夢は終わらない

 一つの夢がまた終わった。何度も経験したが、慣れないものである。いつか終わることがわかっていながら、その瞬間が訪れることが大変悲しい。ときには、泣きたくなることもあるが、それはずっと我慢している。泣いてしまえば、それで本当になにもかもが終わってしまう気がする。だから、極力泣かないようにしている。我慢できなくなったときでも、ひとまず抑えるようには試みる。駄目だったとしても、それはそのときの感情が素直でどうしようもないから、誰も悪く言わない。それをわかってくる人がそばにいること自体が、とても幸せなことだと、あとになって気が付く。

 一つの夢が終われば、今度は別の夢が始まる。または始めなければならない。夢には、実は終わりがない。そのことに気が付くのは、ずっとあとのことだ。少なくとも、成人を迎えたばかりのころには、まだ理解出来なかった感覚だ。

 夢を始めるということは、叶えるものを作り出すことだ。誰かから与えられるものではなく、自分で始めて、自分の中で完結していくものだ。努力も必要だが、もっとも必要なことは、継続していく力だろう。一度始めたことを、何年かかろうと、諦めずにひたすら続けることだ。夢を追いかけている間に、現実的な問題が降りかかることもあるが、それは夢にとっては、些細なことだ。余程のたいした問題でなければ、夢を止めることはできない。簡単に止めてしまうものであれば、それは夢ではなく、娯楽の一種で、一瞬の快感しか得られない。いつかは捨ててしまうものだろう。

 終わった夢を、また一つ仕舞おうと思い、クローゼットを開ける。そこには、たくさんの思い出になった夢が並んでいた。今日終わった夢は、何年か前に見た夢の少し焼きまわしが入っているが、違った心持ちで仕上がった、素晴らしいものになった。一生忘れないだろう。倒れないように、そっと静かに並べてみる。

 クローゼットをゆっくりと閉める。かつて見た夢たちが、また暗い場所に閉じ込められる。見えないところに仕舞っているが、いつでも取り出すことはできる。鍵をかけていないから、大丈夫だ。鍵をかけることは、できることではない。なぜなら、いつでも過去の夢に触れることが、心を開いて、生き続けることだ。思い出の夢は、いつでも支えてくれるものだ。

 明日からの新しい夢を始める。最初は考えるところから始める。形ができるまで、少し時間がかかるかもしれない。長い時間をかけるつもりはないが、始めてしまうと、途中で止めることがなかなかできない。さまざまな人とまた関わっていくだろう。しかし、自分の夢の形を知っているのは、自分だけだ。夢を形成することが、大きな自信となっていく。終わらない夢を作り続けるのだ。

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しょうもない

変な話を書いてみた。
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