「働くママ」に関して②

 うーん……。

 基本、note.muってブログ界の限界集落なので、はてな村などの盛況ぶりを見ながら、社会の隅っこで好き勝手なことを言うスタンスでやっていたのだが、なにやら前回のエントリが変に話題になってしまったようなので補足いたしまする。

「部下が全員働くママになったら、私の残業時間が減った」について


 あのね。違うんです。

 「業務効率化など無駄無駄無駄ァーーッ!」じゃなくて、それ「だけ」で過重労働問題が解決すると考えるのは幻想ですよ、という話なんすよ。元記事の『部下が全員働くママ~』は、女性の産後復職について、働くママは時間制限があるからこそ優秀ですよ、と解説する内容なので、そことは少し論点が違う。働くママの優秀さについては「個人差あるだろ」「優秀な労働者は育児期間も優秀だ」としか思えないんだけど、それはともかく、効率化だけで楽になるわけないことは明らかですやん?

 居酒屋や牛丼屋では「1人で出来るな?じゃあワンオペだ」と。

 SEは「16時間かかった物を4時間で出来る?じゃあ納期を4分の1に」と。

 経理は「働くママ2人で残業ゼロ?じゃあ1人減らせ」と。

 アニメーターだってそうでしょ。「量産しろ、しかしカネは出さん」。

 効率化「だけ」では、そうなって行くわけですよ。労働三法なんて役に立たねえよ、枠内で労働強化する分には何の縛りも無いんだから。もちろん効率化しないと他社との競争に負けるから、ミクロでの業務効率化に取り組まざるを得ないんだけど、マクロで見ると経営効率化=人件費削減や労働強化になっちゃうんです。だって、優秀な経理ママを残業ゼロで帰すより、余裕があるなら配置転換して他の部署で活躍してもらえた方が嬉しいでしょ。管理セクション向きの人なら、総務とか人事とかCSR室とか。


 これが目に見えてるから、世の管理職は「いや、ウチはキツいんです。キツい中でこれだけの成果を上げてるんで、あと2人ください」とか「これを部分的に外注する予算があれば更に効果が上がるんですが」とゴネて、自分の部下に余裕を与えようとし、それをやらない上司は「ケッ……働け働け効率化しろと要求するばかりで、部下をしごいて上に媚び売ってやがる」とか言われるんです。そういう管理職は、上の覚えはメデタイけれど部下にとってみれば鬱陶しい限り。


(島耕作、課長ぐらいの時は「恋愛やプライベートも充実させつつ、職場の人間関係にも気を配り、仕事で成果を出す会社員」として格好良かったけど、偉くなってからは「恋愛やプライベートも充実させつつ、職場の人間関係に気を配り、仕事で成果を出す経営陣」という、愛人とか派閥抗争とかが大好きな経営者っぽくて最低感あふれてきましたね。なお、かつて島耕作グッズとして発売されていたビジネス用ソックスは「shima」ってプリントが入っていて、世界中の島さん以外には使用できない最悪のデザインでした)


 だからまぁ、「効率化の末の、もう一手」が必要よな……って話。

 で、これを考えると制度設計は絶望的な難しさであることが分かる。

 

 個別の企業が「ウチは8時間しか労働させない!業務効率化で、それは可能です!」という方針を打ち立てても、同業他社が「ウチは同じ給料、同じ効率で10時間やらせる」という方針だと、優良な会社は負けちゃうわけです。

これは以前、こっちで書いたけど。


  ブラック労働が何故アカンか


 じゃあ日本全体でそういうのやめよう、と決めたとする。しかし今度は、国際的な競争があったりする。労働者も国境を超えてくる。「この業務、日本人を雇うとカネかかるから、インドに外注して安く上げようぜ」みたいな話ね。言語的な孤立性ゆえに今の時点で日本はそうなっていないけれど、自動翻訳の進歩を見れば、そのうち危ないんじゃねえのという気はする。海を隔てた光回線の向こうに、日給500円の労働者は山ほどいる。これはユニクロの柳井会長が警鐘を鳴らしてたヤツだ。


 「努力しない若者は年収200万を受け入れろ」←うるせぇ


 「カイゼン」を繰り返したトヨタの工場、工員の国籍はまちまち、人件費の安い(経営効率・利益率の良い)海外に生産をシフトし、会社はグングン利益を上げているが、工員の仕事や生活は楽になったのだろうか?効率化の末に労働者は苦しむのではないか?

(誤解なきよう言っておくと、トヨタは他社と比べて待遇いいです。自動車工場は各種工場の中でもかなり待遇いいほうだけど、トヨタはその中でも良い。それは業務効率化とは別に「最低賃金の法がどうあれ、他社がどうあれ、ウチは給料増やす」という決定によるもので、単なる現場の効率化だけでカイゼンされた話ではないのよな)

 トヨタの待遇がいいのは何故かと言えば「利益が出ているから、それを実施する余裕がある」ということによるものなんだけど、じゃあ他社がトヨタ並みの利益を上げるにはどうすれば良いだろうか、どうすればトヨタに勝てるだろうか……と考えると、また無限の競争と効率化が迫られることになるわけで、まあ地獄ですよねと。

 さらに言えば利益が出たとして、それは必ずしも労働者に分配できるものではない。資本主義における企業は「株主の持ち物」であって、株主が「ふざけんな、労働者に配るのではなく株主に配当を増やせ」「機械化を進め人員を削減しろ」とか要求して来たら、ねぇ?

 つまり、資本主義である以上、労働者の命運は資本家の胸先三寸なのだ。これを根本的に解決するためには、日本一国が社会主義化しても充分な物ではなく、世界中の資本主義を打倒しなければならない(血走った目で)。


 

 ……ってなコトをマジで言ってるわけではなく、そんなのはありえないんだから、どっかで誰かが「いや、業務効率化はするけど、給料増やすか、これ以上の労働強化やめて仕事を楽にしよう」って言わなきゃいかんのよ。

 現場が業務を効率化する。すばらしいことだ。

 経営者は労働を強化させる。しかたないことだ。

 会社の利益が上がる。願ったりかなったりだ。

 株主が利益の配当を求める。資本主義の宿命だ。

 日本政府が労働の規制を決める、海外との競争で不利に……などなど。


 こんなの、制度設計でウンヌンしてたら世界同時武力革命しかないし、人類はウン十年前にそれに失敗してんだから、個別企業あるいは個別部署(管理職)レベルで「安く沢山の仕事します合戦」にブレーキかける必要がある。これはもう、経営者や管理職の根性しかねえんだよ。

 「利益が出るよう業務は効率化します。利益が出たら給料を増やし、人員を増やして休みを増やしましょう」を言って無間地獄を断ち切るのは誰だ、と。最低賃金がこうなっているからとか、他社がこうだからとかではなく、隙あらば待遇改善に繋げる不断の努力こそ肝要。社会なんて変わらん、自分の周りだけでも変えるしかない。その結果として利益が減ったら、また努力する。利益のために働くのではなく、待遇改善の為に利益を出すのだ。



 ま、最終的には人間が必要なのかという問題なんだけど……。

 「かつては30人の経理部員がソロバンはじいてましたが、今はエクセルや勘定奉行使って3人でやってます」みたいな話ね。27人いらねーじゃん。クビにするか他の仕事をやらせたほうがいい……つまり業務効率化の果てに待っている物は、雇用の削減もしくは別の労働(つまり、遊ばせておかない)なので、そろそろ人類は古代ギリシャ人みたいに「労働など機械にやらせておけ。我々は学問や芸術に勤しむのだ」という生き方を模索すべきなのかも知れないね?でも学問や芸術すら機械に負けるかも知れないね?じゃあ機械の動力源になるため培養されていくのが人間の未来なのかも知れないね?




休日の狭間のクソ仕事を前に、思考が荒れている。

すべては労働が悪い。





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コメント3件

株式会社の場合、経営改善のため、人員整理で労働者の首切りが過ぎると株価が下がると聞いたことがありますが、そんなものは「依願退職の促し」「持ち株子会社での再雇用」っていうやり方でいくらでも回避できる上、待遇も雇用者の思いのままというヘル…

機械の身体を手に入れるしかないよ、メーテル…
です
機械になりてぇ
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