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違いに対する恐怖や不安を楽しさに変えていきたい。''山瀬加奈さん''

 海外での「異文化体験」や「実践」を焦点にした留学を推奨することにより、学生時代により多様な経験と自ら考え行動できるような体験の機会を提供する「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~」。
 そのプロジェクトで活躍されている山瀬加奈さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地:神奈川県横浜市生まれ
活動地域:主に東京
経歴:中高時代をアメリカ・ワシントン州で過ごし、卒業後、日本の大学に進学。
楽天株式会社、一般社団HLAB、NPO法人NEWVERYを経て、現在パラレルワーカー。「お互いの視野が広がるような教育」を提供するために様々な活動に関わる。
現在の職業及び活動:(2019年1月現在)
・文部科学省トビタテ!留学JAPAN
・玉川大学通信教育課程
・NPO法人コモンビート スクールプロジェクト
・KIDSLINE
座右の銘:If there are no ups and downs in your life. It means you are dead(浮き沈みの全くない人生なんて、死んだも同然だ)


「先生という枠にとらわれず、いろんな引き出しを持っている人になりたい」

Q:どんな心のあり方や認識の変化が山瀬さんの今の活躍に繋がってると思いますか?

山瀬加奈さん(以下、山瀬 敬称略):
 素直なのかなって思います。単純に興味あることにアクションを取るところですかね。
 私、2年ぐらい前のテレビドラマの「東京タラレバ娘」が大っ嫌いだったんですよ。女の子3人組が、「なんとかだったら」とか「なんとかしてれば」とか、その「たられば」っていうので言い訳しちゃうんだったら、今やれよ!みたいに思ってしまいます。
 なので、例えば、今ここで首都圏直下型地震が起きて死ぬのもあり得ることなので、今やりたいと思ったことをやるというような気持ちがあります。「NOたられば」です。

記者:かっこいいですね。

山瀬:今やりたいことをやらないと後で後悔すると思います。

記者:そうなんですね。山瀬さんは「トビタテ」のことや、新しい教育を伝えていけるように一生懸命頑張ってらっしゃると思います。
 でも、生まれた時の山瀬さんは教育というところにフォーカスもなかったと思いますし、あらゆる選択肢があったと思います。人生の中のどんな経験や体験がきっかけで、教育に興味を持って取り組むようになったのですか?

山瀬:子供が好きだったところが起点だと思います。自分よりちょっと困ってる子を助けたいって気持ちがありました。家族や親戚がいっぱいいて、周りがお世話してくれたっていうのもあって、いろんな人に囲まれていたのが良かったのかもしれないですね。助けてくれるから私も助けようとしたのかもしれないです。みんな助け合ってました。

記者:すごい素敵ですね。人は結構好きですか?

山瀬:ここでいうのもなんですが、いじめられてた時期もあったので、人間不信の時期もありました。

記者:小学校の時ですか?

山瀬:そうですね。中学校の時はアメリカにいたので、日本の陰湿のいじめというよりは、人種差別の方が多かったです。人間不信みたいになっていましたけど、その時に自分を外に連れ出してくれたのも友達なので、人ありきという気がします。

記者:人と関わりながら視野が広がったり、認識が変化したりしたのですかね。

山瀬:そうですね。

記者:山瀬さんが教育という方向性に舵を取ったのは、いつだったのですか?

山瀬:大学で教職課程を取ろうと思ったときですかね。

記者:教職課程を取ろうと思った元々のきっかけはなんでしたか?

山瀬:もともと子供が好きなのと、アメリカに行って英語に苦戦したのが混じった時に、高校三年生の進路選択でいろんな学部に興味を持ったんですけど、教育学部はありだなというのが始めて生まれました。
 でも、その時に、教育のことだけ詳しい先生はつまらないなと思って、いろんな引き出しを持っている人がいいなと思いました。その時に、自分は日本文化を知らなかったと思ったので、日本文化を学べる大学で教職課程を取って、いろんな引き出しを持てる人作りと学校の先生を目指そうと思いました。
 それが自分の中に腑に落ちたのが、日本帰国直前の高校三年生の5~6月あたりでした。

記者:アメリカにいるときにですか?

山瀬:そうです。高校三年生の9月に入試だったので、6月に日本に戻りました。日本文化を学べる大学の志望が高まってきたのは、8月のオープンキャンパスに行った時でした。その時に質疑応答した先輩にすごく憧れました。

記者:どんなところに憧れたんですか?

山瀬:「私、帰国子女なんですけど」って言った時に、「え?めっちゃ面白い!」って言ってくれたのが嬉しかったんだと思います。例えば、「帰国子女専門の入試じゃないから、ごめん」みたいな感じで流されていたら、嫌なイメージで終わっていたと思います。でも、その人は「うちの大学にいろんな学生いて面白いじゃん!」と思ったと思います。その人も日本文化を学ぶ学部の人だったので、この学部の人たちはオープンな人たちに慣れているんだろうなというイメージがあったんですよね。

記者:違いを楽しめるっていうのがいいですよね。

山瀬:そうなんですよ。実際に面接の時にも、私が「帰国子女なんです」という話をすると、先生が「めっちゃ面白い」とか言ってくれてたので、私も、ここの先生達がおもしろいと思いました。


「自分の本心や言葉に出せないものを引き出したり、それに気づく周りの存在が必要」

Q:これからの時代はAIがどんどん活躍していく時代だと言われてます。その中で求められてるニーズや必要なことはどんなことだと思いますか?

山瀬:深いですね!
「トビタテ」ではAIに仕事がとられていってしまうと言われている中で、自分の軸や個性を持つようにと言っていて、それに結構共感しています。
 今、話してて思ったのは、AIなどによって、たくさん情報も出てくると思いますけど、視野が狭くなりかねないと思います。そこで、他の視点を入れてくれるのは、周りにいる友達で、自分のことを知ってる人たちなのかなと思いました。
 例えば、私が先生になりたいって発信をしていたら、先生になるための情報はAIで判別されて届くかもしれないです。でも、「ヤマカナって、小さい子も好きだよね」と言って、保育の話などを突っ込んでくれるのは、AIではなくて友達だなと思いました。だから、自分のニーズというか自分のことを発信するのも必要ですけど、そういう時に手を差し伸べてくれる友達やコミュニティーがあるのも結構必要だと思いました。

記者:なるほど、たしかにそうですね。

山瀬:私、ネットで自動判別して出てくる広告が相性が悪くて、全然響かないんですよ。でも、友達から来る「このイベント面白いよ」という情報はとても響くんです。そう思うと友達なのかなと思います。
 私はいろんな世代の人と知り合えたので、いろんな世代だと、より面白いかもしれないです。

記者:なるほど。AIが活躍する時代に、身の回りや社会は、どんな風になりそうなイメージがありますか?

山瀬:自分が欲しいと思った情報は入ると思いますし、自分がこうなって欲しいなと思う世界は実現する世界になると思います。
 でも、自分の意思はあるじゃないですか。そこで、AIも「こういう視点もあるよ」という風に提供してくれるのかというのは疑問です。提案してくれる情報の中で響かない情報もあると思うんですよね。

記者:自分の本心やニーズまで組み取って、新しい視点を提供してくれる人が必要ということですね。

山瀬:そうです。その本心とか言葉に出せないものを引き出したり、それに気づく周りの存在とかがすごくキーだなと思います。


「違いを拒否するのではなく、お互いに学びあって、楽しめる世界にしたい」

Q:山瀬さんは、AIが活躍していくこれからの時代にどんな美しい時代を作っていきたいと思っていますか?

山瀬:教育に例えると、先生が教壇の上に立って一方的に話す形ではなく、教壇も同じ高さで、同じ目線で、むしろ先生も輪に入ってディスカッションしてるような時代がいいなと思います。
 教育に関して言えば、それがわたしの一番の理想です。子供から学ぶこともあるし、大人から学ぶこともあるし、お互いに学びあったりしているのがいいなと思います。
 今やっている国際理解のダンスなども、私は教壇に立って教えているわけではなくて、一緒に輪になって教えています。子供が「もっとこうしたらカッコいいよ」っと言ったら、「それ採用!面白い!」というように、一緒に作品を作っていくような感じでやっていたりするんです。始めの意図としては、世界のダンスを知ってほしいっていうのがあったんですけど、そこから子供の創造性も引き出せたので、よかったなというワークが多かったです。

記者:すごく素敵ですね。

山瀬:そうですね。最初は全然話を聞かない子達が、最後に「楽しかったー!」って言ったりすると、「あー、すごくいい時間が作れたな」って思います。そういう風に、お互いに楽しくできるという感じですかね。みんな壁がない感じがいいですね。

記者:子供は上下とかないですからね。

山瀬:本当にないです。子供が一番純粋なピュアですからね。「なんでこの子は肌が黒いの?」とか普通に言いますからね。「でも、その肌が黒いことを誇りだと思ってる国もあるんだよー」とか話したりしてます。
 違いを、拒否するという感じではなく、お互いに学びあって楽しめる世界にしたいですね。
 「トビタテ」で留学した子は、笑顔が増えたっていうんですよ。海外に行って、人に怪しまれないために、口角が疲れるまで笑顔をして、「私は怪しい人じゃない」ってアピールするんです。でも、純粋に自分の素直な心でコミュニケーション取ったり、向こうでの新しい文化を楽しんだりしいてくる人たちがすごく多いので、単純にそういう子たちが増えるのがいい世界だなって思っていますね。


「違いと出会う、楽しさ、面白さを共有していきたい」

Q:子供や大人というのは関係なく、これからの時代の人と、どんなことを気づきあったり、共有しあったり、感じ合いたいと思いますか?

山瀬:最近は、ダンスを通してというのが多かったので、世界のダンスを知りたいかもしれないです。民族が生まれてから、人々の中でお祭りや儀式というものが、必ず人類の歴史の中にあって、それが付きものだと思います。 それが時代を経て、今や、よさこいも「ピップホップよさこい」というのがあるんです。そういうのを日本の子供がしたら、どういう反応来るかなとワクワクしています。昔は各文化のダンスがありましたけど、それが混ざり合って、そういうものが生まれて来ていたりするので、面白いなと思います。

記者:すごい、化学反応的な感じですね。

山瀬:本当に面白いですよね。足したらこうなるんだ!という感じで。

記者:山瀬さんは、いろんな違いを楽しんでいますよね。

山瀬:そうですね。「面白いよねー!」みたいな感じで、違いに対する恐怖感や不安を取っ払っていきたいという思いがあります。


Q:ありがとうございます!最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

山瀬:「トビタテ」は留学促進ですが、必ずしも留学は選ばなくてもいいと思っているので、自分のやりたいことは何か、自分の軸を持って頑張ってもらいたいと思っています。
 日本の外に出るのであれば、「トビタテ」のお話もできますし、ダンス部の子だったらダンスのお話もできます。自分にできることで、その人が求めてるのであれば、サポートしていきたいと思います。
 また、自分も新しい視点や情報を求めているので、私に合いそうな方がいたら、是非教えていただきたいです。

記者:今日、お話を聞かせて頂く中で、山瀬さんご自身が、新しい世界や違いと出会うことをとても楽しんでいるように感じました。そして、いろんな情報や人などが、山瀬さんと出会うことを通して、もっとイキイキとしたものに進化していくイメージが湧いてきました。
本日は、ありがとうございました。


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 【編集後記】
 今回、インタビューの記者を担当した浅利と中村です。
 山瀬さんのお話を伺っていると、とても素直な方で、新しい世界や違いをどんどん取り入れて成長し続ける「純粋な細胞」のような方だなと感じました。
 これからの変化が激しい時代に、山瀬さんのような姿勢を持った人が増えて、繋がり合っていくことが希望になると思いました。
 同世代としても、ますますのご活躍を心から応援しております。


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 この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。 https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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