パニック障害とデザイナー

最近、多様な働き方や生活についての記事を多く見かけるようになってきて、インターネットでメンタルヘルスについての話題を見かける機会も多く、漫画や文章、ドラマなどを媒体に、誰でも身近に病気のことを知れるようになったのだなあ、と思う。

ただ、自分はパニック障害を患ってもうすぐ2年になるのだけど、パニック障害のデザイナーの方はあまり見かけないような気がしている。メンタルヘルスの病気で見かける頻度で言えば、うつ病の方がかなり多いように感じていて、その次にパニック障害の方も多く見かけるような気がするのだけれど、同業で同病の方をお見かけしたことはあまりない。

パニック障害とは、簡単に言えば脳が恐怖のスイッチの切り替えを上手くできずに誤作動を起こしていて、普通の人なら何でもない状況(スーパー、高速道路、美容院、閉所など)で、突然生きるか死ぬかの選択を迫られるような、非常に恐怖を感じる発作(パニック発作)を起こす病気である。パニック発作の症状には動悸、めまい、過呼吸、死んでしまうのではないかという恐怖感などがあり、また発作を起こしていない状態でも様々な不定愁訴(めまい、吐き気、不安感など)に見舞われる。要は不安障害の一つなのだけれど、一度患うとなかなかに辛い病気で、四六時中得体の知れない不安感と戦っている状態というか、基本的には常に不安と付き合う病気なのだと思っている。

パニック障害は主に外出先(スーパー、美容院、デパートなど)や特定の状況(緊張していたり、人によってストレスを多く感じていたり、不安を感じやすい状況)で発作を起こす病気なので、家にいると落ち着いていることがほとんどだけど、自分がこの病気になった当初はろくにMacと向き合えないほどしんどかった。常に体が揺れているような感覚がしたり(今でもすることがあるのだけれど)、PCの画面を見ると気持ち悪くなってきたり、長時間集中しようとすると発作を起こしそうになったりして、コントロールが大変だった。今でこそ、そこそこ長時間作業をしても大丈夫になってきたのだけれど、自分の唯一の武器であるデザインでさえも出来なくなってしまうのではないか、という不安感があった。

パニック障害は、芸能人や著名人に多い病気で(堂本剛さんや、円広志さんなど)、名前はよく聞くかもしれないけど、自分がその身になってみないとなかなか辛さが分かりにくく、また見た目によっては普通の人に見えたりするので、「何が辛いの?」とか「何がそんなに不安なの?」と言われたりもする。個人的には、「パニック障害」という病名が分かりにくいのかも、と思ったりもするのだけど、「パニック(発作)が(人生の)障害」になっていると捉えると分かりやすいのかもしれない。パニック発作の辛さ自体がなかなか理解してもらえないことも多く、そばで見ていてもあまり気づかれなかったりもする。

自分の場合は、今は屋外での活動などがなかなか出来ないのだけれど、家でデザインは出来るし、遠方への打ち合わせなどもなかなか難しい状態だけど、Skypeなどの音声通話でなら大丈夫だったりもするので、自分の症状を見極めながらデザイナーとして活動していけたらいいなあ、と思っている。

去年、自分の何が不得意で、何が得意なのかを可視化したグラフィックを作って、Twitterの固定ツイートに設定したのだけれど、実感として、かなり自分の特性を理解してもらえているような気がしている。

最初はこういった状態を公に公開することをためらっていたのだけれど、強みと弱みをさらけ出すことで、客観的に見ても自分がどういった状態なのかを把握しやすくなっているのではないか、と思う。自分の状態を分かってもらえていれば、お仕事の話などもスムーズに進むと思うので、自分の状態を自分でちゃんと把握できるように努めていきたい。

もし、パニック障害でデザイナーの方がいれば、「ここにいるよ!」と教えていただければ嬉しいです。メンタルヘルスの病気と戦いながら、フリーランスで活動している方などもたくさんいらっしゃると思うので、リモートワークや多様な働き方がもっと広まればいいなあと思っています。会社で働くことだけが仕事ではないと思うし、これからはもっと自由な生き方が必要な時代になってくると思っています。

こういった働き方をしているデザイナーもいるんだな、といった感じで、もしよろしければ覚えていただけると幸いです。お仕事のご依頼などもお待ちしております!よろしくお願いします。



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