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他人と意見が対立したら3つの理由に分解してみよう

相手と意見が合わない。仕事をしていると、当然のようにそういう場面に出くわすものです。その時に、「あいつはアホだ」「全然わかっていない」そう言って愚痴るのもひとつですが、「意見が対立する」ということの理由を分解して考えると建設的な突破口が見いだせることもあるのでは、と思い、整理すべく筆をとりました。

意見が合わない理由は3つに分けられる

これまでの自分の経験を通じ、ほとんど全ての意見の対立は下記の 3つ に分類できると考えています。

・前提理解のズレ
・追うべきゴールのズレ
・不確定な事象に対する推測値のズレ

ここで重要なのは、「相手が/自分が 、正しい/間違っている」というような単純な二元論ではなく、あくまでも「ズレ」である ということです。
それぞれについて、具体的に説明していきたいと思います。

1. 前提理解のズレ

ある論点でぶつかっている時、そもそも、自分と相手が持っている背景の情報量が異なるということが往々にしてあります。

上司は自分が担当している業務の進め方に対して不満を持っている。なんでそんな優先順位で案件を進めるのか、頻繁に文句を言われる。自分の中では合理的な進め方のつもりなのだが、毎回意見が合わない…(怒)

それは、上司は(それが仕事なので当然なのですが)他の部門の動きや会社の経営陣の意向も理解しているからで、部下であるあなたはその情報を単に知らないからだけかもしれません。
そもそも検討材料である前提の情報量に違いがあれば、それは判断に違いが出てもおかしくありません

そのような気配を感じたら

「すみません、私は〇〇という背景からこういう判断をしたのですが、もしかしたら違う背景をご存知だったりするでしょうか?」

こんな聞き方をすると、角が立たず前に進むことができたりします。

2. 追うべきゴールのズレ

そもそも、何のために、何を目的としているのか。それが自分と相手の間で「微妙に」違っている議論 はめずらしくありません。

利益率を改善せよという指示が社長から出たので、目の前の業務は大変になってしまうけれど大胆にリストラして皆ががんばってカバーすることを提案したら、社長から それは違う と言われた。いったい何なんだ…(怒)

これは、社長が言葉足らずなだけで、「本当に追うべきゴール」は、「利益率の改善」ではなく「利益額の改善」だったのかもしれません。

スタッフを減らしてコストを減らしても、それ以上に売り上げが下がってしまう=最終的な利益額は減ってしまうリスクがある、ということは受け入れられないということかもしれない、という話です。

「利益率」を追求するのか、「利益額」を追求するのか。微妙に違うだけで、行うべき具体的なアクションまで落とし込むと、大きなすれ違うを生むことも多くあります。

相手が本質的に求めていることは何なのか、本当の「問題」は何なのか、まずはそこを擦り合わせる必要があります。
このあたりは下記の記事「真の問題の見つけかた。」を参考いただければと思います。

その上で重要なのは、

「自分は〇〇の達成に向けて提案したのですが、目指しているゴールが違いますかね? もしかしてより目の前の〇〇ですか? それともより長期的・本質的な〇〇ですか?」

などの問いかけを相手にしてみることです。

3.不確定な事象に対する推測値のズレ

スタート地点である前提理解も、ゴール地点の擦り合わせもできた。それさえ完了すれば、「議論が噛み合わない」ことは基本的にありません。

ただ、噛み合っていても、なぜか意見が合わない。そういうこともあります。それは「不確定な事象に対する推測値のズレ」です。

海外事業を伸ばすために中国に進出すべきかヨーロッパに進出すべきか経営陣と意見が合わない。自分は「成長市場」「同じアジアである」「物理的な距離が近い」という理由から中国推しだが、経営陣はチャイナリスクを危惧してヨーロッパだと言い続ける… あいつらアホなんじゃないか(怒)

結局は、意見が分かれるような意思決定のすべては、「不確定な事象を予想・想像しながら判断せざるを得ない」ところがあります。

リスクとチャンスをどれくらいに見積もるか。
これはどちらが正しいとか間違えているとか一概には言うことができず、これまでのお互いの人生経験値による総合力の議論のため、簡単に擦り合わせることは困難です。

そんな時は、「評価軸」を「見える化」して、思い込みや言った言わない等の議論のループを防ぎましょう。

上記の例で言えば、「中国進出」と「ヨーロッパ進出」それぞれについて、「成長市場の度合い」「文化的な近さ」「物理的な近さ」「政治の安定」の4つの評価軸で、1〜5のスコアをつけて、ホワイトボードに書きながら議論をしたりする ことです。
そうすることで、相手が何をどう評価しているのか理解しあうことができ、具体的にツッコミを入れ合うことができるようになりますし、

・一部の評価軸は重み付けをしたほうがいいとお互いに気づくこともある(たとえば他の評価軸に比べて「文化的な近さ」は半分・「政治の安定」は2倍重要だ、と合意しあえるかもしれない)
・他の評価軸があるかもしれないと気づきあえることもある(たとえば「自社の強みを生かせる」「競合が少ない」など)

色々な「生産的」な議論につながります。

良くないのは、「お前は若造だからよく分かっていない」「老害のあんたは今の時代を分かっていない」と、互いにレッテル貼りをしながら思考を停止してしまうこと です。

一番重要なこと

かように、ほぼ全ての議論の対立は、上記の3つの理由に集約されると思います。

ここまで読んでいただくと、冒頭に書いた

「相手が/自分が 、正しい/間違っている」というような単純な二元論ではなく、あくまでも「ズレ」である

ということがご理解いただけるのではないかと思います。

人は誰しもプライドの高い生き物なので、つい、議論が白熱すると自分の正しさを主張しがちです。その結果、正しいか間違っているかの話をし始めると、多分に感情論が混じってきて、最終的には戦争。喧嘩別れに至ります

そうではなく、
相手にも相手なりの合理的な判断の上での意見だと信じ、その「ズレ」はどこから発生しているのか、興味をもって聞き出し、合理的な結論に導く
ということが、根本的には一番重要です。

ここを意識すると、何も生み出さない「喧嘩」ではなく、生産的なアウトプットを生み出す「議論」ができると思います。

ふと上司・同僚・部下・クライアントとの議論でアツくなってしまった瞬間は、本稿を思い出していただけたら幸いです。
たぶん、参考になるところは多少なりともあると思います…!

 * * * 補足 * * *

ところで、そもそも 根本的にアホ で合理的な議論ができない相手だとしたら上記の話は成り立ちません…
「合理的な議論ができない相手」とは
・ロジカルな思考ができない(三段論法的な話も通じない)
・事実と意見を混同する
・抽象度を上げた話を理解できない
などを指します。
この場合は、適当に”いなす”のが相手にとっても自分にとっても幸せですし、また、相手が社内、特に上司だったりしたら、しばらくの間は訓練として楽しんでみてもいいですが、最終的には部署異動か転職をするのがいいと思います…!

と、身も蓋もない話で本稿を終えます (^^;

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