#5 カバー版「Help!」ができるまで
Help!(1965)
Help! / LOVE PSYCHEDELICO(2006)
はい、超有名など名曲。数えきれないほどのカバーがあるでしょう。いろんな角度のものを紹介しようかな。
まずはThe Yellow Monkeyの吉井和哉のバージョン。
さらに「More Than Words」で有名なロックバンド「Extreme」のバージョン。なかなか原曲に忠実なカバー。ちょっとギターがヘビー。
コーラスの美しさに、このバンドらしさを感じる。特に最後の「Woooo」がExtreme。
こちらはMetallica風にビートルズを演奏する「Beatallica」のバージョン。
Deep Purpleのバージョンも。なんか意外なテイストのカバー。
Burnのイメージだと、かなりヘビーなカバーなのかなと思うんだけど、こんな渋い感じ。
あとは有名なOasisのカバー。
目に付くビッグネームは紹介しておこう。カーペンターズ。
さらにTina Turner。全然雰囲気違って面白い。
いろんな世界的アーティストが歌う「Help!」めっちゃ面白い。そんな中で、敢えてジャパニーズビートルズファンとして推したいのは「LOVE PSYCHEDELICO」のやつ。
これいいですよね。テンポはビートルズのものと変わらず、原曲のスピード感はそのままに新しい魅力が引き出されてて、面白い。好き。
The Night Before / Eduardo Dodato(2020)
ポールの楽曲だけど、そこそこマニアック。コーラスが特徴的なので、このコーラスも活かした面白いカバーがあるといいんだけど。ただ、曲名的に同名楽曲も多そうだ……。
……案の定、同名の楽曲が数多く見つかることに。「beatles」を加えて検索。すると意外と、いろんなカバーが出てきた。
まずはチューリップの原曲に忠実なカバー。
ジャケットには「エキサイト・ガッツ・ジャンボに爆発!!」という、まったく意味のわからないコピーがつけられている。やっぱ歌も演奏もうめぇ〜〜… …。このアルバム、最高なんで今後のためにもチェック……。
「Carlos Malta」のバージョンも面白かった。これ、なんてジャンル?
「Beatles 'N' Choro」というコンピレーションアルバムに入っていた。「Choro」というのは、ブラジルのポピュラー音楽のジャンルなのだそう。なるほど、これはブラジルの雰囲気なのか。納得。
次点は「Connie Evingson」のジャズ風カバー。
めっちゃいい〜〜。
ジャズ風のカバーは曲そのもののメロディがいかに優れているかを示してくれる気がする。この「Let It Be Jazz」というアルバムがとってもいいので、どこかの曲でプレイリスト入りさせたいな。
いいカバーがたくさんあったけど、ぼくが思うこの曲の魅力はコーラス。だからこそ、コーラスの美しいトラックを選びたい。
するとイタリアのシンガー「Eduardo Dodato」のバージョンを発見。まさにコーラスを活かした、クールなカバー。テンポも原曲に近くていいな。
おそらくEduardo Dodato的にも「この曲はコーラス」と思っているようで、このようなカバーになっている。事実「Drive My Car」だとこんな雰囲気。
曲の特性に合わせて、カバーの方向性を変えている。ブラスを入れるという新たな要素を加えているのが、Eduardo Dodatoらしいね。Eduardoのこと、知らんけど。Eduardo Dodatoの「Love Beatles」おすすめ。
You've Got To Hide Your Love Away / Oasis(1995)
ファンからの人気も高い名曲。カバーもたくさんありそうだ。まず気になったのは、ビーチボーイズのカバー。
「BEACH BOYS' PARTY!」というライブ版に収められている。スタジオでのライブパーティー(?)の収録だそうで、陽キャの集まりみたいな雰囲気だ。
でも、やっぱり一番かっこいいのは「Oasis」のやつじゃないかな。
気を衒わず、これにします。いいものはいい。
I Need You / Barbara Casini Quartet(2010)
ジョージの楽曲。ファンの間でもそこそこ人気だし、カバーはありそうだけど、同名曲がめちゃめちゃありそうな曲名。もう最初っから「beatles」と加えて検索しよ。
こちらでも気になったのは、チューリップのバージョン。
この曲のコピーは「感涙を誘う完璧歌唱」とのこと。すごいな。冒頭のインドが面白い。
あまりカバー曲は多く見つからなかったが、「Barbara Casini Quartet」のバージョンは個人的に気に入った。
検索してもあまり詳細が出てこないグループだが、この黄色い潜水艦のジャケットのアルバムの中では、他にもビートルズのカバーを収録している。(ちなみに「Yellow Submarine」は収録されていない)
にしても、「Wait」はちょっと変わりすぎだろ。もう原曲わかんないわ。
Another Girl / Liverpool Beats(2015)
またしんどい曲名。これも同一曲がいくらでもありそうなんで、最初っから「beatles」入りで検索しよう。
何回も紹介してごめんなさいなんだけど、またチューリップ紹介していい?
なんなんだこれは。たった22秒のAnother Girl。一応、触れとく。あー、いいカバーないかな……。と思ったけど、なかなかカバーが見つからない。本当にカバーが多い曲と少ない曲の差がすごい。
そんな中気になったのが、「Sarah Mitchell」のバージョン。
彼女の名前で検索しても「ニューサウスウェールズ州上院議員」の方しか出てこないので、完全に無名なのだろう。カントリー風の伴奏に子供のソロと合唱という、変わったスタイル。
ただどうしても気になるのが、一番高いところでSarahのキーが急に低く変わるところ。テンションも下がるし。カラオケかよっ。
このトラックの質がイマイチということで、ここは素直にビートルズトリビュートバンドを紹介しよう。
「Liverpool Beats」のバージョン。ボーカルの声色がちょっとポールっぽい。コーラスもきれい。
他にもいろんな曲をカバーしているので、ぜひ聴いてみて。
You're Going To Lose That Girl / Cam Schnell (2021)
アルバム曲だが、かなりの人気曲。カバーも多そう。
まず気になったのが「Musica Ligeira」のバージョン。
ライブバージョンみたいだが、めっちゃかっこいい。いい曲だな、ほんとに……。
あと、この曲で多かったのがギターソロのカバー。「Søren Bødker Madsen」のバージョンがよかったなあ。
ほかにもいろいろあったので、もしよかったら聴いてみて。
で!で!ここで絶対推したいのがこれ!「Cam Schnell」のバージョン。
なにこれ!!めっちゃかっけえええええええ!!!
全身に鳥肌。これ、めっちゃよくない?あれ、ぼくだけ??不安になるのもそりゃそう。
だって、まだ60回ちょっとしか再生されてないんだから。なんで……。こんなにいいのに。
Cam Schnellも調べても、なかなか詳細が出てこない。アメリカ、オハイオ州のシンガーソングライターだそう。味のあるミュージックビデオが見つかった。
風貌がルーフトップのポールみたいなのが気になる。でも、このサウンドはビートルズファンなら実家のような安心感があるのでは。
楽曲も普通によいので、ついでにもう1曲紹介しておく。これらの楽曲は2万回以上の視聴回数があるんだよなぁ。好き。
Ticket To Ride / Sweet(2009)
超有名曲。これもいいカバーがたくさんありそう。ただ強いのは、やっぱり有名なこれでしょう。
いや、やっぱりこれは強いよ。ビートルズへの愛情も全部、トラックに込められている気がするんだよね。カーペンターズにもめちゃめちゃ合っているし、素直に、ビートルズカバーの最高峰だと思う。
でも。でも。これを選んだら、面白くないじゃない。もっと、面白いカバーがないか、探してみよう。
まずは「Tiago Iorc」のおしゃれなバージョン。
今風でかっこいい〜。
「これがいいんじゃね?」と思った僕は、ここでビートルズファンの僕はあるエピソードを思い出す。
「Ticket To Rideは、最も初期のヘヴィメタル・レコードだね」
そんなふうにジョンが語っているのが有名であることだ。音楽に疎いぼくは「これがヘビー?どうゆうこと?」と思っていた。このジョンの意図に沿った、ヘビーなカバーはないのだろうか。
そこで見つけたのが、「Sweet」のバージョン。
おお!!めっちゃヘビーだ。「My Baby Don't Care」のラスト、かっこいい!!これは貴重なヘビー寄りのカバーなのではないだろうか。
Sweetはイギリスのロックバンドで、1970年代に10曲を全英シングルチャートでトップ10入りさせた実力を持つ。ヒットソングは「The Ballroom Blitz」と「Fox On The Run」ということなんで、貼っておく。
たしかに、2曲ともかっこいい!!Fox On The Runは、かなりポップだなあ。
こういう知らなかったバンドに出会えるの、嬉しい。
Act Naturally / The Punkles(2011)
そうか、この曲もカバーだった。カントリーをロック調にカバーしているわけだから、ロックにやっているカバーを探そう。
まずは「Mad Rock」というバンド。
詳細は不明だが、かなりビートルズの原曲に近いカバー。ただ、もうちょっとヘビーなやつがあると面白い……。
そこで見つけたのが「The Punkles」のバージョン。
このバンドはかなりわかりやすくヘビーなカバーをするので面白い。The Punklesは、ドイツ・ハンブルグのビートルズトリビュートバンド。名前の通り、ビートルズとパンク・ロックサウンドを融合させたパンクロックバンドでビートルズをカバーする。
「We Can Work It Out」もこうなる。
ほかにも面白いカバーがたくさんなので、ぜひ聴いてみてほしい。
It's Only Love / Jennifer Robin(2011)
こちらはジョンの楽曲。ジョンが後年「ビートルズ時代の最も嫌いな曲」と語ったのは有名な話。そんな曲をカバーするアーティストはどれほどいるのか。この曲も曲名的に同一曲がたくさんありそうなので、「beatles」と入れて検索しよう。
この楽曲、おそらくジョンは歌詞が嫌いなのだろう。当時は忙しくて、歌詞を練られなかったのかもしれない。ただ、メロディは美しいため、歌詞を除いたインストゥルメンタルのカバーが数多く存在する。まずはこのような、ピアノソロ。
ジャズ風のものもいくつかあった。
このようなカバーを聞くと、いかにメロディが美しいかがよくわかる。でも、やっぱり原曲には歌が入っているわけなので、歌入りのベストトラックを決めたいところ。
そこで、いいなぁと思ったのが「Jennifer Robin」のバージョン。
メロディの良さをさらに引き立てるような、いいカバー。
Jennifer Robinは詳細不明のアーティストだが、調べると他にも創意工夫あふれるビートルズカバーが出てくる。Somethingを貼っておこう。
You Like Me Too Much / Chris Richards(2002)
ジョージの楽曲。これもあまりファンの話題にならない楽曲。この曲のカバーなんて、考えたこともないぞ……。
と思ったら、超面白いカバーがたくさんあった。まずは「Pete Santora」のバージョン。
正直、歌唱はイマイチだがこの浮遊感のあるアレンジは面白い。そして、さらに気になったのは「Antonello Salis & Gerard Pansanel」のバージョン。
最初、PCがバグったんかと思った。なにこれ。なんなん。途中からだんだん「You Like Me Too Much」になってくる。自由だな。なんのジャンルになるのこれ??
そしてこれもよかった。「Randy Bachman」のバージョン。
なんかちょっとラテン的な雰囲気もあるような気がする。音楽知識ないからごめん。気のせい?
でも、一番はストレートにかっこよくカバーしていた「Chris Richards」のバージョン。
爽やか!!シンプルにかっこいい。
Chris Richardsは、アメリカのウィスコンシン州のアーティスト。詳細は不明。
いくつかアルバムをリリースしており、YouTubeにはミュージックビデオが掲載されていた。いくつか聴いてみたが、このカバーとはちょっと雰囲気が違うような気はする。
Tell Me What You See / The Beatles Compete on Ukulele(2020)
この曲、ファンの間ではあまり話題にならない。カバー曲、あるのか。ビートルズトリビュートバンドに頼ることになりそう。
調べてみたところ、やはりカバー曲が少ない。同名曲も多いし。見つかっても、原曲と大差ないようなカバー……。個性のあるカバーはないのか。
ここでようやく、彼らを頼ることになる。「The Beatles Compete on Ukulele」のバージョンだ。
なかなかいい感じで、BGMにも使えるような感じ。
「The Beatles Compete on Ukulele」は、David Barrattというイギリスのミュージシャンのプロジェクトなのだそう。ビートルズの全曲をカバーし、そのどれもに「ウクレレ」を入れる。
ずーっと検索すると出てきていて、いつか頼ろうと思っていた。ついにその時がきたようだ。
I've Just Seen A Face / 小野リサ(2006)
超有名曲で、絶対にたくさんのカバーがある楽曲。選ぶのが大変そうだが、直感で感動したものを選びたい。
60年代、ブルーグラス(カントリーミュージックの1ジャンル)のミュージシャンに多くカバーされており、目立つのはそういったバージョン。まずは「The Dillards」。
基本はこんな感じのカバーになるのかな。さらに「Charles River Valley Boys」。
この曲がカントリーっぽいというのは最初から知っていたので、今回はカントリー調ではないカバーを選んでみたい。
まずは「Kenny Rankin」のジャズ風カバー。
楽曲の良さが引き立つ、良質なカバー。ジャズっぽくしてもかっこいいな。「Holly Cole」のバージョンもかっこいい。
原曲と全然雰囲気違うけど、かっこいいのよね。そして「原田知世」のバージョンもあった。
2015年にリリースされた「恋愛小説」という名のカバーアルバムの1曲目に抜擢されたカバーということで、ミュージックビデオまでつくられている。少しカントリー風味を残した、美しいカバーだと思う。何より、楽曲への愛情が伝わる歌唱ですばらしい。
さんざん紹介したんだけど、一番は「小野リサ」のバージョンかなあ〜〜!
選んだ理由としては、もっとも自然なカバーかなと。カントリー以外のジャンルでもっとも自然なカバーだと思った。プレイリストに入れとこう。
小野リサは、Yesterdayのカバーも良かったので、こちらも掲載しておく。
Yesterday / The Flying Elephants(1993)
超超超ど名曲。今回の企画、最初の山場。一体、どれをどう選べばいいのか。めちゃめちゃカバー曲あるはずだし、もしかすると世界の楽曲の中で最もカバーがあるんじゃないのか。調べてみると、実際に「世界で最もカバーされた曲」ということでギネスブックに登録されているらしい。原曲と離れた、新たな魅力を見つけたカバーを選びたい。
ちなみにそのカバー曲の中でもっともヒットしたのが「Matt Monro」のバージョンなのだそう。
王道。たしかに、こういうカバーが多くなりそう。めちゃめちゃいい曲だな、当たり前だけど。
I'm A Loserで紹介した、ミック・ジャガーの元カノ「Marianne Faithfull」のバージョンも有名なのだそう。
あとはエルヴィスもライブでカバーしていた。
でもなんか、こう「往年の名曲ゥゥゥ!」って感じの、威厳あるカバーじゃないのを選びたい。普通にサラッと聞けちゃうやつ。原曲もそうだし。
この曲はカバーが多すぎて、決めきれないので、もう一番ぼくが思い入れのあるトラックにさせてください。筑豊のビートルズ「The Flying Elephants」のバージョン。
このトラックは、一人の夢が叶った瞬間をおさめた、貴重なトラックであることを触れておきたい。
これはニューヨークの音楽の殿堂と呼ばれる「カーネギー・ホール」で行われたライブのバージョン。The Flying Elephantsの木村康司さんは「Yesterday」をカーネギー・ホールでやるのが夢だった。だからこそ、演奏後に「My dream is came true.」と話している。
The Flying Elephantsは非常に優れたバンドで、とくに優れているのが歌唱力。Nowhere manの演奏も貼っておくので、ぜひ聴いてみてほしい。
Dizzy Miss Lizzy / The Fab Four Cover Band(2015)
Help!のラストを飾るのは、Larry Williamsのカバーである「Dizzy Miss Lizzy」。けっこう原曲に忠実なカバーなので、なかなか選ぶのが難しそうだ。こういう時はビートルズトリビュートバンドに助けてもらおう。
紹介するのは「The Fab Four Cover Band」という、「いかにも」なバンド名のバンド。
ジャケットがダサすぎてびっくりしたが、カバーはいたってまともだ。正体不明のバンドで、このめちゃダサいアルバム一枚のみを出している。50曲をカバーしたアルバムだが、よくこの曲選んだな。
というわけで「Help!」のカバーバージョンも完成した。
「Help!」の収録曲は曲によって、カバー曲の数がまちまちでかなり難しかった。なんか山を越えた気がする。ゴールデンウィークは今日で終わる。明日からは平日だ。でも、まだぼくはカバー曲を聴き続ける。もう後には引き返せない。
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