降り立った地で その173

「動物園は、こっちだね。早速行こうよ」彼女が先導して、動物園への通路に向かおうとしてる。
「あ、うん。そうだね」と言って、僕も彼女が行こうとしている方向にからだを向ける。
「ところで、どの動物がいたら、嬉しい?」と聞かれて、少し考えてみる。
 動物でなにが好きかと言われると、猫が一番好きだ。小さいからだなのに、ふてぶてしい、あの態度が気に入っている。愛くるしい見た目もそうだが、度胸があり、飄々とした雰囲気がとても可愛らしく思える。しかし、ここには、猫はいないだろう。だから、それ以外の動物を考えないといけない。ちなみに、水族館なら、シャチがもっとも好きだ。理由は、小さいころに見たアニメが影響している。加えて、海でもっとも強いとも言われているからだ。見た目の可愛らしさもあるが、総合的に判断して、そう決まっている。

「ペンギンかな?」とようやく絞り出した答えを聞いて、彼女が少し考える素振りをして、「微妙だなぁ」と答えた。
「なにが微妙なの?」彼女は、ペンギンが嫌いとは思えない。
「うん、私もペンギンは可愛いから好きだけど、ここにはいないんじゃないかと思って」
「たぶん、いないだろうね。この建物には、もっと変わった動物がいそうな気がする」
「例えば?」と聞かれたが、すぐに答えられるほどの知識はない。
「例えば・・・・・・・なんだろう?アルパカとか?」
「アルパカ?確かに珍しいかも。でも、いないんじゃない?」
「そうかな?意外といるんじゃないかな?」
「うん、まぁ、どうなんだろう?いたら、」
「とりあえず行ったら、わかるんだし、行かない?」
「そうね。じゃあ、行きましょうか?」と言って、彼女が先頭で歩き始めた。僕もそれに遅れないように歩き始める。

「ところで、アルパカがいたら、どうする?」
「え?」唐突の質問だったため、即答できない。
「アルパカさんがいたら、どうする?」
「どうするもないよ。ただ見て、終わりじゃない?」
「触りたいとかないの?触れたら嬉しくない?ふわふわしてるよ、きっと」
 そもそも、この動物園では、動物自身に触ることができるのだろうか。ひょっとしたら、そういうサービスもあるかもしれない。
「カピバラさんはいるかな?」
「いないんじゃない?」
「え、まじで?なんで?」と聞かれたが、なんとなくである。彼女はいると思っていたようだ。行けばわかることだが、わかるまでの余興が、もはや一番の楽しみになっている気がしてきた。

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「空を飛んでみる」、「降り立った地から」をひとまとめに
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