のいん

文章をブギウギ書き始めてから15年になります。知らなかったことを新たに知るのがすきです。テーブルゲームや飛び道具スポーツなどもすきです。よろしくね。

『天使のはにかみ』10話/全10話・完結

『天使のはにかみ』10話/全10話・完結

 第三商店街の一角にある金物屋に珍しく行列ができた。

 内装の広さを体が小さいドベルに合わせているため、多くの種は外でカタログを見て声をかける形の、ほとんど倉庫同然の工房だ。それでも体裁としては多数の陳列棚を並べた店舗なので、入口前では招き猫の鏡のような表面が陽を受けて輝いている。

 行列も掃けた、招き猫が陰に隠れるまで日が傾いたころに男がやってきた

もっとみる

『共同作業』9/10

前回 https://note.mu/key37me/n/n324544d07061

「よう、モニちゃん。聞いたかい?」
「何をだ」
「あんたが贔屓にしてたあの子だよ」
「俺が贔屓にね。どの子だかな」
「とぼけやがって。昨日の夕方ごろ帰ってきたのを見たんだが、続きはどうだい」
「そうか」
「お、またトイレか?」
「店じまいだよ」

 モニが外に出てすぐに見えたものがあった。

 遥か遠く、第一層

もっとみる

『殺意』 8話/全10話

前回:『真昼の決闘』https://note.mu/key37me/n/nb601c1c1d8e3

「ずっと見ていたよ。上での騒動も、私を殺しにくる道も」

「あなたの言う"殺し合い"は口でやるつもり?」
「まさか。サービスだよ」

 レグネーベルは実弾の銃を構え、他の荷物は小袋ひとつを残してその場に放った。デリィからの口伝にあった円柱形の体と六本の脚を目の当たりして、観察から計画を選んだ。

もっとみる

『人間逸脱!ホタルと化す一族』

中学生だった僕には、祖母から告げられた言葉が重くのしかかった。やがて蛍になる一族、その運命を果たす時がきた。祖父は一族の中でも遅咲きで、僕が中学生になるまで人間でいた。その祖父が蛍になり、後を追うように父も蛍になった。僕ももうすぐ二人目の子が産まれるのでそろそろだろう。

 頭が光るとかそんな話ではなかった。父の時は間近に見ていたので、同じ光景を子供たちに見せたくはなかった。口頭で伝えても信用され

もっとみる

『真昼の決闘』

前回 https://note.mu/key37me/n/n5d0351cac1b0
前回と今回の間の追加 https://note.mu/key37me/n/na5fa98d446c1

 環礁の内側、非自然的に蓄えられた一面の砂に踏み込んだ途端に、中心部が盛り上がり金属質の巨人が圧倒した。持ち上げられた砂がこぼれ落ち、できた空洞へと周囲の砂が流れ出した。

 同時に体を伏せた。レグネーベルは着

もっとみる

6.5話 追加エピソード

前回:『海亀が旅立つ港』

1話:『グッバイ・マイ・エンジェル』https://note.mu/key37me/n/n673956ed636a

作者からのお知らせ

 私が2週間に一度の水曜日に更新する理由は、別の予定と噛み合わせるためです。
ところがいつのまにやら、その予定との噛み合いがずれてしまいました。
戻そう戻そうとは思ったものの、時間の都合から1週間では失敗してしまい、
しかし3週間も

もっとみる