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関学声研ブログ第80回【京アニ放火事件の法的解釈】

どうもみなさんお久しぶりです
GIMです
まずは、去る事件において犠牲になられた方々に敬意を表し哀悼の意を評します。画像は2020年1月10日公開予定の劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。http://violet-evergarden.jp/
*アニメ版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの色指定や氷菓、ハルヒなどの色彩設計を担当されていた石田奈央美さんが亡くなられたことが確認されました。あの美しい独特な色彩をもう見れないのかと思うと悲しくてなりません。

さて、今回の事件を考えるにあたり、まずはどのような罪状が当てはまるかの結論を述べます。
(今回のブログでは、法律を勉強していない人向けに法律学でいうところの論旨とは異なる形式、言い回しを用いています)

今回の事件では現住建造物等放火罪、殺人罪が成立します。
観念的競合や科刑上一罪、住居侵入罪、器物損壊罪等の牽連犯などの議論はややこしくなるので省かせて頂きます。

勘違いされている方が多いと思われますが、放火殺人という罪はありません

まず、現住建造物等放火罪について検討したいと思います。犯人は京都アニメーションのスタジオに玄関から侵入(住居侵入罪)すると、予め購入していたガソリンを撒くと、「死ね」などと叫びライターで火をつけた。その結果、京都アニメーション第一スタジオは全焼し(建造物等損壊罪)、保管されていた原画や備品も消失し(器物損壊罪)、34人の死者、35人の重軽傷者を出した。
罪を成立させるには、要件を満たす必要があり、現住建造物等放火罪は、人がいること(いると認識していること)、放火の実行行為などの要件を満たす必要があります。また、上で上げていた余罪については牽連犯と言い、放火という実行行為の手段、結果により引き起こされたものなので、現住建造物等放火罪という最も重い罪で処理することになります。
さて、今回の事件ではガソリンを撒き、ライターで着火するという実行行為があり、スタジオの全焼及び社員の死傷という侵害の結果も認められ、犯人の故意及び人がいることに対する認識も認められるため、全ての構成要件を満たすといえるでしょう。事前に下調べを行うなど、極めて計画的であり、違法性阻却事由(心神耗弱、正当防衛など)が認められることはないと思われます。

ちなみに現住建造物等放火罪は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役です。

次に、殺人罪について検討します。殺人未遂、傷害罪については殺人罪に吸収されると考えます。
殺人罪の構成要件は、故意、侵害の結果(殺したかどうか)などです。
犯人は、「死ね」と叫んでいたことから、殺意は明確であり、34人の死者が出ていることから法益の侵害も認められます。現住建造物等放火罪で述べた通り、極めて計画性が高く、違法性阻却事由も認められないと考えます。

殺人罪も現住建造物等放火罪と同じく死刑又は無期若しくは5年以上の懲役です。

なので、冒頭でも述べた通り、現住建造物等放火罪及び殺人罪が成立します。

今回の犯人は前科持ちの常習犯のようですね。特殊事情がなければ死刑も十分確定しうる内容です。犯人にはきっちり自らの罪を認め、法廷に立って頂きたいです。
日本は法治国家であり、人権がありますので、弁護士の方々に心無い言葉を投げないで下さるようお願いします。

京都アニメーションへの支援はこちらに案内が載っておりますので、ご参照下さい
http://www.kyotoanimation.co.jp/information/?id=3075

最後までご覧いただきありがとうございます。このような事件が起きてしまったことが、私は未だに信じられません。失った偉大な方々を取り戻すことは出来ませんが、せめて微力ながらも支えていけたらな、と思います
それでは、また次回の更新をお待ちください。

注:この内容は浅学の身である一介の法学徒により作成されたものですので、内容に誤りを含む可能性があります。

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