見出し画像

3月ボカロ10選(+雑記:ボカロ以外の好きな音楽)

こんにちは。ボカロが好きです。ボカロはいいぞ。

4月~~~~春!! 新生活が始まる人も多いと思いますが頑張ってまいりましょう!私は社会人2年目となり新人カードが切れなくなりました……

というわけで3月のボカロ10選です。例によって全曲には到底及びません。年度末年度初めが一番忙しいタイプの仕事をしているのでいつも以上にやーーばいです。おすすめは教えてください。語彙力もよわよわです。力が欲しい。

ヘッダーは3月に入手したボカロCDです

2022/03ボカロ10選

劇中劇 / inuha

この曲はおにくるちゃん(バーチャルボカロリスナー御丹宮くるみ)のnoteでの紹介で知りました。圧倒的感謝……

おにくるちゃんも語っている通り圧倒的な構成となっており、感想がネタバレになってしまう……。

ネタバレギリギリのことを言うと「祈りは空っぽ/ぬゆり」的といえば察する方もいるのかも? そういうメタ的な視点にシームレスに曲が展開していく構成が素晴らしいうえ、歌詞がそれにリンクして練られておりとてもすごいです。それを裏付けるようなサウンドやミックスもとても良い。是非通して聴いてみてください。

iSoL / ゲスト

便宜上「/ ゲスト」としていますがニコニコのデフォルトアカウント名であって、匿名系の投稿者です。最近そういう活動も増えてきている気がします。そもそもボカロという時点で音楽を託しているわけですが、匿名性というのはいたちごっこなのかもしれません。

作者の匿名性と合わせてミステリアスな世界観が一貫して作られており、そういった世界観構築も含めて今後が気になる投稿者です。

この曲も、v flowerらしい高速で複雑なメロディラインとcoefontのAllialによるポエトリーが素晴らしいです。抽象的な歌詞で雰囲気で聞かせに来るような惹き込まれ方ですね。そしてそれがしっかりとしているクオリティが最高です。

ド屑 / なきそ

「げのげ」「毒して頂戴」「触れたら最後」と着実に知名度とポジションを確立してきているなきそさん。勝手な印象ですが、この曲でニコ動、Youtubeどちらでもその座を確固としたものにした気がします。集大成のような完成度。

歌愛ユキのか細いようなダウナーな冒頭から「なぁんだ そんなもんか ド屑」で一気にサウンド、展開ともに落とす雰囲気と印象的なリフレインによる中毒性。どれも最高の一曲です。曲の内容はいわゆる「ヤンデレ」的な歌詞ですが、その怖さ、底知れなさが「黙って私に従って/従え 従え 従って/お願い お願い お願い お願い」と言葉遣いのアンバランスさによって如実に表現されています。

arigato。 / aiu

群雄割拠のミクの日曲! ボカロ処女曲!! そしてこの内容!!! うわーーー!!!!

動画もaiuさんのようで、ある意味伝統的な「PCとマスターとミク」という関係性でありながら、どこか破綻しているような不安感が同居しており、その宙吊り感をこれまた不安定な調声、メロディ、サウンドが補強しており惹き込まれます。

予感 / 井ナカノセ

繰り返されるサウンド、あえて低画質低音質な空気感がヒーリング・ミュージックのような落ち着きがあります。エリック・サティの「ジムノペディ 第1番」やドビュッシー「月の光」などのフランス印象派に近い雰囲気でしょうか。

知声のかすれるようなか細い声もマッチしていてとても良いです。意識が内へ内へと向かっていくような内省的な音楽です。
最後のピアノによる和音3つの終止もとても好きです。

ロスト・デリュージョン / フロクロ(Frog96)

フロクロさんはもともとデザイン作家としてNHK教育のような独創的な作品が好きでよく見ていたのですが、UTAUデビューしてからますます好きになりました。

これとか大好きです。ルイス・キャロルやZ.ダニエレブスキー『紙葉の家』(←復刊してくれ!)のような視覚と意味の融合された図形詩的な作品です。
さてこの曲でもフロクロさんの映像的な独創性がとても不気味な雰囲気を創り上げていてとても好きです。作曲や映像のメイキングをフロクロさんがとても詳しく解説してらっしゃるのでぜひ御覧ください。私にはさっぱりですが……

本人もインスパイアもとに上げているように「独りんぼエンヴィー」を想起させる孤独感、喪失感にこの曲独自の不気味さがよくマッチしていてとても良いです。どことなく都市伝説のような雰囲気があります。

明晰夢とブランコ / 百夜カエル

夕暮れのようなノスタルジィとポップで伸びやかな歌と楽しげなサウンドのバランスがとても好きです。

「もう少しで終わってしまうんだね/ずっと馬鹿みたいに笑っていられたらな」と別れの歌でありつつ、「きっとまたここに集うだろう」とどこか未来への期待も感じさせるような希望と憂愁がとても良いです。

ミクの調声も絶妙に感じます。ミクだからこそニュートラルに寂しさと明るさを同時に伝えている気もします。

エンドロール / 青屋夏生

青屋夏生さんの最新アルバム「ジョーク」より一曲です。

このCDが本当に素晴らしかったのですが、エンドロールはその締めとしてとても素晴らしく自然と涙が流れてしまうような感動があります。
物語的に悲しいなどではなく、<感動>という雰囲気がそのまま伝わってきます。

表題曲の「ジョーク」のような底抜けに明るい曲、「#インターネットやめろ」のようなネタのような曲も挟んで、最後に「エンドロール」で大団円を迎える様子は「劇場版クレヨンしんちゃん」的な雰囲気があり大好きです。
特に好きなのはサビのあとのピアノのメロディです。

青屋夏生さんの一区切りがこの曲でついたとのことで本当にお疲れさまでした。今後の曲もとても楽しみにしています。

そしてダイレクトマーケティングなのですが、この曲も入った3rd Album「ジョーク」とても良いのでぜひ! アルバム曲もとても良く一枚で名作映画を見たような充実感があります。「エンドロール」のあとに残る「終演」これは一体……?!

是非に。(Booth販売サイト

パジャミィ / いよわ

すっかり有名人になったいよわさんの新曲!
とんでもない完成度のいよわワールドに圧倒されます。

いよわさんの好きなところは「繊細な歌詞」「かわいさと不気味さの同居」、「いよわさんにしか作り得ないサウンド、メロディ(特にピアノ)」なのですが、最新にアップデートされたいよわさんの全力がこの曲でもぶつけられます。

「アプリコット」との繋がりを感じさせつつ、二人の女の子の秘密を匂わせ、音楽として、物語としての奥行きを感じます。

映画も 陽だまりも 卒業式も
あふれる音楽が流れ終わったなら
寂しいけれど お片付けをしなくちゃ

パジャミィ / いよわ feat. 初音ミク

「あだぽしゃ」などもそうですが、「女の子の別れ」を表現するいよわさんの繊細さが大好きです。

後悔日誌 / いおぎりょう

静かな始まりヴァースから、一気にぶち上げるエレクトロサウンドがサビドロップが最高です。
後悔の末の鬱屈したフラストレーションを爆発させるようなサウンドにカタルシスを感じます。
そしてそのサウンドもとてもキャッチーかつクールで、引き込まれるような深さがあります。

EDM特有のテンションのアップダウンの激しさが「後悔」というテーマにとてもマッチしていて好きです。


雑記:ボカロ以外の好きな音楽

今月の雑記は、ボカロ以外の好きな音楽を紹介しようかなと思います。

じゃあこの人/曲も好きなんじゃない……? と思い当たるようなのがあればぜひ教えてください。ボカロでもボカロ以外でも大歓迎です。

amazarashi

秋田ひろむさんと豊川真奈美さんによるバンドです。
「東京喰種」EDの「季節は次々死んでいく」や、中島美嘉さんに提供した「僕が死のうと思ったのは」が有名でしょうか?

高校の時なかなかメンタル的にキツい時期が続いた時があり、比喩でなく助けられました。
当初のキャッチフレーズ「歌詞を見て聞きたい曲がいまいくつあるだろう」の示す通り、無責任に未来の希望を歌うのではなく、人生の泥濘を共有し、どん底であっても光がなくても、それでも藻掻く泥臭さを描く人間への深い愛があるように思います。
ライブパフォーマンスでは圧倒的な歌唱力に打ち震えます。

特に好きな曲は次の曲です。
「命にふさわしい」「ぼくら対せかい」「吐きそうだ」「古いSF映画」「つじつま合わせに生まれた僕等」……アルバム限定曲が多くて申し訳ない


ALI PROJECT

2000年代にアニメが好きだった人はしっているのでは無いでしょうか? ALI PROJECTは宝野アリカ様と片倉三起也さんの二人組の音楽ユニットで、今年で37年目に突入する大ベテランです。「ローゼンメイデン」OPの「聖少女領域」や「コードギアス反逆のルルーシュ」EDの「わが﨟たし悪の華」などが有名です。「.hack//Roots」EDの「亡国覚醒カタルシス」は鏡音レンのカバーも有名ですね。

豪奢な世界観、圧倒的な歌唱力、西洋クラシックからロックまでを融合させたアリプロにしか作れない音楽がとても好きです。
アニメのタイアップの曲はゴスロリな感じの曲が多いですが、だいたい年イチくらいで発表されるオリジナルアルバムはもっと独創的なものが多く毎回楽しみです。

特に好きな曲は、「禁じられた遊び」「凶夢伝染」「人生美味礼讃」「芸術変態論」「ローズ家の双子達」
↓の「凶夢伝染」MVは虫注意です。

Sound Horizon

Sound HorizonはRevoが主催する楽団で、CD一枚を通して物語を創り上げることが特徴です。

前にSound Horizonのアルバム「Märchen」を布教する記事を書いたのでここは短めで。

ただ、曲単位でいくとMärchenの「宵闇の唄」や「光と闇の童話」が好きですが、物語単位でいくと2008年の「Moira」が一番好きです。古代ギリシャの悲劇の双子の生涯を歌った神話がテーマです。TM Networkの宇都宮隆が王になってます。すごい。

Sound Horizonはそのコンサートが楽しく、観客も含めて物語の参加者になります。最近はめっきりコンサートをしていないので次のコンサートが楽しみです。

伊福部昭

伊福部昭は「ゴジラ」のメインテーマを作曲した音楽家です。
ゴジラシリーズなどの特撮の劇伴がとても有名なのですが、純粋音楽がとても素晴らしく大好きです。

伊福部昭はラヴェルと幼少期に北海道で共に過ごしたアイヌの民謡にとても影響を受けており、精神をそのまま曝け出すような即興性と土俗性がとても好きです。西洋音楽と民族音楽が融合したような独特の音楽です。

特に好きなのは「ピアノ組曲第4曲『佞武多』」、そして一番好きなのは「ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」です。
「リトミカ」は楽譜に「力は制限によって生まれ、自由によって滅ぶ」というダ・ヴィンチの言葉を引用しているように、この曲は「リズムは韻文的な奇数律動、音階は伝統音楽的な六音音階ヘキサトニック」という制限のもと書かれており、そのモチーフを繰り返すことで「人間の集合的な無意識を顕現させる」ことを意図しています。そしてそれは完璧に達成されており、深い精神性を感じさせるとともに、曲としてのかっこよさも凄まじいです。
荒ぶる音流からのゲネラルパウゼ、そして一気に終焉へ向かっていくクライマックスがとても好きです。
ちなみに一番好きなのは若杉弘 指揮、読売交響楽団 演奏のものです。

劇伴音楽ももちろんどれもよく、もちろん「ゴジラ」も大好きなのですが、私が好きなのは「わんぱく王子の大蛇退治」の劇伴です。

明日から使える伊福部昭の雑学:
緊急地震速報のサイレンは伊福部昭の音楽が元。
伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」第3楽章の冒頭をモチーフにしています。作成したのは伊福部昭の甥である伊福部達さんです。当初は「ゴジラ」を元にする案もあったそうですが、あまりに人口に膾炙しすぎて緊迫感がでないということでボツになりました。


というわけで、他にも好きな音楽家、アーティスト、曲はたくさんありますが、特に好きな4組(人)でした。

もともと時代、地域問わず色々な音楽が好きで、ボカロが好きなのも「ボカロ」という文脈の上で様々なジャンルの音楽が聞けるから、というのもあります。

そんなわけで、ただの布教コーナーでした。

4月はいよいよボカコレ、超会議の季節。楽しみです。
新年度ということでみなさんも頑張っていきましょう!

それでは!



備忘録:3月に読んだ本

・橋本勝雄 編・訳『19世紀イタリア怪奇幻想短編集』(光文社)

(……しか読めてない! あ〜あ、社会人の辛いとこね、これ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?