#7 カバー版「Revolver」ができるまで
Revolver(1966)
Taxman / Char(2010)
ジョージの楽曲。ファンの人気は高い楽曲なので、きっとかっこいいカバーがあるはず。
まずかっこいいと思ったのは、「Bill Wyman's Rhythm Kings」のバージョン。
元ローリングストーンズのベーシストのBill Wymanが組んだブルースロックバンドで、今回はちょっと原曲よりスローなアレンジになっている。かっこいい。
もう一つスローなやつでかっこいいと思ったのが「Stevie Ray Vaughan」のバージョン。
この2曲ともめちゃかっこよくて自分好みではあるけれど、やっぱりTaxmanはスピードに乗ったものを選びたい。ということで、選んだのが「Char」。
なんとこれ、スタジオで一発録りのテイクなのだそう。めっちゃかっこいい!このバージョンについて語っているCharの動画も公式で公開されていたので貼っておこう。
すごく濃密なYouTube。Charのファンは幸せだ。
Eleanor Rigby / Pain(2002)
ポールの楽曲で、超有名曲。これも数えきれないほどカバーがあるはずなので、選ぶのが大変そう。
まずはかっこいい、レイ・チャールズ版。
これを選んでもいいんだけど、やっぱりもうちょっと新しい時代のものを選びたい。まずは「Andrew Gouche」という、ゴスペルベースプレーヤーのバージョン。
「Eleanor Rigbyって、こんな曲だったのか!」と気付かされるようなアレンジ。めっちゃかっこいい。
こんな一風変わったアレンジもあるけれど、やっぱり基本的にはジャズアレンジやクラシックのようなアレンジのインストゥルメンタルが多かった印象。
そんな中で少し目立っていたのが、HR/HM風のカバー。えっ、Eleanor Rigbyってメタルなの?まずは「Mars Hall」のバージョン。
すごい!メタルっぽいEleanor Rigby、かっこいい!さらに聴いてほしいのが「Pain」のバージョン。
Painはヘビーメタルに電子音楽やテクノをミックスしたような音楽性が特徴の、スウェーデンの音楽プロジェクト。まさにEleanor Rigbyをメタル色に上手に調理。新たな世界を切り開いてくれた気が。音楽って、自由だね。
I'm Only Sleeping / Gaby Moreno(2020)
ジョンの楽曲。この曲もカバーが多くありそうなイメージ。実際に検索してみると、さまざまなジャンルのカバーが見つかった。
まずは「スカポップ」というジャンルでカバーしている「Suggs」のバージョン。
ノリノリなI'm Only Sleeping。あんまり眠くなさそうだけど。
そして、おしゃれな「Will Young」のジャズ風カバー。
これもまた雰囲気が変わって良いなぁ〜。Revolverの中ではなんとなく聞き流していたけど、やっぱりいい曲だな。
そして、「Panicland」。
全く眠くなさそうだし、なんならギンギンである。聴いてるこっちもギンギンになりそう。
やっぱりなんかこう、眠気が足らない。原曲には圧倒的な「眠気」がある。眠気があるカバーはないかな。
そこで見つけたのが「Gaby Moreno」のバージョン。
このトラックには眠気がある。聴いていると、なんだかすやすやうっとり眠りたくなってしまう。彼女の声質と曲もよく合っている気がする。
Gaby Morenoはグアテマラのシンガーソングライター。どこか、懐かしさがあるよなあ。
Love You To / The Beaters(2003)
さぁ、きたよ。この時代なんだね、もう。感慨深いよ。ジョージのインド。これのカバーって、どんな感じなんだ。
と思ったら、うわあああああ。全然ない。カバー見つけるんが大変だわこれ。と思いつつも、探しまくったら、エラいものが掘り出されました。
ジョージのインドをどう料理したのか。Love You Toからインド感を消してカバーした猛者を3曲紹介。
まずはジャズに昇華した「Joel Harrison」。
なにこれ、天才??Love You Toがこうなるの??ちょっと強引だけど。
そして「The Sweet Lords」はこんな感じに。
Love You ToがDJイベントで流せそう。これすげえな。無理やりアゲアゲソングに。
だんだん面白くなってきた。そして、ぼくがプレイリストに選ぶのは「The Beaters」。
なんで原曲よりもこっちの方がビートルズっぽいんだよ。
天才か。なに、原曲はジョージのLennon / McCartneyのカバーなの?と思わされるくらいの自然さ。
途中でSomethingのフレーズを入れてくるあたり芸が細かくて、変態的。
The Beatersはお察しの通り、ビートルズのトリビュートバンド。普段はこんな感じ。
海外のビートルズトリビュートバンドは、こういう才能の無駄遣い感が楽しいな〜。
Here, There And Everywhere / Nataly Dawn(2018)
ファンからの人気が高い、ポールの美しいメロディが堪能できる超有名曲。きっとさまざまなバージョンのカバーがあるはずだし、そもそもカバーがめっちゃ多そうだ。
やはり。とんでもない数。とにかくどんどん聴いていこう。多いのは女性ボーカリストがしっとりと歌っている感じ。
楽曲の美しさが際立つ。これが正解なのかなという気もするなぁ……。ともかく、「いいな」と思ったものをピックアップしていこう。
まずは「George Benson」のバージョン。
しっとりと歌い上げた後は、後半は心地よいインストゥルメンタルに。この曲を骨の髄まで味わい尽くす感じ。いいね。
ロンドン交響楽団がカバーしているバージョンもあった。
どんなカバーをしてもハマりそうなんだけど、やっぱりこの曲は女性ボーカリストのソロ歌唱が合う。そこで、いろいろ聴き比べた。
個人的にいいなと思ったのが、まず「Olivia Ong」のバージョン。
Olivia Ongは、シンガポールのボーカリスト。声が美しくて、この曲に合っている。しっとり歌い上げているバージョンの中でも古臭くなく、感動的でいいトラックだと思った。
ただ、これよりもただ「好き」という感情が勝ってしまったのが「Nataly Dawn」のバージョンだ。
なんて雰囲気のある歌唱なんだろう。力を抜いて歌ってくれるおかげで、メロディーのそのままの良さが際立つ。それは、原曲とも同じだ。
Nataly Dawnはアメリカのシンガーソングライター。
他の曲もよかったので、よかったら聴いてみて。
Yellow Submarine / Model Boyz(2015)
こちらもまた、超有名曲。おそらく、カバー曲もたくさんあることだろう。探していく。
ひとまず、これは触れておこう。日本が誇る名カバー。
イエローサブマリン音頭。Yellow Submarineを音頭っぽいと思って、形にして、ヒットさせたのすごいよな……。こんな感じで、楽曲の新たな可能性を広げるようなカバーを発掘したいところ。
いろいろ見ていくと「Children Beatles」みたいな名前がついたコンピレーション版がたくさんヒットする。子ども向けビートルズソングの定番と言っていいのかも。
次に見つけたのが「Blues Beatles」の、ちょっとアレンジが変わった感じのバージョン。
ブルースビートルズというだけあって、ちょっとブルースのテイストが入っています。ブラスも入ってて、原曲と全然違って面白い。
あとは、サルサっぽいカバーもいくつかあった。
ビートルズをサルサっぽくカバーしているのもよく見かける。いろいろ漁ってみると面白いかも。
とにかくこの曲はカバー曲が多い。しかも、いろんなジャンルがあって楽しめる。その中でも、プレイリストに選ぼうと思ったのは「Model Boyz」のトラック。
「HAPPY DANCE」というすげえジャケットのアルバムの中の一曲。ジャケットのはっちゃけ具合に負けず劣らずの、はっちゃけたYellow Submarineである。間奏部分もあれこれトライしてくれていて、面白い。
ちなみにModel Boyzの詳細は、まったくもって不明である。誰なんだ。
She Said She Said / The Black Keys(2002)
ジョンの楽曲。個人的にはめちゃめちゃ好きな曲で、かっこいいカバーも多そうなイメージだがどうだろう。
なかなかカバー曲がないな……と思ったら、ありました。「The Black Keys」がカバーしていました。
原曲のとはかなり雰囲気は違うけど、かっこいい!この曲はカバーが少なかったな。ちょっと意外。
Good Day Sunshine / Haley Reinhart(2020)
ポールの楽曲。これまでの経験上、メロディが綺麗なポールの楽曲にはさまざまなジャンルのカバーが集まるという法則があるので、きっとこの曲もそうなるはず……。
まずはボサノバ。
ビートルズのボサノバカバーは多くて、いくつもコンピレーションアルバムを見かける。BGMによさそう。
ちょっとヘビーなアレンジもあった。
「Feed Me Jack」というオルタナティブロックバンドのカバー。どうなんだろう、これは楽曲に合っているのかな。面白いけど。
で、いろいろ聴いた結果、女性ボーカリストが歌う「Good Day Sunshine」が好きだなと思った。ポールの楽曲、女性ボーカリストが合うなあと思うことが多い。メロディの良さが引き立つからかなあ。
迷ったボーカリストが2人いて……。まずは「Claudine Longet」。
1967年の音源なんだけど、全然古さを感じない。時代を超えているトラックな気がする。声も可愛い。ジャケットはちゃんと古い感じなので、ちょっと不思議な気さえする。
Claudine Longetは、めちゃめちゃいいんだけど。僅差でこちらを選ぼうと思う。
「Haley Reinhart」はアメリカの女性ボーカリスト。1990年生まれで、ぼくよりも3つ年下である。なんか、年下の方がビートルズを歌ってくれているだけで嬉しくなってしまう。
いい感じに脱力できていて、聴いていてリラックスできる。いいカバーだと思う。
And Your Bird Can Sing / Matthew Sweet & Susanna Hoffs(2020)
ジョンの楽曲。人気もそこそこある気がするし、かっこいいカバーがありそう。期待。
まずは「Char」。この「Char」のアルバム、いいわ……。
あの印象的なリフを無視して、こんなカバーある?すごい。でも、かっこいい。メロディーが好きなんだな。
あとは大物で「The Jam」。
これもかっこいいんだけど、ぼくが選んだのはこちら。
「Matthew Sweet & Susanna Hoffs」のバージョン。なにこれ、めっちゃかっこいい。女性ボーカルから男性ボーカルに変わるタイミングもいいし、ハーモニーも最高。
For No One / anonymass(2003)
うわあ、またポールのスーパー美メロの超名曲。これもめちゃくちゃカバーありそう。でも、この曲も女性ボーカリストが合うような。
ぼくはこの曲が好きすぎて、アレンジが効きすぎたカバーを聴くとモヤモヤしてしまう。だからこそ、原曲に忠実なカバーを選びたい。ただ、For No Oneのカバーはアレンジが効きすぎてるカバーが多い。メロディが綺麗すぎて、壊したくなる気持ちはわかるけれど。
ひとまず、チューリップのバージョンをご紹介。
このアルバム、面白いんで本当におすすめ。おすすめのカバーアルバムも紹介できそうだな。
で、プレイリストに選んだのはこちら。
「anonymass」は、日本の音楽ユニットらしく、チェロとユーフォニアムとキーボードにボーカルという編成。現在はボーカルは脱退しているのだそうだ。
原曲に近いアレンジで、ユニットの編成としてもFor No Oneにぴったり。トラックに漂う「自然さ」はここから来ているのかも。
I Want To Tell You / The Smithereens(2018)
ジョージの楽曲。これはカバー少なそうだな……。あまりファンの間でも話題に上ることが少ない気はする。
まずはちょっとヘビーなカバー。「Bootik Moosik」のバージョン。
Tell Me Whyでピックアップしたカナダのバンド。他にも面白いビートルズカバーをいっぱい残してるので、ぜひ聴いてみて。
この曲で選んだのは「The Smithereens」のバージョン。
The Smithereensは、ニュージャージー州で結成されたアメリカンロックバンド。ノリが良い、元気なロックでかっこいい!
この曲、けっこうロックなカバーが多くて意外だった。
Got To Get You Into My Life / Earth Wind & Fire(1978)
ポールのど名曲!これもカバーが多いと思うけれど、気合入れて選ぶぞ!
……と思ってたんだけど、超かっこいいの見つけた。
「Earth Wind & Fire」のバージョン。恥ずかながら、知らなかった。めっちゃかっこいいっす。なんかこういう有名じゃないの発掘したいんだけど、これが良すぎるので、素直にこれにしよう。
Tomorrow Never Knows / Crystal Speed(2020)
ジョンの不思議な楽曲。これもカバーが多そうだけど、どうかな。面白いやつを選びたい。
いきなり「Phill Colins」のバージョンを発見。
こんなのあったんだ。全然知らなかった。より不思議な雰囲気が増していてかっこいいぞ。
「Char」のバージョンも発見。例の一発録音アルバム。
これはなかなかヘビー。このアルバム、全体的にカッコよくておすすめ。
でも、やっぱこの曲のポイントって個人的には「不思議な感じ」だと思うので、「不思議な感じ」を強調してるやつを選びたい。
そこで迷ったのが2曲。まずは「Cavedoll」のバージョン。
どういう人たちなのかは不明だけど、原曲の不思議さをさらにアップさせてあるいいカバーかなと。
でも、選んだのはこちら。「Crystal Speed」のバージョン。
まさに、現代風の「Tomorrow Never Knows」って感じ。こちらもまったく詳細不明。でも、かっこよくない??世の中には無名の面白いアーティストがたくさんいるね。
てなわけで、カバー版の「Revolver」が完成。雰囲気が変わって、かなりダークな仕上がりになった気がする。
カバーにもかなり多様性が出てきたし、面白い。けっこういいアルバムでは??字数は4万字。もう知らない!
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