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コーポレート系が実名で情報発信をしない理由と、それでもした方がいい理由を考えてみた

僕が素性を明らかにしてnoteを始めた時、「情シスが実名で発信するのは珍しい」というリアクションをいくつかもらいました。

ふとこれまでを振り返っても、コーポレート系の職種(※採用含む広報・PR除く)の人が実名で何かを発信するという事例は確かに少なかった気がします。今回はそのあたりの理由「から」ちょっと考えてみようと思います。

あまり情報発信がされない理由とは?

その理由は大きく3つあると思っています。

1.そもそも守備的な人が多い

あえて「保守的」ではなく「守備的」と表現します。

バックオフィスには多かれ少なかれ「決め事をきちんと回す」という確実性が求められるので、そこに適性がある人は少なからず「守備的」なマインドセットを持っています。特に経理財務や労務については、その仕事に間違いがあったら会社が即すっ飛ぶ可能性もあるので、確実に、とか、的確に、とかそういうものを重要視します。

一方、考えを綴って世の中に問うという行為には多少なりとも山っ気というかヤケッパチというか、ギャンブル的な要素がつきまとう宿命があると思っています。自分の考えを世の中が確実に受け入れてくれるとは限りませんし、自分が書いた記事に誤りが本当にないかを自分で確認するのもかなり難しいことですし。。

そこで、自らのマインドセットと文章を書く行為の性質がバッティングして、「書こうとしても書けない」というジレンマに陥ることがあるんじゃないかな?というのが、第一の理由となります。

2.書くネタが所属先の機密に引っかかってしまう

第二の理由はもう少し現実的な理由です。これには僕も多分に影響されています。

コーポレート系の職種は会社のセキュリティや戦略を含む機密情報、社員の個人情報など、極めて取り扱いが微妙な情報を回して仕事をしている関係上、色々と気をつけて物を言う必要があります。

例えば人事労務系の人が「こないだ障害者雇用の補助金申請したよ!」とか書いたらそれは明らかにダメだろうという感じですし、経理の人が何やらアクロバットな処理をしてそのことをnoteに書いた場合、タイミングによってはそれを見た投資家がメガネを光らせながら「ほおう、詳しくお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」となるのは目に見えています。

コーポレートITにおいても「〇〇のツールを導入しようとしています!」という記事を書いたとして、「〇〇」を通じてその会社の課題が浮き彫りになってしまうこともあるので、導入途中の具体的な話をすることがなかなか厳しい場合があります(話としてはこれが面白いのですが!)。導入して軌道に乗って成果が出てしばらく経ったら書けるかな、くらいのスパンのネタになります。少なくとも僕はそう考えてます。

要するに書くネタに相当気を遣わなければならない、というのが第二の理由です。

(とはいえ、僕がいるコーポレートITの分野ではフェーズごとの課題ってどこもあまり変わらないので、ガチの機密情報に触れなければさほど気を遣う必要は無い気もします)(気はしますが、それでも怖いので小出しです)

3.書くことのメリットが少ない(ように見える)

エンジニアやデザイナーと違って、コーポレート系の職種は一般的に陽の当たりにくい職種です。まあ、それというのも情報発信がなされていないからなんですが。鶏と卵の関係です。

クリエイティブな職種においては、実名でアウトプットして、それが回りに回って最終的にお金や名声に結びつくパスというのがある程度確立されています。というか、横の繋がりもあるので、アウトプットしてなんぼなところがあります。サロン的な。

一方、コーポレート系の職種の人がわざわざリスクを犯してまでアウトプットするメリットはあるんだろうか?という問いに対しては、事例の少なさゆえに正解が見えにくいという現実があります。そもそもの横のつながりという観点でも、エンジニアなどと比較すると繋がる機会断然少ないように見えます。(経理のミートアップとかあまり聞かない)

(それでも)実名で情報発信することは大事

ネタがリスキー、そもそもメリットが見えにくい、さらには性格的に向いていない(傾向がある)。一見すると、コーポレート系の人が情報発信する理由は完全に潰されているように見えます。

それでもコーポレート系の人があえて実名で情報発信することは大事だと僕は考えています。

(a)結局、自分のためになる

上で実名でわざわざアウトプットするメリットが見えない、ということを書きましたが、メリットはちゃんとあると思うんです。

アウトプットを通じて自分を知ってもらうことはもちろん、「人に読んでもらうために書く」いう行為そのものを通じて、物事を分析する解像度を増強し、それをシンプルに表現するための語彙を得て、最終的には自分自身の考えをクリアかつ端的にリビルドすることができるようになります。本質を端的に表現するスキルの価値に、職種は関係ないでしょう?

また、素性を明らかにして物を書く以上下手なことを言えないので、世の中の空気感をリアルに知ることができます。これって意外と重要なメリットで、コーポレート系って法令やルールに縛られがちな仕事であるため、むしろ現実社会の認識が希薄になってしまうことがあるんです。そうなってしまうと、なんというか、仕事がものすごく官僚的な感じになってしまうんですね。

官僚的になったコーポレート系って地獄ですよ〜。(長くなるので多くは語りませんが)

(b)勤務先の認知の奥行きが増す

会社員が所属を明らかにして何かを表現するということはすなわち、その人の属性の一つとして勤務先が設定されるということです。さらには、自分自身にとっては勤務先はOne of themの属性ですが、周りから見たら間違いなく「POCのヒガシさん」みたいな感じで捉えられることになります。なぜなら、勤務先は特別に目立つ属性だから。

上にも書きましたが、これは一つの枷であることは間違いありません。息苦しい、かもしれない。しかしそこを頑張って文章を書くことは、確実に自分が勤めている会社の認知の奥行きを増すと考えています。

会社を認知しようとする人が着目するポイントって、とりあえずは業務内容とか経営陣や財務状況で、もしかしたら特に目立つスタープレイヤーもというところかもしれません。しかし、その会社を本当に理解しようとしたら、最後はその会社でどんな人達が働いているのか、というところまで知りたいものではないでしょうか?実際に僕はそういう風に「会社」というものを見てきました。

それは例えば投資や転職のようなシリアスなケースに限らず、単純に親戚や友達が働いてるところってどんな会社なんだろう、みたいなレベルでもそういうものだと思っています。

経営者やエンジニアやデザイナーなどのプロダクトの前面に立つ人のみならず、インフラエンジニアやコーポレート系の人達までなんらかのアウトプットしている会社である方が、会社を認知される際の解像度が増していくんじゃないの、というのが要点となります。

確かにコーポレート系は仕事の話を書きにくいので、何書けばいいんだよ状態に陥るのはわかります。わかるけど、表現の可能性は無限大でもあります。属性を晒しているからと言って、属性に縛られてはつまらない。

さてここで、以下のnoteをざっとでもいいので読んでみていただけますでしょうか?出会ってまだ2ヶ月ですが既に僕の戦友と言っていい、弊社POCで経理をしている中澤さんが書いた記事です。

彼の趣味である登山の装備に関して、広範かつ具体的な説明が、実際に使用したインプレッションを元にして丁寧に展開されています。およそ極端な海外ブランド原理主義者でない限り、この記事を読んで反感を抱く人は滅多にいないと思います。そしておそらく、仕事ぶりも真面目かつまともで、丁寧なんだろうなーという印象を抱くのではないでしょうか?(そしてこれは実際そうなんですけど)

すなわち、会社の認知に奥行きを持たせるとはこういうことだと考えています。書くことは(悪徳的でなければ)なんでもいい。何かを書けばそこから必ず滲み出るものがある。それを通じて、仕事ぶりが透けて見える。それと属性が結びついて、そういう人がこういう業務を担当している会社なんだな、という認識を持ってもらえるようになるんじゃないか。というのが、ここで言いたかったことです。

まとめ、というか

超長くなりましたが、まとめです。

コーポレート系があまり情報発信をしない理由は?
1.そもそも守備的なマインドセットの人が多い
2.仕事に絡むネタがリスキー
3.リスクを冒して情報発信するメリットが見えにくい

それでもやった方がいい理由は?
a)確実に自分に返ってくるから
b)勤務先の認知に奥行きを持たせることができるから

ということで今回は「コーポレート系が実名で情報発信をしない理由と、それでもした方がいい理由」を書いてみました。2019年の現時点においても、素性を明らかにできる境遇のコーポレート系の同志がどれくらいいるかは不明瞭ですが、メリットは確実にあるんだよということが伝われば幸いです。

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この文章は7月に入ってからずっと書きたかったテーマで、文章のプロットだけは割とすっと決まったものの、最後に向けてどういう風に展開していくかをずっと悩んでいました。(「産みの苦しさ」という言葉があるように、こういうのも何かを創作している証左だと考えています)

そこにきて、土曜日は法務の淺井さん、日曜日は上述の中澤さんがタイミングよく記事をアップして、「ああ、俺が言いたかったのはこういうことだよ」と点が線として一気に繋がっていきました。書かれている内容といい、タイミングといい、本当にナイスなチームだと思います。


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ロードバイクのガツンとした部分を愛する株式会社ピースオブケイクのコーポレートIT担当。女の子の親でもあります。
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