アカ_ヨシロウ

vol.8『アカ ヨシロウとこれから』

はじめに

 夫は昨年12月末で仕事を辞めた。

 12月は丸々有休を使ったため、会社通いが終わったのは11月末のことだ。2018年12月〜2019年8月まで、夫は会社員「ではない」身分として過ごした。会社員以外の働き方に関心があった夫は、ライター業に挑戦してみたり、前々から興味があったプログラミング分野の勉強に励んだりと、日々精力的に過ごしていた。プログラミング分野の勉強を学んでからは、趣味である「園芸」がより楽しめるようにと、自動散水機のプログラムを自分で組み込んでいた。

 そんな夫がワクワクできる働き方を見つけ、9月から働き始める。

 月刊アカ ヨシロウvol.8『アカ ヨシロウとこれから』では、『月刊アカ ヨシロウ』開始直後から8月末までを振り返り、アカ ヨシロウのこれまでとこれからについて共有したい。

 夫のこれまでとこれからの話。


アカ ヨシロウの人生年表

太字アカ ヨシロウのあゆみ
細字:歴史的出来事

昭和63年7月 アカ ヨシロウ誕生

平成3年2月 バブル崩壊。同年12月にはソビエト連邦が崩壊。ヨシロウは3歳へ
平成7年1月 阪神淡路大震災が発生。ヨシロウの実家は千葉県のため被災せず
平成8年2月 「ポケットモンスター赤・緑」発売。ゲームボーイを持っていなかったため時代に取り残される

平成13年4月 中学受験に合格、巣鴨中学・高等学校に入学
平成16年2月 BSE問題により吉野家が牛丼の販売を休止。初めて豚丼を食べる
平成19年4月 東京農業大学に入学
平成20年9月 リーマンショックによる世界的不況が発生。就職でなく大学院への進学を決意
平成23年4月 東京農業大学大学院に進学
平成26年4月 食品商社に就職。営業として社会人を始める
平成28年9月 社内異動でシステム部門へ。SEの魅力を知る
平成30年12月 会社を退職、人生初の無職デビューを果たす
令和元年9月 新たな職場でエンジニアとしてスタート

TO BE CONTINUED・・・


アカ ヨシロウとこれまで

ー2018年11月で仕事を辞めてから、今までどんなことやってきたっけ?「無職期間がスタートした〜」って言ってた割には、よしさんがのんびり過ごす姿を見た記憶があんまりないからさ・・・

まず最初に言うと、去年の仕事を辞めてから無職(フリーライター)として活動してきたけど、正直うまくいかない一年弱だったなぁと思っているよ。やぁキツイ時間を過ごしたなぁ。

ええっとね~、仕事辞めてからの1ヶ月は引っ越ししたり、無職に向けてライターバイトを探していたと思う。ブログに挑戦したり、カホさんの画を商品化したり(結果、カホさんの売上を下げたり)、暇だから家庭菜園に精を出したり、イロイロやったよね。あの頃はまだ「仕事辞めてやったぞ!」という高揚感と緊張感があったけど、さっそく空回りしていたなぁ。

年を明けてからハロワの就職者支援訓練に行くことにしたんだよね。日中は組み込みエンジニアの勉強をしていたんだけど、その期間は楽しかったなぁ。

土日はライティングのバイトをしていたけど、僕の遅筆ぶりに参ってしまったよ。サラリーマンの時は「時間がないから筆が進まないんだ」と思っていたけど、時間があっても筆が進まないことに愕然としたね。

カホさんが仕事でライティングをしている横で、自身のブログですら書くのが辛いんだから、「あぁ僕には文筆業は向いていないんだなぁ」と絶望に近い感覚だったなぁ。

4ヶ月の就職者支援訓練が終わった後は、今後の生き方を1ヶ月間悩んだよね。その間に九州旅行をして楽しかったけど、「ああぁ。転職しよう。」と決めた期間だった。

その後に転職活動を始めて無事内定。9月から新たな職場に勤めるつもりだよ。

ー結構苦労した印象があるね…。そういえば、よしさんがフリーランスデビューする前に、夫婦でやってる交換日記で一瞬険悪(?)な空気になったんだけど、覚えてる?これなんだけど・・・

「見切り発車」感に不安を抱く妻の日記
「不安」と言われ、「失礼だなあ」と返す夫の日記
「すんませんでした」という妻の日記
「心配って言われると行動する前に後悔しそうなんだよ〜」と夫

覚えているよ。険悪になったつもりもないけど、あそこで述べたのは僕の素直な感想だ。

一緒に過ごしているから仕方がないんだと思うけど、無職を開始して、「あぁカホさんは思ったより僕のコンディションに左右されてしまうなぁ」とは思ったよ。まぁ僕もカホさんの体調で予定は変えたりするからそんなもんだと思うけど、あの時は放っといてほしかったよね。

その後は放っといてくれているから、今はだいぶ気楽。まぁ心配かけているんだろうけどね。

ーそりゃあね(笑)。

ーわたしは休職期間中(実際には辞めようと思い始めた社会人2年目に入った頃から)ライター仕事に手を出して、「ああ、こっちのほうが向いてる」と思って仕事を辞めた身です。だから、仕事を辞める前のよしさんの発言…覚えてるかわかんないけど、よしさんの友達と一緒に飲んでたときに、ライター仕事について「かほちゃんができて、僕にできないわけない!」って強めの口調で話されたとき…ちょっとイラッとしちゃってね(笑)。「自分はなんでもできると思い込みすぎ!」「わたしだって辞める前から入念に準備してフリーランスになったんだぞ!」って思った節もあってね。だからまあ、まあ、まあ、とにかくちょっとイラッとしてたんだよ、わたしはね(笑)。

ー『脱サラ こえーーー』(「不安」と言われ、「失礼だなあ」と返す夫の日記)で書いているような仕事を、前職を辞めたあと、実際に挑戦してたわけだけど…土日にやってたライティングのバイトとかブログの話、どうだったか教えてー。

ウェブライティングもブログも辛かったなー笑。ライティングといってもバイト程度だったけど、それでも僕には向いていなかった。うーん、悔しい。。

この話には2つの軸があって、①ライティングを仕事にしたこと、②働き方をフリーランスにしたことだ。これまではサラリーマンとしてライティング以外の仕事をしてきたんだけど、フリーランスという働き方もライティングという仕事内容も、僕には向いていなかったのかもしれないね。

そう、ライティングなぁーー。楽しいんだけど僕の瞬発力をうまく使えない感覚で、なんというか、ツラかったんだよな~~。笑

フリーランスという働き方も、もう少しライター仕事の全貌を分かってからやるべきだったと思っている。全貌を知らずにやり始めると、作業性の高い仕事しかなくなってしまう。

あと、僕は皆と仕事をするのが向いているっぽいから、ライターをやるにしても組織に属してからでも良かったかもしれない。

今後はエンジニアとして仕事をしていくつもりだけど、ライティングを勉強したことによって『書く脳力』は身につけたから、今後は手段としてサブで使っていきたいと思ってるー。

ー個人的には「ライティングやってみよう」から「エンジニア目指してみよう!」の流れが突飛な気がしなくもないけど…(笑)。確かに前々から、「プログラミングとか組み込みに興味がある」って会話はしてたけど、これからの仕事に関係するプログラミングを「本格的に学ぼう!」って思ったきっかけはなんだったの?

まず、プログラミングを学ぼうと思った理由は「小学校の頃から電子工作をしたいと思っていたから」だよ。無職になって時間がある中で、就職者支援制度を使えばお金がかからず勉強できると知ったからそれに乗っただけで、当初はエンジニアになるつもりはなかったんだ。

そして本格的にエンジニアになろうと思った理由は「プログラミングを苦手とする人がいるから」だね。僕はまだ勉強が必要な身分ではあるけど、恐らくプログラミングが得意な方なんだ。

奥さんもだが、世の中にはライターに向いている人が沢山いると思う。特にライバルである主婦ライターには本当に敵わないと感じた半年であったよ。彼女たちはガッツもセンスも持ち合わせている。

職業としてライティングを挫折した経験から「自分が苦手な土俵で戦わない」ことを選択したと言ってもいいね。といってもエンジニアにもライバルは沢山いる。はたして、この判断は吉と出てくれるだろうかね。。

ーなるほどねー。職業訓練校でプログラミングを3ヶ月間くらいみっちり学んでたよね。学校での日々はどうだった?

いやー、めちゃくちゃ楽しかった。プログラミングという『機械に指示を出すこと』は、これまでの思考方法と全然違うから、頭の中がガラリと変わって面白かったなぁ。

プログラミングの楽しいところは、「機械は指示されたことしかできないところ」だと思っている。一見不便に感じるかもしれないが、彼らはその分ミスがない。機械に問題が発生した場合、それはだいたい自分のミスなんだ。

そうなった時は自分でどうにかするしかない。背中から嫌な汗を出しながら、初めから一個一個調べていく。一個の不備を探し出すのに半日や一日、下手したら数日かかる。そして「ココだっ!!」って問題を解決したときに脳から汁が出る(!!)。

前職で社内SEをしていたからエンジニアさんの仕事の辛いところは知っている(はず!)。トラブルは御法度だし、こんなことを毎日するわけにもいかない。だけど、この「不便な機械を動かすために、自分で調べて自分で解決する感覚」は好きだし、比較的僕に向いていると思うんだ。

ーそういえば、独学だったりスクールに通ったりしてプログラミングを学ぶ人の中には、フリーランスとして活動する人もいるっぽいよね。もちろんごく稀なことなのかもしれないし、仕事を得るのは大変なことだとは思うんだけど・・・よしさんは「転職」(サラリーマンとして働く)を選んだよね。フリーランスへの憧れもあったとは思うんだけど、再びサラリーマン生活するのにはなにか理由があるの?

箇条書きで書いちゃうけど、次の6つが理由かなぁ。

1. 僕が業界未経験なので、ニーズも納品レベルも読めない(そもそも用語が通じない)。
2. サラリーマンになれば、研修などお金をもらって勉強ができる。
3. サラリーマン生活が苦手じゃない。
4. というか組織に属していないとダメ人間になる。(個人が向いていない。)
5. ぼちぼち不景気が来そう。
6. そもそもフリーで活動する技量がない。

全てはもらえるお金との天秤だと思ってるけど、今はフリーライターとしてやった経験としては4.が大きいかもしれない。仕事をもらえるレベルになったらフリーで仕事を受けてみたいけど、組織でやらないとダレそうだから、その時は組織づくりから考えようと思うー。

ーまあ…確かに…ちょーっとダレてたかも(笑)。ただ「不景気が来そう」つってサラリーマン生活に戻る姿からは、生粋のサラリーマン感があって好きです。

ー無職期間の楽しかった話も聞きたいな〜。サラリーマンとは全く違う生活を半年以上経験したわけだけど、「この生活楽しいな〜」って思ったときってどんなとき?

好きなだけ寝て、好きなときに好きな趣味に没頭できることだよね。好きな料理も勝手に作ったし、観たいと思ったときに映画に行けた。この自由な時間はサイコーだったなぁ。

そう考えると、あくまで個人での仕事が苦手であって、自由が苦手ではなかったんだと思うね。

・・・いや、そんなこともないか。自由をずっとやっていたら、だんだんと元気がなくなっていったんだよね。

うーん、楽しかったんだけどなぁ。不思議だなぁ~~。

ーとにかく張り合いがなかったんだね・・・あと、よしさんは「外からの刺激」で元気を感じる人なのかもしれないね!

ーサラリーマンの働き方とフリーランスの働き方、どっちも素敵だし、どっちも大変なことあると思うんだけど、よしさんは社会人になってからの数年間でどっちも経験したことになるよね。どっちが楽しいとか、どっちのほうが向いてるとか・・・自分の中で結論は出た?

フリーライター憧れだったんだけど、挑戦したらキツかったんだよなぁ。

質問に対してだけど、結論は「皆で仕事をすることが向いている」だと思っている。全て個人でやろうとしたからフリーランスにダレてしまったと思っていて、パートナーと緊張感をもって仕事をするぶんにはどっちでも良いと思う。

けど、世の中のサラリーマンに向いていない人の話を聞くと、僕はサラリーマンのほうが向いているんだろうなぁと思う。

サラリーマンにもいい面があるし、フリーランスにもいい面がある。けど、上でも言ったけど結局は「お金との天秤」だと思う。僕にはフリーランスがあまり向かなかったとしても、それをカバーするだけのメリットがあれば、また挑戦してみたいよね。

ーまあ、わたしはもう、よしさんと一緒に生きるだけだから、できるだけ黙って挑戦を見ることにするね(笑)。


アカ ヨシロウとこれから

ーじゃあ、次は「これから」について聞くよ。

ー今、目指してることはありますか?9月から始まる新しい働き方で、どうなりたい、どんなことを目指したいみたいなものから・・・将来設計まで。

この無職期間で貯金もなくなったことだし、今僕が考えていることは「ただガムシャラに働ける仕事を探そう」、「そしてお金を稼ぐ能力を身につけよう」ってことだなぁ。

思い返すと、前職でサラリーマンをやっていたときは、営業もSE仕事もハマっていて、この半年間のライター仕事はハマらなかったんだと思う。書くこと自体は楽しいんだけど、ハマらない。やっぱり仕事の手段として向いていなかったと思う。

仕事の仕方についてもそうだね。僕はフリーランスでやるよりサラリーマンとして仕事をしたほうがハマりやすい。だたそれだけなんだと思う。

プログラミングの方がハマりやすそうだから仕事の手段をライターからプログラマーに変えてみる。もしフリーランスの方がお金も稼げてハマれるのであるなら、そっちも検討してみる。

ガムシャラに仕事をすれば結果(お金と能力)はついてまわる。お金と能力あればその後の選択も増える。今は疲れるまで、飽きるまで、ただがむしゃらに仕事をすることを目標にしようと思っているよ。

(そもそもガムシャラに仕事をするしか、もう選択肢はないんだけどねー。。)

ーそういえば『アカ ヨシロウと園芸』の中で、狩猟や放牧で肉を獲ったり、システムを活用して野菜を育ててみたり、山の中での生活を想定したような将来設計について語ってもらったけど・・・その目標は今もあるの?

今でもあるし、やっぱり目標だよね。けど今はそれを仕事にしようとは思えないから、お金をガツンと稼ごうと思ってるなぁ。

もし機会があれば仕事にしてみたいから、引き続きコミュニティ探しは続けようと思う~。

ーコミュニティ探し、いいと思う!やりたいことはねえ、いっぱいあったほうがいい。いっぱいあれば、向いてなかったときに辞めても大して凹まないし(笑)。

ー将来のために心がけてること、今後今まで以上に考えなければ!って思ってることはある?

この半年のハマらない仕事を期間を経て再認識したことは、『自分がハマれる仕事探しと、コミュニティ探しの重要性』だなぁ。

上で何度も「ライティングに対してハマらなかった」と書いちゃってるけど、書くこと自体は楽しいし、もっとハマりたかったと悔しい気持ちが強い。

また、僕は1人で仕事をするより、誰かと一緒に仕事をしたときに、強みが出てくるのだなと思うようになった。

今は日刊かきあつめというコミュニティで記事を書いている。とてもステキな人達で、彼らと一緒だからこそ続けられていると感じている。

仕事をするにあたって、「何が自分の強みになるか」「誰とだったら一生懸命になれるか」をよく考えるようになった半年だと思う。

ー短所と長所がハッキリ浮き彫りになった感じだねえ。9月からの新しい職場では、長所をバリバリいかすんだよー!!!

ー『月刊アカ ヨシロウ』は元々、脱サラしたよしさんの履歴書代わりというか、色んな人によしさんの面白さを知ってもらおうと始めたものなんだけど・・・復サラ(復活サラリーマン)しても続ける方向でいいかな(笑)?

もちろん!続けるよ!!

エンジニアを本業として始めるけど、ライティングを止めるつもりはないんだ。せっかく書くことを覚えたからね。それは活かしていこうと思ってる。

バイト程度しか稼げなかったとしてもフリーでライターは続けるし、発信も引き続きやっていこうとおもう。

これまでは「時間がないからやれない」と思ったけど、この半年間で「時間があっても、やらないときはやらない」と分かってしまったよ。笑

もう自分に諦めて、コツコツと時間をみつけて頑張ろうと思う~。


編集後記

9月から新たな道へ進む夫へインタビューしてみた。

将来について語り合うとき、わたしたちは大抵衝突する(夫は衝突している気はないという)。だが、わたしたちの間で起こる課題の大半は時が解決してくれる。

時が、というより、夫の「楽しむ心」が、とでも言うのだろうか。

夫は無職期間最後の1ヶ月はずっと元気がなかった。無職であることに退屈さを感じ、9月から始まる新しい出来事への緊張や不安から、元気を失ったのではないかと考えている。

でもきっと、夫は9月から大はしゃぎするはずだ。新しいことに出会うたび、興奮気味に家へ帰ってきてはそれについてずっと語り続けるだろう。そのうち、8月に一体僕は何を悩んでいたんだろうねと笑うだろう。

それでいいし、それがいいと思っている。

夫が新しい道へ進むことを、応援している。

次回は9月末に刊行予定。

photo / sentences / edit: Kaho Katayama


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