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風刺画⑤ 中国的本音

皆さんこんにちは💛

ナイスチャレンジひがです💛


本日は、前回ご紹介した中国出身の「激辛トウガラシ」こと王立銘 氏の風刺画をさらに紹介いたします。


作者

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王立銘(おう りつめい)

(1973年 - )

アメリカ在住の風刺漫画家。ペンネームは「變態辣椒」(ビエンタイラージャオ、激辛唐辛子の意味)。新疆ウイグル自治区出身。
祖籍は河北省。文化大革命により上海から新疆ウイグル自治区に下放されていた両親のもとで生まれた。文化大革命終了後、上海へ戻る。
日本の化粧品や家電製品のネット販売を手掛ける傍ら、2009年から微博などのウェブサイト上で時事問題に関する風刺漫画を発表し、世間の関心を集めた。2013年10月、政治警察である国内安全保衛部(国保)に「乱闘を起こした容疑」で召喚。2014年に香港の中国から動員された親中派によるデモを揶揄する漫画を掲載して以降、中国当局による弾圧が強まる。
2014年5月、妻とともに商用で日本を訪問していた当時、政府系メディア人民網が名指しで「變態辣椒は親日媚日の売国奴」であると批判する文章を掲載し、環球時報など複数のメディアに転載された、淘宝網のショッピングサイトの自身のページは閉鎖、微博のアカウントも削除された。身の危険を感じた王夫妻は帰国を断念。
在日中は埼玉大学の研究員として滞在する傍ら、日本語版でコラムを連載し、漫画執筆活動も継続している。2017年5月にアメリカへ移住。


作品

①「非正常な死」で隠される中国の闇

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2015年1月から同年11月までに、27名の中国政府の高官が「非正常な死」を遂げた。その中には、死因が公開されない人物もいる。

死亡した状況も奇々怪々だ。大手証券会社「国信証券」総裁の陳鴻橋(チェン・ホンチアオ、49歳)は自分が出国制限の措置を受けたと知った後、家に帰って自殺し、遺書には「妻に迷惑をかけないでください」という文字だけが書かれていた。

広西チワン族自治区柳州市の党委員会副書記の肖文蓀(シアオ・ウエンスン、51歳)は河辺を散歩していた時に水に落ちて溺死したが、メディアの報道では河辺には手すりがあり、かつ現地の住民によれば肖が落ちた場所の水位は非常に浅く、1メートル前後しかなかった。

吉林省蛟河市公安局長の郝壮(ハオ・チョアン)は執務室がある6階から落ちて死亡したが、公安当局は郝がガラスをふいていて足を踏み外し、落ちたのだと説明した。

高官の「非正常死」は他にも発生している。

マカオ税関の女性税関長だった頼敏華(ライ・ミンホア、56歳)は奇妙なことに、公衆トイレでの「自殺」が見つかった。頼は発見された時、首の右部分と両腕に刃物で傷つけられた多くの傷があった。血の付いたカッターナイフはハンドバックの中に戻され、頭部にはビニール袋が被せられ、そばには睡眠薬が残されていた。当局によれば、彼女個人の携帯電話は尿で濡れて起動できない状態になっていたという。

官製メディアである新華網の報道では、13年1月~14年4月までの間に「非正常死」を遂げた高官の数は54人に上り、その中の23人は自殺。うち抑うつ病あるいは抑うつ病を疑われる人は8人いた。どうして中国には自殺する高官がこんなにも多いのか。

中国で、役人になるリスクは非常に大きい。

高官の中で潔白な人間は1人もいない。それは、腐敗した政府人脈は手を汚さない潔白な同僚の存在を許さないからだ。すべての人が腐敗し、初めてみんなが安心できる。

また、共産党は腐敗官僚の処分を法律を使わず内部審査ですませることができるが、「双規」では長期間の拘束中に苛酷な取り調べに使われるので、「非正常死」が多く発生する。自分が「双規」の取り調べを受けると知ったとたん、高官がすぐに「抑うつ症状」を発症して自殺してしまうケースもある。 

中国の独裁体制が変わらず報道も不透明なままなら、役人は非常にリスクの高い職業であり続ける。まるで執務室が崖っぷちに置かれているようなものだ。もし、ある日「非正常死」が発生しても、それが自分の不注意で落ちたのか、だれかに押されたのは分からない。神のみぞ知る。


②「毒ガス」をまき散らす病める巨龍

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北京市は2015年12月7日、深刻な大気汚染に対して「赤色警報」を発令。中国が最高レベルの赤色警報を出すのは初めてだ。

中国政府は13年に汚染が続く予測日数に基づき、大気汚染のレベルを「青色(24時間)」「黄色(48時間)」「オレンジ色(72時間)」「赤色(72時間以上)」の4つに分類。しかし今月7日の前には一度も赤色警報を出したことはなかった。

今回の深刻なPM2・5の発生は先週に始まり、先月30日に政府はオレンジ色警報を発令。

ニュース記事では、北京の空気中に含まれるPM2・5の微粒子は1立方メートルあたり900マイクログラムを超えた。

この数字は、WHO(世界保健機関)の定める上限値の25マイクログラムを大幅に上回っている。PM2・5の状況があまりにひどいため、庶民は政府の警報発令基準に疑いを持つようになった。政府はこれまで何度も特に華北地域のひどい大気汚染問題をなんとかする、と請け負ってきた。

PM2・5はいったん人体に入ると取り返しのつかない健康被害をもたらす。この微粒子を肺に吸い込むと排出できず、成長期の子供の場合だと一生健康被害が残る危険がある。

アメリカの科学者の研究では、中国の大気汚染による死者は1日あたり4000人に達している。実に中国の全死亡者数の17%だ。もしPM2・5の発生している時に北京に行けば、1時間の呼吸で寿命が20分縮まる。

中国の閑居汚染はあらゆる方面に拡大している。

土壌汚染は大気以上に面倒な問題だ。全国の耕地面積の5分の1近くは何らかの形で汚染され、10%以上は重金属汚染によって耕作できない「毒土」と化している。毎年、土壌汚染によって食糧は1000万トンも減産している。

水質汚染はさらに恐ろしい。2014年の中国環境白書では、中国では3分の2近くの地下水と3分の1の地上水は「人間が直接接触するべきでない」レベルの危険な状態にある。

いくつかの都市では、水道水は水洗トイレで流す水にしか使えなくなっている。

上海はすでに超一流の大国際都市だが、水質悪化は住民の激しい怒りを招いている。上海の家で蛇口をひねって出てくる水には明らかに異常なにおいがあり、バスタブで一定の深さまでためると、肉眼でその汚れ具合を確認できる。水道会社に何度電話を掛けて訴えても、検査員は顔色ひとつ変えず私に「正常で問題ない」と答えるばかりだ。

中国の環境汚染の影響は中国人民にとどまらず、周辺の隣国にも危害を及ぼしている。PM2・5はたやすく日本に「侵入」する。もしも中国で一党独裁の統治が続き、政治や言論が不自由なままなら、PM2・5を消すことも、そのほかの様々な環境汚染を根本的に改善することもできない。49年以来、中華の大地の上には「赤色警報」が鳴り響いている。


③人権派弁護士を有罪にした独裁国家の法治主義

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2015年12月22日、北京市第二中級人民法院は弁護士の浦志強(プー・チーチアン)に懲役3年、執行猶予3年の刑を言い渡した。

彼は1年7カ月の間勾留された拘置所を出た。浦志強は中国の有名な人権派弁護士であり、89年の天安門事件では所属する中国政法大学で初めてハンストに参加した学生の1人でもある。

浦志強が天安門事件後、公安当局によって逮捕されずに済んだのは、当時、彼が学生リーダーではなく、さらに学内で教師や学生たちにかばわれたからだ。

2014年5月4日、天安門事件25周年の1カ月前の夜、浦弁護士は警察に秘密裏に逮捕された。

彼は姿を消す前日、北京で十数人の人たちと天安門事件を記念する研究会を開いたばかりだった。

浦弁護士が刑事勾留された罪名は「騒動挑発罪」だ。この後、共産党当局はなんとか彼の有罪をでっち上げようと、その自宅だけでなく事務所を捜索し、同僚も逮捕した。しかし有力な証拠を何も見つけることができず、結局処罰の根拠となったのは微博(ウェイボー)上のいくつかの書き込みだけだった。

浦志強は微博でのたった数個の書き込みで懲役3年の刑を科すことができるのか。

罪の証拠とされた7つの微博の書き込みの中の1つは、「新疆が中国のものだというなら植民地扱いするべきでも、征服者や掠奪者として振る舞うべきでもない」というものだ。

あからさまな迫害に対して、中国国内と国際社会からの抗議は止むことがなかった。ついに共産党政府は執行猶予をつけることで浦弁護士を釈放するしかなくなったが、それでも抗議は止まらなかった。


④中国が忘れた「北風と太陽」の教訓

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選挙前には、台湾の選挙情勢に影響を与える重大な事件が発生。

韓国で人気のある台湾女性アイドル周子瑜(チョウ・ツーユィ)が、出演した韓国のテレビ番組の中で中華民国国旗を掲げたことを、同じ台湾出身で中国で活動する歌手の黄安(ホアン・アン)が「周子瑜は台湾独立を支持している」と微博(ウェイボー)で告発。

黄安と愛国ネットユーザーの攻撃で、中国のテレビ局が彼女が所属するグループの出演停止を宣言し、周子瑜の所属する韓国の芸能プロは中国市場を失わないため、この16歳の少女にテレビで中国人に向かって謝罪させた。

ISIS(自称イスラム国)の人質ビデオと同様の反応を台湾人に巻き起こした。

台湾人にとって中華民国国旗を掲げるのは自分たちの自由である。この事件後、もともと政治に興味を持たない若者は考え方を変え、互いに呼び掛けあって故郷に戻り、投票に参加した。

中には国外からわざわざ帰国した人もいた。彼らが票を投じたのは、台湾独立に傾く政党、民進党。もともと敗色の濃かった親大陸政策の国民党の選挙情勢はさらに悪化した。


⑤金正恩にビンタを張られた習近平

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北朝鮮が2016年2月2日に「8日から25日の間に『光明星号』を発射する」と発表後、米高官は北朝鮮が弾道ミサイル技術を利用して発射することは国連安保理、中国そして国際社会の軽視であり、北朝鮮への追加制裁に反対する国へのビンタと発言した。

3日、中国外交部のスポークスマンはアメリカに対して反論した。

「6カ国協議が中断し、一部国家が圧力と制裁を叫ぶ中、北朝鮮は核実験を始め、その後も実験を重ねてきた。その意味では、北朝鮮は確かにある国家に対してビンタを放ったと言える。それが誰の顔に向けられたものだったのかは、ビンタを受けた者だけが知っている」

金正恩のビンタは誰の顔に放たれたのか、中国外交部のスポークスマンは知らないのかもしれない。ただ、全世界の多くの中国人ははっきりと見た。習近平の顔に金にビンタされた跡がくっきり残っているのを......。


⑥習近平が振り回す「絶対権力」の危うさ

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2016年が始まると、中国の経済・政治はますます「非正常」な状態に陥った。

上海と深センの株価は猛スピードで続落し、外貨準備は記録的な量が国外に流出。毎年春節前夜に放送されるCCTV(中国中央電視台)の番組「春節聯歓晩会」は、最も共産党イデオロギー宣伝色の濃い中身だった、と視聴者に批判された。

今回の「メディアは党の子供」キャンペーンは後にも前例がないほど大規模だ。その後間もなく、官制メディアは中国に大量に存在する壁と門に囲まれた閉鎖型住宅街の壁を打ち破り、開放型住宅街に変えることで交通渋滞はなくなる、という報道を始めた。

この「サイン」は大きな反発を引き起こした。なぜなら中国の中産階級は治安面などを考慮して、ますます閉鎖型住宅街を購入する傾向にあるからだ。こういったコミュニティーは道路など公共設備の建設を自ら負担し、治安管理や緑化や公共活動用施設の建設も自分たちで行うので、住宅価格が通常の開放型住宅街に比べてかなり高くなる。

政府は壁を壊す準備を進めているが、これは所有者の私有財産権を侵害すると同時に、中国の「物権法」にも違反する。

習近平が統治する中国で、メディアは完全に臣下として屈服するほかなく、いかなる法律もすべて滞りなく実行される。

習近平に反対する大胆な者は全員、警察によって口を閉じさせられる。

しかし中国国民と中国社会は痛ましい代価を払っている。独裁者も、彼自身の行為のためにいずれ代価を払うだろう。


⑦毛沢東の衣鉢を受け継いだ習近平を待つ「未来」

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中華人民共和国の創設者である毛沢東(マオ・ツォートン)は、その時代に比類なき声望と権力を欲しいままにした。

しかし毛沢東は何度も「革命運動」を発動して国家を崩壊の瀬戸際に追い込んだ。その後、鄧小平(トン・シアオピン)による経済領域の「解放」によってこの国は生き返るが、鄧が指定した後継者の江沢民(チアン・ツォーミン)と胡錦涛(フー・チンタオ)は鄧の政策に従うだけの「国家の看守」に過ぎず、共産党政権を自分の代で壊さず平穏無事に次の世代に引き渡せばそれでよかった。

習近平(シー・チンピン)は前任の2人とは違う。

彼は正真正銘の「紅二代(「太子党」の中でも49年の新中国成立以前に共産革命に参加し、日中戦争や国民党との内戦で貢献した党幹部の子供)」で、毛沢東は彼の精神の上の父である。

彼は自分をこの国の「所有者」と考えている。けっして「経営者」などではない。この国を自分の家と考えている点が、彼と江沢民・胡錦涛の最大の違いだ。

「中国の夢」を実現するため、政敵と彼の「資産」を盗み取る腐敗分子に打撃を与えるため、習はすでに多くの人々を傷つけてきた。

海外に住む中国人は習近平が彼の統治期間の10年が終わった後、穏やかに権力移譲することがほとんど不可能だ、と予測している。もし彼が胡錦涛のように普通に政界を引退すれば、行動力のある政敵一派に暗殺されるだろう。権力欲ではなく、自身の安全のために習近平はすべて安心して引退できないのだ。

毛沢東が死去してから40年が経つ。しかし中国は一貫して毛と彼が始めた文化大革命の罪を清算して来なかった。習近平はまた公式の場で、(解放後の)中国は初期の30年と後期の30年を互いに否定できない、と語る。

2015年7月、100人以上の弁護士が事情聴取・逮捕され、今なお不法に拘束されている人がいる。

香港の銅鑼湾書店の店主ら5人は習近平を傷つける本を出したために秘密裏に中国に拉致され、取り調べを受けている。

テレビニュースでの上で自白させられ、自発的にイギリス国籍を放棄する、と公言した人もいる。有名な不動産ビジネスマンで共産党員でもある任志強は、習近平の「メディアは党の子供」という政策を疑問視したため、微博のアカウントを削除されただけでなく、中央メディアの文革式に批判にさらされている。

経済情勢が悪化した状態で一党独裁の統治体制を守るため、中国は以前の毛沢東時代まで徐々に後退し、まるで現在の北朝鮮のような「先軍政策」を実行することだ。極度に困難な経済情勢の下、軍隊と警察の給料を優先的に保障することで、全体主義政府が倒れないようにする。国民の感情などには構っていられない。中国共産党はすでに、数年後にやって来る可能性がある経済危機や食糧危機、社会危機に対する準備をしている。


⑧トランプと習近平が築く「高い壁」

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2016年3月ベルギーの首都ブリュッセルで発生し、世界を震え上がらせた連続爆破事件はすでにISIS(自称イスラム国、別名ISIL)が犯行声明を出した。

2016年1月、アメリカ大統領選の共和党指名レース候補者ドナルド・トランプは貧困地区がテロリストの温床となっているブリュッセルが「地獄のような場所」だと批判。

華人の抗議の声は、アメリカ自身が直面する問題の複雑さゆえ、すぐにかき消された。

アメリカ人が関心を持つのは、トランプが自分たちの何を変えてくれるか、という点だ。トランプいわく、WTOの規定を守らない中国のせいで、米中貿易のメリットを上回るアメリカ人の大量の雇用喪失というデメリットが生まれている。

アメリカはヨーロッパと日本などの地域に駐留軍を派遣して世界の警官役を担ってきたが、ヨーロッパがこれを決してありがたく思わず、沖縄の人々の反対の声も大きいことにアメリカ国民は不満を感じている。若い兵士の生命に犠牲にして、大量のカネを浪費して、得られるものは何なのかと。

アメリカで新たな孤立主義が台頭し始めたのには理由がある。もしトランプが本当に大統領に当選して選挙公約を実現したら、アメリカは自国の高い壁の中に引きこもることになるだろう。

世界の警察官としてのアメリカがいなくなり、ヨーロッパと極東の防衛が放棄されたら、ISISや中国共産党、ロシア、北朝鮮のような危険な政権に脅される国に自分たちを守るすべはあるのか。

2つの目的の異なる高い壁が2つの国家の果てしなく長い国境線に築かれようとしている。

1つは国民の行動の自由を妨げるものだ。

習近平は中国の人権問題を非難する人に対して、「これは我が国の内政問題だ。あなた方には関係ない!」。

もう1つの壁は人々が自由にアメリカに入ることを拒否するものだ。トランプは世界に向かって「それはあなた方の問題だ。われわれには関係ない!」

この2つの壁はそれぞれの国家の未来だけでなく、日本の未来に影響しかねない。


⑨パナマ文書の嵐をやり過ごす共産党幹部の「保護傘」

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2015年、ある匿名の人物が一千万件を超すパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の機密文書を南ドイツ新聞にリーク。

同新聞はこの膨大なデータを「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)と共有。

ICIJは全世界の100余りのメディアの記者にこの情報を精査させ、そしてついに4月3日、最初の調査結果を公表。

この一連の資料は「パナマ文書」と呼ばれている。

リークされた文書は国際的に権威のある高官とエリートたちがどのように租税回避しているか、そして莫大な財産を移転したのかを示すものだ。

文書に自身や家族の名前が出る世界の現職・前職の国家元首や政府首脳の数は100人以上。

パナマ文書の嵐は世界を大きく揺さぶり、アイスランドの首相は民衆の抗議で辞職に追い込まれた。

イギリスのキャメロン首相はどうして文書に父親の名前が現れるのか、メディアと国民に苦しい説明を強いられている。

国民の抗議の声は大きく、キャメロンが一族の私有財産を公表するだけでは収まらず、野党首脳さえ自分の財産を明らかにするよう迫られている。

租税回避をめぐる疑惑で荒れ狂う嵐に巻き込まれた首脳たちは、狼狽し困惑しながらふと東の方を見たとき、ひどく驚く光景を目にしたに違いない。ある国家のリーダーたちは、もっと悪質なスキャンダルに問われながら、まったく微動だにせず、まるで完全に無関係な様子なのだから。


この文書には中国共産党の歴代五代の指導者あるいは彼らの家族の名前が含まれ、そのうち少なくとも8人の現職あるいは前職の政治局常務委員がいる。

最も注目されるのは、一貫して「反腐敗運動には死角なし、タブーなし」と掲げてきた習近平の義理の兄、鄧家貴の名前があることだ。

現在の指導者と関係があるところでは、政治局常務委員の劉雲山の息子の妻である賈麗青、同じく政治局常務委員の張高麗の娘婿である李聖溌。

元首相の李鵬の娘で、有名な「紅後代 (編集部注:革命元老の子弟とその子供)」である李小琳の名前もある。前全国政治協商会議主席の賈慶林の孫の李紫丹、第一世代の指導者である毛沢東の孫娘の婿の陳東昇、元党総書記の胡耀邦の息子、胡徳華などもいる。

どうして他国に衝撃を与えるこの大嵐が、中国ではまるで何もなかったようになってしまうのか。それは、中国共産党が徹底的に中国のメディアとネットをコントロールしているからだ。「パナマ文書」というキーワードは中国のネット上で検索できず、主要メディアのサイトの上でも関連した報道は大量に削除されている。

官製メディアの「パナマ文書は西側勢力が西側勢力以外の政治エリート層と組織に対抗する手段にすぎない」と、いう評論がわずかに残るだけだ。ただメディアをいかにコントロールしようとも、ネットユーザーの高官の汚い噂に対するゴシップ的興味を消すことはできない。

習近平の義兄である鄧家貴はネットユーザーに「姉婿」という名前で呼ばれていた。彼らの間の暗黙の了解だが、「姉婿」という言葉はあっという間にSNS上で検閲されるようになってしまった。


⑩汚染された大地に住む中国人の「チャイニーズ・ドリーム」

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江蘇省の常州外国語学校は2015年9月、常州市の中心部から郊外の新しい校区に移転した。

中等部と高等部が併設されたこの私立学校は常州市で一番の実力校だ。教育環境と教師の人材が一流なだけでなく、中産階級以上の家庭でしか負担できない授業料の高さも一流だった。

昨年の12月、この学校は異常な臭いに包まれた。

腐ったバナナの臭いに似ていると言う人もいれば、殺虫剤のようだとも言う人もいた。

常州市は化学工業が発達した都市で、人々は化学工場から出る異臭には慣れっこだった。

しかし学校に現れた消えない異臭に、保護者たちの間に緊張が広がった。

12月末、一部の子供の体に赤い発疹やできものが現れると、保護者たちは連れだって子供を検査に連れて行き、多くの子供のリンパ腺と甲状腺に異常があることが判明。

学校の北側はもともと3つの化学製品工場の所在地で、この3つの工場の移転後に土地の修復が行われていた。その1つの常隆化学工場は52年間の長期にわたってこの地で生産を続け、彼らの生産したカルボフランやメトミルなどの殺虫剤はすべて毒劇物に該当する。


さらに多くの学生が発病し、約500人の学生に皮膚炎、湿疹、気管支炎、白血球減少などの症状が現れた。中にはリンパ腫や白血病が発見された子供もいた。

常隆化学工場で働いたある古い従業員によれば、彼がここで働いた35年の間、工場は1滴も廃水処理をしたことがなく、猛毒の廃水はすべて地下の排水パイプを通じてこっそり運河から長江に流されたか、地下に埋められたという。

ある環境報告書によれば、化学工場が引っ越した後の土壌と地下水は高度に汚染されており、土壌中と地下水の塩化ベンゼンの濃度はそれぞれ基準の9万4799倍と7万8899倍に達していた。四塩化炭素は2万2699倍、そのほかの有毒物質も基準の数千倍だった。

これらの汚染物質は以前から発癌性が指摘されており、長期間接触すると癌などの病気になる可能性がある。常州外国語学校の移転先の常州市新北区は化学工業と農薬生産による重汚染地区で、データによれば新北区にある人口6000人の新華村で、04~08年の間に癌患者数は約200人に達した。

保護者たちの訴えと抗議、世論の圧力で中国政府も調査班を派遣した。しかし政府に公正に処理する気はなく、このように深刻な健康被害事件に直面しても、いつも通り真相を隠し、保護者の抗議の声を封じ込めようとした。

事件をきっかけに、保護者の中に外国への移民を考える人たちが出始めた。このことは、ある母親の民族的自尊心を傷つけた。ところが当局の調査班が学校区の大気には明らかな汚染がなく、結節性甲状腺腫の247人とリンパ腫の35人の学生については原因不明とする絶望的な調査結果を公表すると、彼女は自分に子供を国外に移民させる能力がないことを恨んだ。


前回に引き続き、王立銘の過去の風刺画から現在の混乱の一端を感じられるのではないだろうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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