次元の交錯と新たなスタート -七海うらら1stワンマンライブ「Parallel Show」
七海うらら の 1stワンマンライブ「Parallel Show」が、2023年8月4日 渋谷 Spotify O-WEST にて開催された。本稿ではその様子をお届けしようと思う。
七海うららは2020年からの歌い手活動に加え、昨年バーチャル領域へ活動を広げ、バーチャルとリアル両方の音楽シーンで活躍しており、今年5月にバーチャルとリアルを結ぶパラレルシンガーとしてavexからメジャーデビューを果たした。本公演は自身初のワンマンライブであるとともに、パラレルシンガーとしてのスタートラインにあたるライブとなる。
オールスタンディングでのチケットは先行販売で早々に完売となり、会場のフロアはうらんちゅ(ファン名称) で満員となった。キャパ通りに近い満員のオールスタンディングは、筆者にとってもコロナ禍前まで遡るほど実に久しぶりの体験であった。
ショーの開幕
最初の曲はLuv Rendezvousであったが、その始まり方がパラレルの名に相応しいもので良かった。
うららバンド(メンバー後述) がスタンバイし、スクリーンにバーチャルの姿で現れ、バーチャルの姿からスタートかと思わせ、リアルの姿で飛び出してくるフェイント。衣装の特徴的な腰の大きなリボン (通称:クソデカリボン) や、ブーツの天使の羽 (通称:手羽先) もそのままに、まさに画面から飛び出してきたという印象を植え付けていた。
その一方でヘアピンは、左右対称位置というのが、サブカルチャーでのパラレルのよくある形を残しているところも、オタク心くすぐる感じでよかった。
続いて赤い風船、あいまいみーらいふ、ルナとしての劇の映像の後にDesire Designerと続き、メジャーデビューシングルのダイヤノカガヤキが歌われた。
これらは、m3で自主制作したコンセプトアルバム Rainy Pocket*、歌い手発掘プロジェクト Marble Jewel Box 提供曲、劇場型アルバム 吟遊詩人の置き手紙、とメジャーデビューまでに作り出してきた音楽シーンを圧縮したような並びだった。
生バンドの素晴らしい演奏に載せたダイヤノカガヤキは、これまで磨き上げてきた音楽を体現しているようで素晴らしかった。
ダイヤノカガヤキが終わり一度ステージは捌け、バーチャルの姿へと切り替わった。七海うららを知るきっかけになった人も多いと思われるカバー曲4曲がここから続いた。
メタな話にもなってしまうが、息を整えるのに長めのMCが挟まったりすることが多いが、温まった会場の熱をそのままに突入していくところ、バーチャルをうまく使いこなしてると感じた。こうしたところは、歌唱の際に大事にしているポイントとして、1曲の中で飽きさせないよう工夫していると語っていたところにも通じていると思った。
カバー曲の後は、バーチャルの自分をデュエット相手として、ガールズストテラジーが続いた。一般的なワンマンだと、そうお目にかかれないようなデュエットソングの選曲が、パラレルシンガーならではであった。
続いてはメジャー2ndシングルのTrigger。先ほどまでと一転、攻撃的な曲で会場を紅く染め上げていった。会場の熱気とともに、これを生で歌えるんですか?というレベルに楽曲の難度も最高潮へと達していき、アンコール前のラストには先日リリースされたメジャー3rdシングルのSeventh Heavenが歌われた。
Seventh Heavenのポエトリーパートでは、うらんちゅに背中を見せるように後ろを向いて歌っていたのが印象的で、この時ステージサイド側から見えた言葉に感情をぶつけ歌う表情がよかった。リアルの姿だからこそ伝わるものがあった。
アンコール
熱狂の中曲が終わり、バンドメンバー捌けきる前には、アンコールを求める声の合唱が始まった。
しばらくするとライブTシャツ(+旧衣装風のスカート)に着替えた姿でステージに再び表れ、ナナイロが歌われる。MCも併せて人生は今・これからというメッセージに心動かされるアンコールだった。
さらにサプライズ発表も行われた。
今冬のメジャー1st EPのリリースが発表され、さらに2発目として、来春の東阪2都市のライブ開催が告知され、会場は大きく沸いた。
ライブの締めくくりには、初のオリジナル曲にあたるあたしワールドを歌い、その歌が聴いた人一人一人を前向きにさせるのをさらに後押しするよう客席一人一人と手を振りあうようにしてショーは幕を閉じた。
おわりに
1stワンマンライブとしてこれ以上のものはないと思ったし、これまで分かれていたバーチャルとリアルの活動を結びつけうららーんだけのライブを作っていたのが素敵でした。
老若男女、そしてうららーんへの解像度の違い、そういうのすべて抜きにして、足を運んだ人みんなが楽しめるライブになっていたのが凄かったです。いろいろなきっかけで知った人を大切にしているからこそだったと思います。
色んなタイミングで、会場の隅から隅まで手を振ってレスしてる姿は、いつも一人一人を大切にしているうららーんそのものでした。たぶん「今、俺(私)に手を振ってくれた!!」って思った人は相当に多かったと思います。
うららーんに巡り合えて、この場所・この瞬間だけの1stワンマンに立ち会え、おまけにエネルギーも貰えてとても幸せな時間になりました。
これから音楽で生み出していく七海うららのプラスのパワーが、より広がっていくことを願ってこの辺りで筆置きたいと思います。
セトリ
うららバンド (敬称略)
Gt:KIKORI
Ba:兼子拓真
Dr:佐治宣英
Ky:柴﨑洋輔(PENGUIN RESEARCH)
2023-08-06 くろ
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