廊下の奥まで行き本間~次の間を眺めると、タイトル戦でよく見る風景に出会えます。左手が上座、右手が下座、奥に記録係。次の間には大山康晴十五世名人揮毫の「静観」が飾られています。
ということで、本日の目的の本間。ついに憧れの陣屋に泊まりに来ました。『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』が発売されたので。
前日が雛祭りということもあり、お雛様が飾られていました。艶やか。
飾られていたクリスタルな盤は碁盤でした。
フロントに連絡する手段は黒電話ならぬ白電話。今の若い人たちは使い方が分からないそうです。
松風にある個室露天風呂。ここは鶴巻温泉。陣屋には3種類のお風呂があります。内湯&露天風呂の明石/葵、山荘露天風呂の山藤/山桜、そして各部屋についたお風呂。松風にある個室露天風呂は総檜の露天風呂で、非常に雰囲気が良いです。露天風呂から見える朧月の非現実感に心を洗われました。5回入浴。

聖地巡礼らしく、『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』(愛蔵版)表紙の構図で写真を撮りました。

夜、陣屋の方から「将棋盤と駒をお持ちしましょうか?」と言っていただきました。どうも将棋ファンだと推察されたようです。嬉しいじゃないですか。そうして脚付き将棋盤と駒(どちらも対局で使われているものではなく、貸出用)、駒台、脇息を持ってきていただきました。

貸していただいた将棋セット。貸出のご提案をいただいたとき相当嬉しかったのが顔に出ていたらしく、別の従業員の方から「『提案して良かった』と喜んでましたよ」という話を聞きました。まさにWin-Win。

陣屋、松風で並べる『一歩竜王』は格別。雰囲気も一緒に味わいながら、藤井九段の自戦記で、じっくり並べました。3回。まさにこの場所で、藤井猛竜王が竜王三連覇を果たしたのだ。

ちなみに布団を敷く場所は選べるそうで、私は三の間にお願いしました。本間(対局室)で寝るのはなんとなく憚られました。

お料理

今回陣屋に泊まって最も感動したのがお料理。普段絶対に味わうことができない美味しさの連続でした。舌鼓を打つとはまさにこのこと。

夕食

夕食献立

この献立に加え、さらに追加のオプションで「伊勢海老のお造り」をつけることができたのでお願いしました。『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』が発売されたので。いくつか夕食の写真をピックアップします。

飲み物には陣屋オリジナルの「初陣の誉」を。地元秦野の秦野市「金井酒造」さんのお酒で美味しかったです。
前菜の「おしどり器」の写真。雛祭りも意識されていました。菜の花やつくしがあり、旬のものが使われているのが嬉しい。
幸せのお造り。伊勢海老は黄身醤油で。右側は河豚の他、旬のお刺身として鮪、帆立、金目鯛というラインナップ。
焼き物は九絵の付焼きが絶品!そして陣屋の庭園で取れた蕗の薹も。散歩のときに見た蕗の薹が目の前に。春の味。
食事の釜焚御飯は松葉蟹がこれでもかと盛られていました。あまりにも美味しくて3杯も食べてしまった……。それでも釜に余る御飯。残りはおにぎりにしてもらいました。

満腹。美味しかった……。しかし釜焚御飯3杯は指しすぎだったか。

陣屋カレー

憧れの陣屋カレー。満腹のはずですが。

これが陣屋カレー。

現在、陣屋カレーは宿泊者限定で、軽食ルームサービスとして注文可能です。しかし多分、夕食無しのお客さん向けのもので、私みたいに夕食たんまり食べた後に陣屋カレーを注文する人はあまりいないはず。ただ素晴らしいことに24時間注文OKとのことで、温泉で汗を流したり『一歩竜王』の棋譜並べしたりして体力を使いつつ、朝食のことも考え、22時30分頃に注文しました。そうまでしても食べたい。『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』が発売されたので。

スパイスも効いていますが、たまねぎをたくさんたくさん煮込んだ優しいカレー。トッピングは温玉、ガーリックチップ、ごぼうチップ、蓮根チップ、チーズ、福神漬け、らっきょう漬け。トッピングオールスター。好きなものを、好きなだけ。美味しすぎる。あんなに夕食食べたのにペロリと食べちゃいました。

正真正銘の満腹。お腹が幸せ。

朝食

朝食献立
先付とお造りと煮物だけでこのボリューム。

暴食であることを見抜いているかのような優しい味付けの朝食。特に煮物の大根が余りにも美味しくて……。焼物には陣屋特製の「やまと豚桜味噌漬け」も。全般的に御飯に合うおかずが多くて、そして「源泉水を使った炊き立て御飯」もまた優しい柔らかさで、うっかり御飯をおかわりしてしまいました。まさかおかわりするとは。美味しいって怖い(幸せ)。

お土産に、これまた陣屋特製のどら焼きを。前日までに予約が必要で、翌朝できたてを持たせてくれます。

陣屋のどら焼き。これがまた美味しい。巾着もかわいい。

ミーハーなので、陣屋オリジナルのバスタオル、フェイスタオル、ボールペンも買っちゃいました。

陣屋はサービス、お料理の味付けともに優しさに溢れていました。陣屋でゆっくり過ごすという非日常の空間。藤井九段ファンとして陣屋「松風」で『一歩竜王』の棋譜並べをするという最高の贅沢。良い休日になりました。

おわりに

ということで、『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』の発売を記念して陣屋に泊まった話でした。藤井猛九段ファンが『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』の発売にどれだけ喜び、どれだけ浮かれているかお分かりいただけたでしょうか。藤井九段、マイナビ出版はじめ関係者の方々本当にありがとうございました!

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