「真の問題」の見つけかた。

僕が大学で学んだのは20世紀の終わりのこと。もうずいぶん前です。
当時は最先端を謳っていたその学府ではインターネット/社会学/メディア論などを学びましたが、当時最も衝撃を受け、そしておそらく今の仕事にも深くつながっているのは1年生の時に受けた「問題解決」に関する授業でした。
当時学んだことを振り返りつつ、その後、自分なりに見つけた「真の問題」を見つけるための考え方を整理したいと思い、筆をとりました。

21世紀は「何が問題なのか」を問われる時代

時は1990年代。当時の教授がその授業で語ったことは
・20世紀は「問題解決」の手法が発達した
・これからの世紀は「問題解決」ではなく「そもそも何が問題か」が問われる時代である

戦略コンサル出身者の問題解決の本が巷に溢れる昨今ではピンと来る人も多いと思いますが、当時は「問題解決」という言葉ですら一部のビジネスパーソンの間でしか流行っていない時代で、さらに「その一歩先」のことを大学生に対して教えていたのですから、とても刺激的な授業でした。

その授業で取り上げられたのは下記の話です。
(コンサル業界では有名な話ですが、知らない方はぜひ自分で考えてみてください)

・ある20階建てのホテル。高層ホテルにもかかわらず作りが古いため、エレベーターが1機しかありません
・毎朝、チェックアウトの時間は大渋滞が起き、客からのクレームが絶えません
・あるコンサルAに相談したところ、エレベーターをいかに安く・素早く増設するか入念な検討を行い、1年かけて3億円の投資を行うべき、と結論付けました

・一方で、相談をうけた別のコンサルBは、1週間程度、数十万円で「問題解決」できる方法を提示してみせたのでした

さて、どうやって?

「何が問題なのか」問題

色々な方法があると思いますが、コンサルBが示した「問題解決」のための方法は、「エレベータホールに姿見の鏡を設置する」という案。
エレベーターホールでの待ち時間自体は変わらないものの、自分の身だしなみを確認することで待ち時間が気にならなくなり、クレームが激減したのでした。

そう、これは「エレベーターが足りないことが問題」と捉えるのではなく、「エレベータの待ち時間で客がストレスを感じることが問題」と捉えたからこそ生まれた解決策だったわけです。

僕たちは「問題に対してベストな解決策を考える」ことをまず考えてしまいがちですが、「そもそも問題は何か/何を問題と捉えるべきか」をまず考えることが何より重要だということを示してくれる例だと思います。

僕らの周りには様々な「問題」があります。その際、解決策を考えるよりも前にまず「問題」が何か考え直す思考のクセをつけることが大切です。

とはいえ「他に問題はないか」と、やみくもに考えてもキリがありません。
あらためて考えてみると、大きく2つのアプローチに整理できそうです。

1) 問題のレベルを上げる

目の前の問題そのものを解決するのではなく、その「問題」を生じさせている別の根本的な問題があるのではないか、というアプローチ。
目の前の問題を解決したところで、根本的な問題を解決しないと同じ話の繰り返し、というような事例はよく目にするのではないでしょうか。
問題は元凶を断ちましょう。

例えば、
人の入れ替わりが激しい職場でマニュアルが揃っていない問題
⇒そもそも人がすぐに辞める環境に問題があるのでは?
子供がテレビに長時間かじりついちゃう問題
⇒ルールを作るとかではなく、そもそもテレビを置かなければ良いのでは?
バイトが厨房でバカ動画を撮ってSNS拡散するバイトテロ問題
⇒そもそもバイトが厨房にスマホを持ち込めるのが問題なのでは?(実際、バイトテロが報じられていないマクドナルドはバイトの制服にポケットがありません)

というように、問題のレベルを上げることで、より根本的な解決策を考えることができます。

2) 問題のレベルを下げる

一方で、問題のレベルを上げるとより本質的な解決になるものの、大変すぎて現実的ではない、ということもよくあります。
であれば、その問題の結果として引き起こされている事象 こそが真の問題なのではないか、と、レベルを下げるアプローチもあります。

例えば冒頭のエレベーターの例は、まさにこの「問題のレベルを下げる」例といえるでしょう。

他にも例えば
少子高齢化が進んでいる問題
レベルを上げる:出生率を上げるための様々な取り組みを実施(重要だけどなかなか結果が出ない…)
レベルを下げる:それによって引き起こされる労働の担い手・介護人材の不足こそが問題。ロボットやAIの活用を行う
共働きだと子供に向き合えない問題
レベルを上げる:そもそも共働きしないで済むように世帯年収を増やす(簡単にできるならとっくにやってる…)
レベルを下げる:結局、子供と有意義に過ごす時間が取れないということが問題。仕事以外は子供と話をすることに全振りするできるよう家事代行サービスを導入

色々な例が浮かびますね。いまあなたが直面している「問題」にも当てはめてみることが出来るのではないでしょうか。

 * * *

一般的に、「問題」の解決方法の検討以上に、「何が問題なのか」という 問題設定 の検討の方が圧倒的に重要です。
解決すべき「問題」の設定が間違っていると、的外れ・無駄に非効率な解決策しか出てきません。

当時の大学教授が言っていた通り、21世紀は社会の多様化・分断が進み、一筋縄ではいかない問題が山積みの複雑系の時代となりました。

民族・宗教の対立、ローカルとグローバルでの格差問題、技術の進歩と生命倫理の問題、日本においては少子高齢化、、、

そのような時代、「何が問題なのか問題」に真正面から向き合わざるを得ない21世紀を生き抜いていく、そのために、このnoteがその一助になれば幸いです。

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けんけん

web業界でBtoCサービスを作ってきたプロデューサー・ディレクター。特許持ち/グッドデザイン賞・米アプリアワード受賞歴あり/社会論・仕事論・人生論の思索がメイン。たまに旅について呟きます。 twitterはこちら → https://twitter.com/kenxxxken1

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