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夏。

夏が来た。梅雨が明けて。
夏の厳しい日差しがジリジリと皮膚を焦がして行き、私の化粧は瞬殺で溶ける。この溶けっぷりはなにを塗っても意味がないんだろう。
そんなほぼすっぴんな状態で近所のお祭りに参加。
あちこちから聞こえる子供たちの声と酔っ払いの喧騒。
慣れない外国人が一生懸命盆踊りを踊ってる。
私はこの土地に来て初めてこういうお祭りに参加して気がついた。盆踊りの曲が違う。
全く知らない曲で踊る人たちを見ると日本のようで日本じゃない感覚陥った。売ってるものも日本お祭りらしいものであり言葉も通じる。半分くらい人が浴衣を来て、この夏タピオカも大人気。でもなんとなくタイやカンボジアの夜市のような暑さと賑やかさを感じた。
一緒に来た中国人の彼氏は盆踊りに混ざることなく踊りを見つめてる。
屋台を見渡すと彼は値段の高さに驚いてる。
どうしてこんなに高いの?
お祭り価格、というのを知らないようだ。たしかにタイにしろカンボジアにしろ夜市は毎日あるもので年に一回しか出店がないということもない。ローカルの人もご飯を食べたり持って帰ったりしてるから値段は高くない。日本人にとってお祭りはイレギュラーであり普段はしゃげないことから解放されるチャンスなんだろうと思った。そのためお祭り価格、なんてものがあり値段が高くなってるのだろう。なんにせよ彼は物珍しい感じで見つめている節があった。
大学院生の彼は普段本当に外に出ない。むしろ日本のきてからほかの都市や国内旅行、海や祭り、等行ったことはない。だいたいが図書館や研究室、授業が行われる教室と家の往復だ。自分が出来なかったとしたら他のことを言い訳にしたくない、だから頑張る。そういう人だ。
私はこの土地に親しい普段から遊べるような友人はいない。彼くらいだ。今回はすごく誘って誘ってやっと来てくれた。彼も楽しく過ごせていたのはきっと卒論が終わった後だからだろう。
本当は色んなところに連れ出したいのだが、節約と勉強時間の確保を最優先としてる彼にとっては近所お祭りが最大限の譲歩なのだろう。それでも私にとってはすごく楽しく過ごせた。お祭り自体数年ぶりだったし、何より彼と一緒に体験できたというのが大きいのだろう。願わくばこんな穏やかな日常というものが続いて欲しい。

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