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美味しいタルトと出会い

米子自動車道上りに蒜山高原SAがあります。
2022年5月の連休を利用して、千葉県の外房から福岡県の実家まで、電気自動車でドライブ帰省した帰路に立ち寄りました。電気自動車はバッテリーに充電された電気を駆動エネルギーとして成り立っています。だから、バッテリーが消耗したら充電します。ひとつ手前の大山SAで急速充電システムで80パーセント充電し、中国山地の登りにトライ。すると高速走行で登り勾配。あれよあれよと言う間にバッテリー残量は減少しました。普段、80パーセントで少なくとも60キロは走行可能ですが、30キロしかない蒜山高原SAまで残り5キロの案内板で.残量が10パーセントを示しています。気持ちだけ焦り、自転車でもないのに足で漕ぎたい気持ちでした。なんとか、SAにたどり着き、急速充電システムをセットしてホッと息をつきました。感染症の影響で普段はショップには入店しませんが、空腹でもあったので入店すると、並びがいくつかありました。夕方近くにもかかわらず、ソフトクリームを何人もの方が注文していました。のちにネットの案内で知ったのですが、美味しい高原牛乳を使用したソフトクリーム。しかし、空腹の私はもちろんソフトクリームでは満足できず、同じ売り場にあった「チーズタルト」を購入しました。自販機で挽きたてコーヒーを購入して充電中の車中で食べました。淡い酸味と甘いチーズ、甘みを抑えた周りの生地、2個入りのパックは.あっという間に空っぽになりました。気がつけばショップに駆け込み、残り2パックを購入していました。
正直なところ、私は2型糖尿病を罹患していて、医師からは糖分とカロリー摂取を指導されていました。その指導をすっかり忘れてしまうほど、この「チーズタルト」美味しいです。
その想いは関東に帰り、日常を取り戻してからも募る日々をおくっていました。もちろん、お取り寄せ、通販サイトを検索しましたが、残念ながら見つけられませんでした。
年が明けて、冬が終わり、春を迎え、また連休が近づき、また帰省にカッコつけて目的はもちろん「チーズタルト」を手に入れることでした。
6泊7日の日程で、電車自動車長旅に出発しました。まずは、帰省して、老いた母親の様子を確認しました。帰路の1泊目は岡山県の瀬戸内海側のルートイン。本来なら山陽道と一般国道でたどり着けますが、そこは目的が「チーズタルト」、途中から中国山地にある三次を通り、中国自動車道で蒜山高原SAを目指します。ここでトラブル発生。約60キロ毎にある充電スポット充電しようと機械を見ると『この先のSAの充電機は故障中』。
蒜山高原SAまでは約120キロ。とてもたどりつけません。ナビとアプリと睨めっこして迂回路を設定しました。ただし、迂回すると3時間は必要、只今16時すぎ、到着予定は19時すぎ。しかし、なんとしてもあの「チーズタルト」にめぐり会いたい。その気持ちを頼りに次のインターチェンジで一般国道を一路蒜山高原SAへ向かいました。2回の充電といくつかの峠を越え米子道のインターチェンジに到着しました。バッテリーの残量は70パーセント、たどり着けか不安がこころによぎりましたが、今さら戻って充電する時間もありません。ここまで1800キロを走破してきた相棒IMIEVは昨年よりは電費が調子が良い。いくしかない、なんとか会いたい、手に入れたい「チーズタルト」。私の心がわかるのか、相棒は30キロにおよぶ上り坂を快調に登板しました。SAに到着し、ショップに行くと、前の客はやはり、ソフトクリームを注文していました。自分の順番になり、声の上滑りを抑えながら、「チーズタルト10パックください。」店員さんが思わず聞き返し、「チーズタルト10パックですか?」私は「そうです、チーズタルト10パックです。これを購入する為に800キロ走って来ました。」店員さん「ありがとうございます。」持参した保冷バッグに10パックを嬉しさを一緒に詰め込みました。

#創作大賞2023 #エッセイ部門

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