見出し画像

私はなぜ青いキャンバスに魅了されるのか(弾丸九州旅行記・その1)

前回はこちら

大阪〜志布志

4月30日。弾丸九州旅行の始まりだ。
まずは大阪〜志布志便が発着する第2ターミナルへ。乗船手続きを済ませて建屋を抜けると、そこには巨大な船体が眼前に広がる。フェリーは、遠くから見ても存在感があるが、やはり近くで見ると迫力がある。27枚撮り「写ルンです」の1枚目は、これにした。

とはいえ、まだ16時。17時の出航まで、あと1時間ある。早く入ってもすることがないのではないか。そう思って辺りを見回すと、喫煙所があった。普段から好んで吸うわけではないが、時間調整のために、そこへ向かった(何のエクスキューズ?)。

喫煙所には男性の先客が1名。50歳ぐらいだろうか。煙草の箱を取り出し、一本を口にくわえ、火をつける。すると、その男性から声をかけられる。
「また懐かしいもので撮ってたね。」
「旅をするのにカメラが欲しくて。以前は持っていたが、売ってしまいました。」
「旅費をつくるために売ったの?」
「いやまさか。就職等々で必要になって。」
「じゃあ新卒?」
みたいな流れで雑談が始まる。
どうやらその男性はバイク旅行をするようだ。志布志からバイクで北上し、またフェリーに乗って帰るらしい。かっこいい。
短い間ではあったが、いろいろと話をすることができた。有意義なひとときだった。
そしてボーディング・ブリッジを渡り、船内に入ると、いよいよ船旅がスタートする。

甲板へ出て、出航を見届けることにした。手元には350ml缶の発泡酒。周りの人が持っていたから、自分も売店で調達した。決して、アル中ではない。
船員の方々の作業を眺めていると、気づけば出航の17時を迎えた。船はゆっくりと離岸する。少し進み、方向転換。そして大阪湾を離れる。
陸からだとあまり見えないが、ここではいろんな国の船を見ることができる。船はスピードを上げる。大阪がどんどんと離れていく。

私は昔から海を見ることが好きだ。どういうわけかは分からないが、海の何かが私を惹きつけるのだろう。そんな私の「好物」が眼前にめいいっぱい広がる。贅沢。
水平線を境に、上は水色、下は藍色。そんな単調なキャンバスに、たなびく雲、船が作り出した波の轍、ファンネルから排出された黒い煙が描き足される。
ボーッと眺め続けられていたのは、空腹時に酒を飲んだから?いや、そうではなかろう。

最初のフェリーだからといって、寝れなくなって明日に影響が出てはいけない。
大浴場に入って体を温め、甲板に出てアイスを食べて温まった体を冷やし、船内を散策して、いつもより早めに寝床についた。

翌朝。せっかくなので船内レストランで朝食をとった。朝食はその日の活力になる。
食後のコーヒーを持って甲板へ。朝の海は濃く力強い青色をしている。
もう陸地が見えるぐらいまで来ている。どこかの国の船を通り過ぎると、いよいよ港が見えてくる。もうすぐだ。そこには、自分の知らない世界が待っている。

次回へ続く

おまけ

今回乗船したのは「きりしま」。2018年就航の船である。往復乗船して感じたことを記したので、参考までに。

船内

内装については、木目も多用された(いい意味で)陸上の施設にいるような意匠で、「ザ・船」みたいな無機質さを感じさせないつくりだった。

ツーリスト

最もグレードの低い「ツーリスト」は、大部屋に複数人が雑魚寝する。とはいえ、マットや掛け布団、枕が「意外と」まともなつくりをしていて、またハンガーやコンセント、読書灯が備わっており、まだ人権のあるつくりだった。
ただ、別途準備すべきものもある。一点目は、アイマスクである。席によっては常夜灯が眩しいからだ。二点目は、耳栓である。他者と隔てるものはカーテンしかないため遮音性は皆無で、いびきに悩まされるかもしれないからだ。実際、復路では途中でNCイヤホンの電池が切れて目が覚め、いびきのサラウンドで目が覚めてしまった。この他にもタオルや歯ブラシセットがあると良いと思うが、これらは船内のショップで買うことができる。

ネット

基本的には使えないと考えたほうが良い。船内wi-fiがあるが、これは案内図や映画などの船内サービスを利用するものであり、インターネットに繋げることを想定していない。船内サービスについては、各所にAPがあったので、快適に使えそうだった。
また、モバイルネットワークも繋がりにくいと考えたほうが良い。船内は電波が届かないので、窓側もしくは甲板まで出る必要がある。それに、外洋では基地局の電波が届かないこともある。
この際、デジタルデットクスに挑戦するものいいかも?

レストラン

売りにしている夕食ビッフェは、ケチって行かなかった。
その代わり、朝食は往復ともに利用した。往路で満足したから、復路でも利用したのだ。これはとてもおすすめできる。620円(利用時の価格)で食べ放題。ドリンクバーも飲み放題。安い。加えて、品質も高い。品数も多く、味のクオリティも高い。茶色い系だけではなく、生野菜もあり(ブロッコリーとプチトマトあるのはポイント高い!)、パンも美味しかった。

パンの専門店から冷凍パンを仕入れ、船内で焼いています。ホテルの朝食のような特別感をご堪能ください。

商船三井『CC Time』vol.06

そして、席にもよるが、オーシャンビュー。復路では、関空を遠目に見ながら朝食をとった。
とても良い体験だったので、夕食もぜひ行ってみたい。そしてさんふらわあが推しているカレーも食べてみたい。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました