【POEMLOID投稿祭】気弱なロボット / 故やす子【ぼかれびゅ】
こんにちは、ボカロが好きです。ボカロはいいぞ。
さて、年の瀬も年の瀬ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日12/29から大晦日31日まで、POEMLOID投稿祭が開催されております。
POEMLOIDが好きな私としては、こんなワクワクする投稿祭を企画運営していただいてありがたい限りです。開催おめでとうございます!
せっかくなので勝手に応援しよう! ということで、投稿された曲を投稿が早い順でご紹介&感想を書いていこうと思います。
皆さんぜひPOEMLOID投稿祭の曲をたくさん聞いて盛り上げてください!!
気弱なロボット / 故やす子
タイトル:気弱なロボット
ボーカル:結月ゆかり
作曲:故やす故(@ko_yasuko_)
作詞:仮名(@canamemomemo)
下降する音階が非常に頭に残るギターフレーズです。また、パーカッションも個性的な音で大好きです。是非イヤホンで聞いてみてください。よれよれとしたいろいろなフレーズが左右から聞こえてきて、とても面白いです。
ポエトリーもとても示唆的で深みがあります。
という言葉がサウンドより先に始まります。言葉だけで始まるのもまた、無知から始まり「始めに言葉ありき」というような印象があり好きです。
人間は産まれたときは白紙=タブラ・ラサであると述べたのはジョン・ロックです。しかしながら、ロボットは製造されたときにはすでに自分の目的(存在理由)も明確に定められていますし、そのための技術も当然有しています。その点において人間とロボットは相反する存在です(少なくともイギリス経験論において)。
「気弱なロボット」というタイトルに反してこの歌い出しは非常に人間的です。
それに続く前半の歌詞。「買わされた壺を抱えて」いたり、「幸せになれるという水晶を飾」っていたりと、悪徳商法に引っかかっているかのようです(人間の定義は神を想定することである=ホモ・レリギオーススというエリアーデの論もここで想起されます)。
また、「布団はもう何組も持っている」のも普通は家族分しかいらないでしょうし、「新聞が四部届く」のも過多です。
ここにきて、「気弱なロボット」というのはかなり社会的にダメな人間の寓意であることがわかる構成になっているように思います。
この一連の部分のサウンドフレーズも抜けた感じがあって歌詞にあっていてとても好きです。言葉の切り方も含みがあって引き込まれます。
では、なぜそのような人間が「ロボット」であるのか。それは
に込められているのではないかなと思いました。個人的にも「個を求められれば怖がり/夜の歯車になることもできず」という表現がとても好きです。
「夜の歯車」になれない、とは逆に言えば「昼の歯車」=社会の歯車としてエポケー(思考停止)で生きているということではないでしょうか。翻って「個」を持てず「夜の歯車」=プライベートな自己を持てないということでしょう。その様子はたしかに社会的なペルソナを黙々と演じ続け、「自分」については依然無知のままの「気弱なロボット」です。この歌詞の中に直接物理的な「ロボット」を示唆する表現はありません。しかしながらとてもピッタリのタイトルで大好きです。
その後の「何も知らないまま産まれてきた」からは一フレーズごとにギターフレーズが2小節挿入され、ぽつりぽつりというつぶやくような悲哀が感じられます。
「何も知らないまま死にたい」というある種の諦念であり、しかしながらそれはある意味で美しい純粋さでもあって、そのような対立が「屑」と「風に舞う」という対比によってとても美しい余韻を残しています。
作者さんのご紹介
故やす子さんは2019年から活動されているボカロPです。普段からポエトリーを多く投稿しておられます。印象的でかっこいいギターが大好きです。作詞の仮名さんとの共作も多数あります。是非他の楽曲も聞いてみてください。
過去曲ですと私は「私は誰も殺していません」「ぺろきゃん」がとても好きです。
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