WOWOWで「さまよう刃」視聴※ネタバレ

放送されたのが去年だから随分と乗り遅れだけど、ようやく観た。原作は読んでないが2004年の作品。寺尾聡主演の映画は2009年。ざっくりなあらすじのみの予備知識で比較的まっさらな気持ちで見始めて、第一話の無残なシーンの連続に気持ちが折れかけた。…最後まで見届けられるのか?私

長峰に感情移入出来たのは中の人が竹野内豊だったからではない(はずw)。自分の子供を理不尽な、異常に残忍な形で殺された親の気持ちになってしまう。殺したいと思っても仕方ないと感じた。もちろん法律では許されないことだけど。

彼を手助けする木島和佳子の行動はどうか?途中何度も自分の身に置き換えて想像してみた。うん…手伝っちゃうかもしれない。いや、和佳子は思いとどまらせるつもりだったらしいが、私だったらどうだろうか?少なくとも警察に通報しないかもしれないな。その時にならなきゃ分からんがね。

一方、加害者の少年たちはどうか?(生い立ちがどうであれ許されることではないのだが)逃亡中コンビニ前で一人しゃがみ込みでいる男児に一万円札を渡す快児。突飛な行動だが、彼自身が幼い頃から孤独を抱えていたことが分かる場面だった。未成年の犯罪者三人それぞれ家庭環境に問題ありという設定はよくあることで、それを見せつけられた視聴者は感情をどこに持っていけばいいのか?ここでまた頭を抱えた。

「良い人間」である長峰を復讐の鬼と化した怒りの威力。途中二度、和佳子の説得に応じ殺害を思いとどまったにもかかわらず、目の前に現れた快児の姿に(二度目は姿ではなく偶然知った情報)一瞬で眼光が変わった。この時の竹野内豊の演技が凄まじかった。

快児を追い詰める長峰、長峰を包囲する警察。彼が本懐を遂げることを願いながら見ていた自分がいた。それが正しいことかは分からないのだけれど。いよいよ引き金を引こうとする瞬間、全てを受け入れたように目をつむる少年。…ズルいよ…何とも言えない不快感が心を支配した時、織部が長峰に発砲し復讐は未遂となった。ライフルを構えた時から撃たれて倒れた時まで、一言も言葉を発しないまま長峰は死んだ。

どうしてこの結末になったのか、自分なりに考えてみた。あの状況で長峰の「殺してから自殺」は叶うことなく囲まれた警察官に捕らえられ裁きを受けるだろう。快児を殺すことで未成年者二人の殺人とになり、死刑判決が降りる可能性が出てくる(あくまで可能性)彼を法律で罰したくない、というのが作者の意図したことではないかと思ってる。あくまで個人の見解。

人を殺して許される人と許されない人がいる。

敦也を殺した長峰は織部に撃たれて死に、発砲を止めようとしたという理由で織部はお咎めなし。強姦殺人を犯した快児は逮捕され罰せられ、共犯者の誠は捜査協力をした故に無罪放免。汚れた川に流した花がいくらか浄化してくれるとでも言うのか?一連の復讐劇を裏で操作していた久塚は何も言わず警察を辞めた。

これでよかったと言えるのだろうかと疑問符だけを残してドラマは終わった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?