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城端線の観光列車べるもんた。地域活性化を狙うならネーミングは真面目に考えたほうがいい

富山県西部を走る城端線に乗ってみました。この城端線で主に土曜日に走る観光列車に色んな意味で興味津々だったわけです。

結論から言うと地域の特色があってもおかしな名前のせいでその魅力が全く伝わっていないと感じました。


1.たった1両39席の観光列車

今回乗るのは土曜日の午後高岡駅を出発するべるもんた城端53号。午前中にも1往復あります。普通列車の全車指定席という扱いです。


キハ40 2027

たった1両。往年のトワイライトエクスプレスを彷彿させる豪奢なカラーリングが特徴的です。


車内はボックス席と窓側席

車内はボックス席と窓を向いたカウンター席があり、日曜日に走る氷見線ではこちら側は富山湾を眺めることができるようです。実際べるもんた城端号より氷見号の方が指定席は人気のようです。


氷見線の雨晴海岸(2020年夏撮影)

氷見線の雨晴付近は海沿いの絶景スポットで道の駅もあります。ここなら良いムードかも知れません。

座席票(JR西日本公式より)



2.お寿司を楽しむ列車だったの?

さて前情報で知ってはいたのですが事前予約制でお寿司や地酒が頂けるようです。指定席券は駅で購入しますが食事は別サイトで申し込みが必要です。

いや寧ろそっちがメインテーマのようで、10数名の乗客のほとんどがお寿司を予約していました。


入口に手洗い器

そう言えば入口に手を洗う場所があっての気になったのですが、お寿司をつまむからだったのね…


お寿司カウンターと売店。奥に職人さんも

車両の一番奥にはお寿司屋さんのカウンター、そして板前さんも乗ってて車内はお酢の香りが漂います。


城端駅にて

終点の城端まで50分ほどの旅程だったわけですが、お寿司や地酒がメインテーマだと知っていればちゃんと予約してたかな?


3.地域の魅力を伝える努力が感じられない

これまでもいくつかローカル線の観光列車には乗ってきましたが、正直JR西日本にはコンセプトや独自の魅力を伝えようという姿勢が感じられません。

まずイメージが湧かないネーミング。
人を集めようという意気込みが皆無です。
イケてる大阪の会社がイケてるフランス語(笑)でプロデュースしてやった、まぁお前ら田舎者には読めんやろな、という上から目線しか感じません。
冗談抜きで岡山にも似たようなのが居ます。

地域の知られざる魅力とか、駅や旅行代理店で申し込む人のこととか考えてないだろうなぁ


一万三千尺物語

帰り際に見かけたあいの風とやま鉄道の一万三千尺物語。
こちらも富山湾の海の幸をテーマにした列車ですが、富山駅発着のツアー形式でコンセプトがより伝わりやすいです。食材はもとより車両のデザインも地元企業にこだわっているようです。


ろくもんワインディナー(2021年夏)

北陸新幹線開通に伴う第三セクター移管では旧信越本線長野県内を継承したしなの鉄道の観光列車ろくもんも、一部に指定席を用意するもののランチ、創作和食、ディナー等景色と地域のグルメを前面に押し出しています。
ろくもんは信濃国の豪族真田氏の六文銭に由来。


フルーティアふくしまの和梨タルト(2018年秋)

同じJRでもJR東日本は乗車と食事をセットにしたツアー形式での発売が多く、このフルーティアふくしまは片道1時間で5000円程度と比較的リーズナブルです。
季節により運行区間や食材も変わるのでそれはそれで楽しみ。ウェブサイトでの情報更新も多くそのまま予約ページにも行けます。


こうして観光列車が群雄割拠していると、JR西日本の列車は今一歩という感じがします。
かつてはJRは全国の駅や旅行会社で予約できる営業力があった訳ですが、今はみどりの窓口が縮小し、一方で上記のように第三セクターでもウェブサイトでPRからオンライン予約までできるようになった訳です。

JR西日本の場合グルメをテーマにした列車の多くが座席と食事を別々に予約する仕組みなのも考え物です。週末を中心に多頻度運行、定員100名以下の贅沢空間が近年の観光列車のトレンドですが、だからこそネーミングで損をするのはもったいない気がしてならないのです。

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