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4月ボカロ10選(+雑記:超歌舞伎!MIKU BREAK!)

こんにちは。ボカロが好きです。ボカロはいいぞ。

 GWも終わり次の祝日は7月らしいです。辛。頑張っていきましょう。

というわけで4月のボカロ10選です。例によって全曲チェッカーにはなれなかった……ボカコレ曲も半分くらいしか聞けてません。ゆっくり聞いていきます。おすすめは教えてください。語彙力もよわよわです。曲ごとに文量に差があるのは優劣ではなく単に私の語彙力不足ゆえです……。

ヘッダーは4月に手に入れたCDです。

2022年4月ボカロ10選

Burn It Down / Anh Duy

 4月1日テト誕ソングの英語曲。クオリティがすっごい! THE洋楽というノリノリの曲調、1:30からのラップ、2:38からのしっとりとしたラスサビまでのタメ、伸びやかなコーラス、美しい調声どれも最高です。


Loading Memories / せきこみごはん

 今年のマジカルミライ楽曲グランプリ曲。どこまでも美しく力強いサウンド、励みになる歌詞どれも最高です。せきこみごはんさんは「ラストスコア」でプロセカNEXT採用、「ティアラ」がボカコレ2021秋ルーキー11位になるなど、着実に人気になってきていてとても嬉しく思います。そんなせきこみごはんさんのあふれるミクへの愛がとても美しい。
 サウンド面では流れるようなストリングスの瑞々しい美しさ、1番サビ前のポーズからドラムとともに駆け抜けるサビの勢いに溢れたサウンド等壮大さと繊細さが両立されたとても美しい旋律です。是非ミクシンフォニーでも披露してほしい……!
 歌詞では「彩る生命いのちが 創り上げた今が / 不可能を可能に 可能を実現に」という歌詞がとても好きです。15年間歩んできたミクさんの喜び、せきこみごはんさん自身の喜びが伝わってきます。そしてラスサビでの「叫んだ 世界(あなた)が大好きだ」という歌詞もとても良いです。世界すべてを大好きというミクさんのあまりにも大きな、すべてを包み込む器を一言で言祝ぐ圧倒的なフレーズです。


さよなら愛しき面影よ / Noz.

 Noz.さんの新曲! 個人的にNoz.さんの曲の初聴時は感想は「この曲を生み出してくれてありがとう……」になってしまうのですがどうでしょう? 
 2番の「まだこの街は夢の続きを見てる / 何かの拍子に溜め込んだ記憶が溢れていく」からサビへのメロディがとても好きです。Noz.さんの曲はどれもメロディラインがとても力強く美しくとても好きです。
 ラスサビ後にAメロに戻りシンプルに締める構成もまた、別れ際の切なさを感じられしんみりします。


88☆彡 / まらしぃ×kemu

 「十年越しのラストピース」ぶりのまらしぃさんとkemuさんの共作にして、プロセカへの書き下ろし曲。
 個人的にまらしぃさんには感謝していることがあり、私は4歳からピアノを習っていたのですが、惰性でやっていた頃もありやめようかなと思ってい時期もあったのですが、中学の時にまらしぃさんの動画を見てもっと自分の好きな曲を弾こうと思ってからはピアノが楽しくなり、大学でもピアノが弾けるサークルに入って卒業後も今でも家で時々ピアノを弾いています。
 そんなわけで、(無意識下で)まらしぃさんには感謝していたのですが、そんなまらしぃさんの音楽へのキラキラとした思いがこの曲から伝わってきて、その感謝の思いがこの曲を聞いて意識的に持ち上がってきました。
 まらしぃさんらしいキラキラとした美しいピアノやびびさんの可愛い調声、サビのどんどんと上昇していくようなメロディ、どれもが明るい気持ちにしてくれます。


健康をお大事に / tayu

 ここからボカコレゾーンなのですが、今のところ聞いた中で一番の衝撃枠です。
 圧倒的に深いサウンド、あえてのちょいダサ感もあるPVが癖になります。1:39頃からのパン振りからの2:22頃からのスピード感、聞けば絶対にハマります。

▷コンティニュー / キツネリ

 アニメのエンディングのような雰囲気の爽やかさと寂寞感を同時に感じる可不曲。PVもとても良いです。ポップなバンドサウンドが憂鬱なこともある日常を肯定してくれます。

シニタイとかはきっと 標準装備で
意味も理由もどっか 他人事で
冷めてる夢を温めて
日々ムリムリを コンティニュー

▷コンティニュー / キツネリ feat. 可不

この歌詞がとても好きです。落ち込むこと自体を肯定し、それでも続いていく日々を応援してくれるような曲です。


春幻燈 / ind1go

 とても美しい旋律。春の木漏れ日のような暖かさを以て包み込んでくれるような優しい曲です。
 春の新しいことをはじめる希望や期待、また不安や別れすらも内包した内容に感動します。3:00で終わったように途切れてから、もう1フレーズ歌う構成も美しいです。

Mu / 幾砂襷

 跳ねるリズムと複雑なフレーズが気持ちよい感性の反乱β。ボカムンベースの複雑な音作りとそれをそうと思わせないような爽やかなメロディ、ミクの声がとても良いです。
 抽象的で詩的な歌詞もとても惹き込まれます。

端くれの宇宙が半額です
転げては儚い満月みたいね
調べたら明日がそうみたい
でも昨日もおとといも、きっと、
何かおかしな、へんてこな、いのちを、
すすめ、まわる、あながちのみらいを
うすめてゆく、ほそめためでまえをむく
かふんのきせつ

Mu / 幾砂襷

個人的には谷山浩子さんのような雰囲気を感じます。「おくりものはめろん、たいようのあじがするのだ」も好きです。ふわふわとした浮遊感のある精神性がとても気持ち良いです。

まにまに / r-906

 ボカコレ圧倒的王者!!2022春1位をこの構成で勝ち取っていく圧倒的クオリティ、強すぎです。
 EDMの長い間奏と弓道を重ね合わせる発想に脱帽です。サビで一気に花開くカタルシスはその精神性がリスナーに皆中し、余韻が残心としていつまでも残り続けます。ボカムンに深く思い入れのあるr-906さんが自分の信念を貫き通して1位を勝ち取ったその信念も含めてとても美しさを感じます。
 歌詞もとても良いです。和歌がいくつかモチーフになるとともに「君」「貴女」への想いを歌います。個人的にはこれは初音ミクなのではないかと思っています。

雷鳴
きっと僕が居なくたって
貴女は只歌うけど
身も焦がれていたい!
まだすがっていたい!
そのまま何も言わないで

まにまに / r-906 feat. 初音ミク

 自分がいなくても初音ミクは存在し歌い続けるけれども、「まだすがっていたい!」と思う様子は「雷鳴」と響き合って「雷神の少し響みてさし曇り雨もふらぬか君を留めむ(柿本人麻呂)」を想起させます。音楽への愛、初音ミクへの想いを込めて放った矢はいつまでも飛び続けてほしく願います。

死んでしまったんだ / 椎乃味醂

 椎乃味醂さんの新曲にしてボカコレ第3位の圧倒的に思索に富んだ曲です。椎乃味醂さんはボカロPとしてというより思想家として発表を毎回楽しみにしている感もあります。
 おそらく椎乃味醂さんはかなり専門的に哲学、言語学、心理学等を大学などで勉強しているのではないでしょうか? とりわけ過去の曲からも分析哲学への造詣がとても深いように思います。
 過去にツイートで精神的な負担から思惟へベクトルが推移したと述べていました。個人的にも高校の時に精神的に追い詰められてその時から大学で哲学科に進んだので親近感を感じてしまいます。
 この曲では陰謀論の蔓延などに見るファクトの死としてのナラティブ論、トマス・ネーゲルなどの分析哲学に基づく自律的思考の死としての自我の死を題材にしているように思います。ネーゲルは私が大学でお世話になった教授が翻訳しているのでその意味でも嬉しく思います。
 時々、よくわからないような小難しいこと、という意味で哲学ということがありますが、そういう大衆的な意味でなく、真の意味で哲学的な楽曲だとおもいます。


雑記:超歌舞伎とMIKU BREAKにみるミライ

 さて、4月の大きなイベントにボカコレともう一つニコニコ超会議が在りました。というかボカコレもニコニコ超会議の一企画ですが……。
 私はリアルイベントに両日参加し、MIKU BREAKと超歌舞伎を見てきたのでその感想と、例によって取り留めのない話をしようと思います。

 超歌舞伎はそこまで詳しいわけではないのですが、6年目にして、初音ミクが初音ミクにしか出来ない役どころでの物語だったのがとても印象的でした。
 超歌舞伎がこれまでずっと初音ミクを一人の演者として存在するものとして扱ってきた中で、あえて初音ミクが存在しない者役を演じるという背景も含めた構造がとても意味を持って迫ってきました。
 物語の展開としても、最後の蘇我入鹿との闘いのシーンで、「初音ミクが現実に来れないならNTTの技術力で人間が仮想世界に行けば良いじゃないか」という奥の手的な演出は迫力がすごかったです。この点ではMIKU WORLDなどでも同じような現実世界と仮想世界の相互の行き来が簡単にできるようになってきているんだな、という感動もあります。サンリオのフェスでピノキオピーさんが初音ミクと一緒にパフォーマンスをしていたのも思い出されます。

 MIKU BREAKは私がとても推しているプロジェクトなのですが、また別の方向性で初音ミクの現実性を高めるプロジェクトだと思います。超歌舞伎やMIKU WORLDがバーチャルとリアルを行き来できるように垣根を超えやすくするものなら、こちらはそもそもその垣根を認識のレベルで壊してしまおうという取り組みだと思います。
 MIKU BREAKで特に好きなのは、超会議でのパフォーマンスではありませんでしたが(残念!)、CONDENCEがiPadで初音ミクを写すとそれがスクリーンに投影される演出です。これが一番わかり易いMIKU BREAKの仮想と現実の境界の認識論的破壊の例だと思います。

 めちゃくちゃわかりやすい図解を引用させて頂きます。
 認識論的垣根の破壊――言い換えれば「現実に来れないなら現実に来たことにしてしまえばいい」というこちらもまた剛力な方法で初音ミクの現実性を高めています。

 私は中学の時に『ソードアート・オンライン』や『アクセル・ワールド』を読んでハマった典型的な世代なので、VRを知ったとき、キズナアイを知ったときには一歩一歩この世界がSAOの世界のように仮想と現実の境界がなくなってきているだな、と感動したのですが、そのような感動をMIKU BREAK、超歌舞伎と今回のニコニコ超会議では強く感じました。

 ミクは歌手として「今やもう誰の目にも同じ一人の人間」かもしれませんが、もはや普通に人として「一人の人間」になる日も近いのかもしれません。そうなった時、初音ミクの存在意義を、価値を、新たに問い直す必要があるのかもしれません。
 兎にも角にも「セカイはまだ始まってすらいない」のかもしれません。今後も新技術やクリエイティビティと初音ミクがどう融合し新たな体験を生み出すか楽しみです。


 というわけでGWも終わりましたが頑張っていきましょう!6月にはMIKU EXPO Rewindもありますね。Digital Starsが豪華すぎる……!楽しみです。

それでは!


備忘録:4月に読んだ本

・ウィトゲンシュタイン, 野矢茂樹 訳『論理哲学論考』
(ムズすぎ!なんも理解できてないので読み直してます)

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