消費者と事業者と制度設計と

新しいサービスに歓喜した。しかし、ずっとモヤモヤしていた。

鷹野凌さんの以下の記事を読んで、noteの「特商法表記」についてずっともやもやしていた感情に手応えを感じた。つまり、このモヤモヤに対して、一法学研究者として何か考えられないか、というところまで追い込まれたのだ。

noteで特定商取引法に基づく表記を必要とする意味って何だろう? https://note.mu/takano/n/naa0a4ac80c77

当初は、特商法表記の欄を見て、「ああ、ここでは本名を開示する羽目になりそうだから、コンテンツ販売はできない」と考えた。特商法上の義務を果たそうとするなら、実名ではあるが筆名であるから。

しかし、ことの本質はそこではない。

cakesだけを利用していた頃。ピースオブケイクとの関係で、自分のことを消費者だと思っていた。そして新しいサービスが出てきた。noteという。なんか、面白そうな新サービスだ。・・・よくよく読むと、特商法の関連の責任はクリエイター側にあるとちゃんと書いてある。でも、それが「問われれば住所等も答えなければならない」という意味だと理解出来る人はどれだけいるだろうか。そのような制度設計になっていることを、正しく理解出来る人はどれだけいるだろうか。

これは、まだやはり消費者問題に属することがらのように見える。

noteというサービスは、クリエイターと読者をつなぐcakesの理念を継いでいる。インターフェイスも、垣根を低くすることに特化している。

良いサービスだとは思う。でも、取り払った垣根は、クリエイターと読者の垣根だけじゃない。クリエイターとアマチュアの垣根も取り払った。クリエイター達がどのような責任を負っているのか、よくわからないまま踏み越えてしまうリスクと共に。

まだ法的な分析にも研究の種にもなっていないアマチュアなコンテンツが、私の最初のnoteとなる。もちろん、課金はなしで。


【追記】(平成26年4月18日(金)12:01)

「よくある質問」に、特商法標記に関する部分が付け加えられた。

https://note.mu/faq#6

「プロとアマ」の区別についての解説がついた。

開示請求そのものにも、ピースオブケイクが間に入ることになったようだ。よかった、よかった。


ただ、垣根を低くしたことの意味を、法学的に考えてみること自体は、課題として残るかな。自分宛のnote。


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